第2話 誉ヒカルには秘密がある
2,誉ヒカル
誉ヒカルは俺のいちばんの友人だ。付き合いも長い。確か、幼稚園の頃からの付き合いだったはずだ。
最も幼稚園から小学校低学年の頃はいじめられていた記憶もあるのだが。
高校に入った当初は同じクラスだったのだが、ニ年になったらクラスが変わってしまった。だが、ヒカルはそんな事お構いなしでドスドスやって来る。そしてでかい声で俺に声をかける。
でかいと言えば、ヒカルは俺より頭一つでかい。そして、全身に筋肉を纏っている。俺と同じトレーニングメニューをこなしていた筈なのにこんなに差が出るとは。理不尽だ。
その為か、肩幅が凄く広い。胸板も厚い。
顔は、どうだろう?良い方なのではないか。女子から(男子からも)ラブレターを結構な数をもらう俺を羨ましがる様子を見せるから、女子からアプローチは無いのかもしれないが。
ま、趣味がもうボディメイクに移っている様子から、性欲の昇華は出来ているのだろうと思う。
と、ヒカルの家だ。そうヒカルの家は俺の家の隣だ。
大事な事だからもう一度言うぞ。誉家の家は黄桜家の隣にある。そして俺とヒカルの部屋は窓を介して隣り合わせだ。
つまりヒカルから俺は(その気になれば)丸見えだと言うことだ。其れは俺にも言える事なのだが、ヒカルの部屋を覗くなんて気持ち悪いこと出来ないだろう。気持ち悪く、友情を壊しそうだ。
だからヒカルから連絡が無い限りはカーテンを開けない。
ヒカルも普段はカーテンを閉めている。
それが本日に限ってカーテンに隙間が開いていた。ちらり、と見ていると腕立て伏せをしている。
うーん、健全だ。しかし、なんかおかしいな。健全なはずなのに不純なものを感じる。
俺はヒカルの様子をよく見てみた。不純そうな理由はすぐにわかった。
あれだ、腕立て伏せで伏せの状態になった時に、ヒカル、唇を突き出して何かとキスをしているらしい。
男らしいヒカルの意外な一面、というかフェチな面を見て俺はお腹が一杯になった。胸焼けがする。カーテンなんか開けるんじゃなかったな、あんなヒカルを見たくなかった。と思いながらカーテンを閉めようとすると、妙なものを見つけてしまった。
ヒカルがキスをしているものが見えた。
ん?ありゃ一体なんだ?
どうも何かのカタログらしい。よくよく見てみればブラにパンツを履いている女性の姿が何人も写っている。うーん。これは、ヒカルはブラとパンツに欲情しながら腕立て伏せをしているのか?いや、普通は中身の方に欲情するだろうから、あのモデルさん達に欲情するだろう、普通。
なんだかヒカルの姿がいじましくて涙が出そうになった。俺にラブレターをくれた女子を適当に見繕ってヒカルを合コンに誘おうと思うくらいには哀れに思った。いや、思っただけなんだが。
ヒカルは腕立て伏せを続けている間、色々なカタログや写真集を開いては接吻をしていた。
ヒカルのプライベートな時間を眺めているのも悪いし、カーテンを閉めようとした所、ヒカルも腕立て伏せを終えた様だった。ヒカルは、今まで接吻をしていたカタログだの写真集だのを片付けてゴソゴソと机の引き出しの裏に隠そうとしていた。
一瞬そんな大して性的なものでもないものを厳重に隠さなくても、と思ったのだが。
駄菓子菓子。いや違う、だがしかし。俺はちらりと見てしまった。
あれ、女児のだ……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます