第13.5話 女子更衣室でのお話し

「松海さん、さっきは大丈夫だった?」


「はい、勉くんが守ってくれたので、大丈夫です」


「ところでさ、いつから勉くんって名前で呼んでるの?」


「えっと、いつからでしょう」


「五十嵐くんと仲良さそうじゃん」


「だから、気になってさー」


「さっきの五十嵐くん本当にかっこよかったよね」


「そうそう、あの中で動いてたの五十嵐くんだけだったし」


勉くんが褒められていてなんか嬉しい。


「前髪で顔が隠れているから、普段はよく見えないけど、意外とかっこいい顔してるよね」


「もし、あんなふうにナンパから守ってくれたら、私、惚れちゃうかも」


「めんどくさそうな客だったけど、丁寧にしっかりと対応していたもんね」


「ねぇ、松海さんは五十嵐くんのこと、どう思ってるの?」


「もしかして、もう付き合ってたりして」


「勉くんとはまだ付き合っていません」


「えっ!まだ!ということは〜」


私は今、何を言ったんだろう。まだって言った、なんで?勉くんとはまだそういう関係じゃないのに。


「え、えっと」


「もしかして、勉くんのこと好きなの?」


「っ!」


「私、勉くんのことが好きなのでしょうか?」


「まさか…」


「この反応…」


「「初恋!」」


「じゃあ、五十嵐くんと文化祭まわってこようかな〜」


「えっ!」


「おっと〜今なんで驚いたのかな〜」


「えっと、なんででしょう自分でもよくわかりません」


「「それはね、恋、だよ」」


「これが恋なんですか?」


「そうだよ。私たち松海さんのこと応援してるから、今から誘って、文化祭まわってきなよ〜」


「文化祭デートだよ〜」


「応援してるから、頑張れ!」


「は、はい、頑張ります?」


私が本当に、勉くんのことが、好き?

本当にそうなのだろうか。

まだよくわからない。

とりあえず言われた通り、勉くんを誘おう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る