第18話 体育祭 午前の部

今日は体育祭本番、体育祭前の練習では段々とタイミングをとるのが上手くなっていき、他のチームと対等に戦えるぐらいにはなった。

リレーは午後にあるのだが、直前に練習する時間がないので、朝の一番最初しか時間が取れないので、今は最終調整をしている。


「最初から俺と愛、松海さんと勉の息はあってたけど、4人の息もずいぶんあってきたし、これは1位狙えるかもな」


「そうですね」


「そうだね。優樹」


「なんとなく分かってたけど、やっぱり、2人の息はぴったりだったね」


「なんでだろうね~」


「本当に自分でもこんなに息があうなんて思ってもなかったよ」


「ですね。なんでこんなに息が合うんでしょうか?」


「「なんだろうね〜」な〜」」


最近付き合い始めた2人が息ぴったりにニヤニヤしながら言ってくる。


「ほら、そろそろ開会式だから、テントに戻ろう」


順調に開会式が終わり、種目が始まった。

特にこれといって出る種目もないので、自分の出る借り人競争が始まるまで、

自分のチームのテントで休んでいたが、

ついに借り人競争の順番になった。


「それでは、選手の人たちはスタート位置に並んでください」


放送が入り、スタート位置に並ぶ。

ちなみに最初に走るので、どんなふうにお題が出るのかわからないので、

少し緊張している。

パン!とスタートの合図で走り出した。

スタートから50メートルほど走ったところにカードが置いてあり、そこでお題を確認することになっている。

引いたお題を見て

こんなお題も入っているのかと内心思ったが、


「でも、このお題だったら簡単だな」


誰もが◯◯◯と思う人がみじかにいるから、


「香奈さん!」


「はいっ!なんでしょう」


急に呼ばれて香奈さんはびっくりしていた。


「借り人競争で…ついてきてください!」


「は、はい、わかりました」


うちの学校の借り人競争は珍しく始まる前にヒモが渡され、二人三脚でゴールしないといけなくなっている。

香奈さんと僕の足にヒモを巻き、


「いいですか、いきますよ!」


「大丈夫です」

香奈さんと二人三脚をしたことはなかったが、

他の人よりも息が合っていてとても速かった。


「ところで、お題って…」


「最後の確認まで言ってはダメなんですよ」


「そうですか。ちょっと心配です」


「大丈夫ですよ。香奈さん以外当てはまらないお題ですから」


そしてペースを落とすことなく、ゴールした。


「おおっと、速い!ゴールしました」


「お題の確認です」


係の人にお題が書かれている紙を渡す。


「お題は…」


「可愛い人です!!!」


おおおっ!!!!!と会場が沸いた。

学年のヒロインなので、この人選に文句を言う人はいないだろう。

そのまま会場が冷めぬままテントに戻ると


「お疲れ様〜勉」


「お疲れ〜五十嵐くん」


「いやぁ〜テントの盛り上がり凄かったぞ」


「まぁ、あれで文句を言う人はいないもんね」


「香奈さんもありがとうございました」


「いえ、お役に立てて良かったです」


そう言うとすぐに下を向いてしまう。


「香奈さん、もしかして…」


「えっ!」


「熱中症とかじゃないですか?顔がすごく赤いですよ」


「いえ、大丈夫です」


すぐに目を逸らされてしまう。


「本当に大丈夫ですか?」


「だ、だだ大丈夫です!大丈夫ですから!」


それを見て優樹がこのたらしめ、と言っていたが、なぜなのか分からなかった。


「えっと、気を取り直して、リレー頑張りましょう!」


「「「「おおっ!」」」」


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