第21話 夏休み②

「おーやってるやってる」


渚咲さんに強引に連れてこられ香奈さんと夏祭りに来た。


「おっ!少年!射的があるよ。やろうよ!」


と言い、渚咲さんは先に射的屋に行ってしまう。


「お姉ちゃん、こういうお祭りが大好きなんです」


「そうなんですね。すごい楽しそうですね」


「けど、私はあんまり…」


「?、どうしてです?」


「毎年、ナンパされるんですよ。それがもうめんどくさくて」


「まぁ、香奈さんは可愛いですからねぇ、でも、今年は大丈夫ですよ。僕がいるんで」


「えっ?」


やばい!柄でもなく変なことを言ってしまった。


「い、いや、えーっとですね。あのー、僕がいるから、男よけにはなるかなーって、はい、まぁ、そんな感じです」


「いや、そっちじゃ…い、いや何でもないです」


「?、どうしましたか?香奈さん、顔が赤いですよ」


「カワイイ、カワイイって…」


すごく小さな声と夏祭りの周りの声でよく聞こえなかった。


「?、なんて言いましたか?」


「えっ!えっと勉くんが守ってくれるのなら安心できるなーと」


そうやって喋っていると、渚咲さんが射的屋で


「しょうねーん、助けてよーこれ全然落ちないんだけどー」


そう言って、渚咲さんが狙っているのは、少し大きなクマのぬいぐるみだった。


「いやーそれは無理なんじゃないですかねー」


流石に無理だと思い、そう言うが、


「いやー、1回やってみてよー」


そう渚咲さんが言うので、1回やってみることにした。

300円を屋台の人に渡すと、


「おっ!兄ちゃんもやるのかい、可愛い彼女にいいとこ見せてやんな!」


「おっ!少年、可愛い彼女だってよ。そんなカップルに見えるのかなぁ〜」


「か、彼女じゃありません!!」


そう叫んだのは…


「香奈、ど、どうしたの?そんな叫んで。………はっ!」


渚咲さんが何かに気付いた様子だったが、


「お、おう。そうか、彼女じゃなかったか、すまんな。玉は5つだから、頑張ってくれよ」


実際僕は射的が上手いわけでもないが、最近読んだラノベでちょうどそんな話があったので、その真似をしてみることにした。


「すみません、銃って後何個ありますか?」


「えっ?予備があと、一個。」


「すみませんが、出してもらえますか」


おうよ、と屋台の人に出してもらい、2つの銃に玉を込める。

一つ目の銃を構える。クマのぬいぐるみに狙いを定めて…

パンっ!と打つと、クマのぬいぐるみに命中する。

喜ぶ暇もなくもう一発打とうと思ったが、

コトン、と一発で落ちてしまった。


「あら、一発で取れっちゃった…」


「おめでとう、兄ちゃん。ほら、景品だよ」


「ありがとうございます。どうぞ、渚咲さん」


「あ、ありがとう。少年」


あと4発どうしたものかと思ったが、


「あの!わ、私も、あ、あれがほしいです」


と、香奈さんが指差したのは、さっきのクマのぬいぐるみの色違いのものだった。


「取れるか分かりませんが頑張ってみます」


もう一度狙いを定めて

打つ!が外れてしまう。

その後2発打ったが、当たりはしたものの落ちなかった。


「ラスト1発」


最後の1発に全力を注いで

打つ!

クマのぬいぐるみに命中したがグラグラして、落ちない!!と思ったが、

コトンっと何と落ちたのだ!!!


「兄ちゃん、上手いねぇ。ほい、景品」


クマのぬいぐるみを受け取り、


「香奈さん、どうぞ」


「本当に取ってくれるなんて…ありがとうございます!」


そして、僕らは射的屋を後にした。


「そういえば、この夏祭り、花火が上がるんですよね」


「ん?そうだよ〜あと1時間ぐらいだったかな〜」

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