第19話 体育祭 午後の部

「それでは、リレーに参加する選手の皆さんは入場してください」


ついに体育祭最後の種目のリレーが始まる。


「緊張していますか?香奈さん」


「はい、少し」


「僕も少し緊張しています。精一杯頑張りましょう」


今、各クラスの点数は僅差なので、このリレーの結果でクラス対抗の結果に大きく関わってくる。何としてでも勝ってクラスで勝利したい。

ちなみに走順は飯田さん→優樹→俺→香奈さんの順だ。


「位置について……よーい…」


パン!とピストルの音がグラウンドに鳴り響く。

飯田さんが好スタートをきる。

飯田さんは陸上部のエースで短距離走は1年生の女子の中では敵無しらしい。

そして、その実力どうりみるみる差を伸ばし、他のクラスとだいぶ距離が空き、

そのまま優樹にバトンが渡る。


「よし、バトンパスも練習どうり」


順調に飯田さんがつけた差にさらに差をつけていく、

そして


「勉、行けー」


優樹からバトンをもらおうとした時、


「「あっっっ!」」


バトンを落としてしまった。

すぐさまバトンを拾い走ろうとしたが、その時には他のクラスに抜かされていた、


「気にするな!走れ!」


切り替えて走るが、足が速いわけでもないので、どんどん抜かされ、差ができてしまう。

他のクラスはアンカーにバトンを渡し、ラストスパートに入っている。

もうダメだ、僕のせいで…と思ったが、


「勉くーん、頑張ってくださーい」


「勉、気にしないで、全力を出せ!」


「五十嵐くん、頑張れー」


「みんな…」


よし、まだ終わってはいない。


「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」


人生で一番早く走れた気がする。


「香奈さん!」


「勉くん!」


ぱしっ!と香奈さんの手にバトンがしっかりと渡る。


「勉くん、あとは任せてください!」


その言葉どうり香奈さんは、結構な差があったが、どんどん他のクラスを抜かしていき…


「それでは、結果発表です」


「今年の優勝は…」


「D組の皆さんです。おめでとうございます。」


我らG組は香奈さんの最後の追い上げが凄かったのだが、

最後に抜かせず2位となった。


「ごめん!俺がバトンパスミスったせいで…」


「気にすんなよ」


「大丈夫、大丈夫、気にしないで」


「大丈夫ですよ。勉くん。まだ来年も再来年もあるんですから」


「それって…」


「はい、来年、リベンジしましょう!」



「はい!絶対に来年勝ちましょう。この4人で」


惜しくも優勝できず、悔しかった体育祭だったが、

来年こそは絶対に香奈さんに優勝をプレゼントする!




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