第15話 文化祭デート②

「いらっしゃいま、えっ!」 


「2人です」


「は、はい、2名様入りまーす」


早速驚かれた。まぁわかっていたが、

正直、松海さんにここに入ろうと言われた時はめちゃくちゃ迷った。

ここに入ったら、絶対にカップルだと思われるし、男子からの視線はさっきから痛いのに、さらに強くなると思ったが、もう遅いなと思い諦めで入店した。


「ご注文はお決まりでしょうか」


「えっと、このリンゴジュースと、勉くんどうする?」


「じゃあ僕もリンゴジュースで」


「わかりました。少々お待ちください」


数分経ってリンゴジュースがきたが、


「えっ!」



「は?」

なんと大きな1つのグラスにいわゆるカップルストローが刺さっていたのだ。


「え?なんで」


「あれ、メニューご覧になりませんでしたか。同じ飲み物ですと大きな1つのグラスでカップルストローになると書いてあるのですが」


よくよく見ると書いてある。どんな問題文でもヒントを見逃さない俺が見逃すなんて…


「では、ごゆっくり」


そう言って店員の生徒は厨房に戻ってしまう。


「えっと、じゃあ飲みますか」


照れながら松海さんが言う。


「じ、じゃあ」


いっしょに飲むなんてめちゃくちゃ恥ずかしい。

クラスにいる他のお客さんも僕たちのことを見てるみたいだ。

僕たちは恥ずかしさに耐えながら全て飲み切った。

冷たいリンゴジュースだったはずなのに、入店した時よりも体温が高い気がする。


「あの、ところでいつまで私を苗字で呼ぶんですか?」


「え?」


「私だけ勉くんを名前で呼ぶなんて不公平です。私も名前で呼んでください。」


「えっと、じゃあ、か、香奈さん」


「よくできました。勉くん」


そう言う、まt、香奈さんは嬉しそうだった。

その後クラスに帰るまで、香奈さんと付き合っているのかと、いろんな人に聞かれ(主に男子)クラスに戻るまでの時間がとても長かった。

そして、トラブルからナンパ対応までいろんなことを経験した文化祭が幕を下ろした。

ちなみに、いっしょにリンゴジュースを飲んだ時、ふと、香奈さんの顔を見たのだが、

その顔はりんごのように真っ赤だった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る