第13話 「お客様、失礼ですが。」
「お客様。うちのメイドに過度な接触はおやめください」
もう少しで松海さんに触られそうだったが、すんでのところでお盆を挟み、防ぐことができた。
松海さんは振り返りその男性客の手の位置から触られそうになっていたことに気づいたのだろう。
「いやぁ、たまたまだよ、触ってないし」
そう、今のはあくまで触っていないので、言い逃れしようと思えばいくらでもできるが、
一つずっと気になっていたことが確信に変わった。
「ところで、お客様失礼ですが、リストバンドはどちらに?」
この学校の文化祭は誰でも入れる代わりに生徒と一般客を見分けたり、学校に入るときに名前と電話番号を書き、個人の確認をすることでもらえるリストバンドをその男性客はつけていなかったのだ。クラスに入る際に見せる必要があるのでどうやってこのクラスに入れたのかが分からないが、
「えっ?」
唐突に話題を変えられ驚いた顔をする。
「お客様、先ほどの行動云々ではなく、なぜリストバンドがないのにこのクラスに入れたのが問題なのです」
「誰か先生呼んでくれる、最初に説明されているはずですが、リストバンドがないとクラスに入ることはできませんので、再発行をしてください」
その後、男性客は先生に連れられていった。
「大丈夫でしたか、松海さん」
「ありがとうございました。勉くん」
「それでは、引き続きお茶をお楽しみください」
とりあえず一件落着だ。
「あ、あの」
「なんですか、松海さん」
「本当に申し訳ありませんでした」
「しょうがないですよ。あの位置からだったら松海さんは見えなかっただろうし、未然に防げてよかったです」
「次のシフトに変わるから、今ホールにいる人たちは交代してー」
ちょうどシフトの終了時間だったので、そのまま着替え1人で文化祭でもまわろうかと思っていたが。
「あの、一緒に文化祭まわってくれませんか?」
「へっ?」
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