閑話 ~伝説の聖女~
千年前、とある世界に、使命と引き換えに“伝説の何か”から力を与えられた少女がいました。
少女の世界は五つの悪氣がはびこり、人々は常に悪氣の驚異にさらされていました。
奇跡の力を持った少女は五つの悪氣を祓う力を持ち、当時の大厄から世界を救い、聖女と呼ばれるまでになりました。
聖女は悪氣を祓うために、優秀な人を集め、組織を作ました。
聖女たちはその後も様々な厄災を祓い、悪氣の脅威から人々を守り、いつしか崇められるようになりました。
しかし聖女は元来、怠け者で問題を先送りにすることも多く、対症療法的な処置が多かったのです。
人の寿命を遥かに超え、歳の取らない聖女は何百年もそんないい加減な処置をしていました。聖女はズボラでもあったのです。
その結果、負債は膨れ上がり、気づけばとんでもないことになっていました。不老長寿の聖女は、後世の人に負債を丸投げすることもできないのです。
「あわわわわわわわ。どうしよう、どうしよう。“伝説の何か”、“伝説の何か”を探すのよ!」
聖女は部下に“伝説の何か”の捜索を命じました。“伝説の何か”の力を使って、どうにかしようとしたのです。というよりも今まで何度も“伝説の何か”の力に縋っていました。
“伝説の何か”に助けてもらえることもあれば、そうでない事もありました。そうやって騙し騙しなんとか堪えてきました。
そんなある時、何と聖女は封印されてしまったのです。
「ああ~。存外心地良いわ、ここ」
聖女は自らを封印したのです。面倒くさがり屋の聖女はすべてを投げ出したかったのです。そんな聖女を見て、側近は窘めました。
「“伝説の何か”を見つけたら本気だすから!」
聖女は頑として封印を解かなかったのです。それでも聖女は封印されていても、世界の安寧のため、厄災の監視は一応するのでした。
そして現在、先送りにしていた問題たちが、更に力をつけ、今にも一斉に世界に牙をむこうとしています。
「ああああああああああ。どうしよう!やばいわ!極めてやばいわ!」
それでも聖女はもう頑張りたくないと思いました。誰かになんとかしてほしいと願いました。人任せで大雑把でズボラな聖女は叫びました。
「誰か助けてよおおおおおおおお」
そして聖女はいるかどうかもわからない神様に祈りました。
「神様!私に“伝説の何か”を!私のもとに“伝説の何か”をおおおおお!」
「その願い、承った」
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