2.擬音(オトマノペ)を使うことはアリかナシか
さて、表題になっている擬音ですが、割と使っている人もいるのではないでしょうか?
小説を書く上で擬音は安っぽく(幼稚な感じに)なる。というのが定説です。
ちょっと例を挙げてみます。
「これで終わりだ!」
ドーン! ズシャァア!
「ぐわぁ……やられたー!」
パタリ。シーン……。
みたいな感じでしょうか。ちょっと極端すぎる気もしますが。
これを見てどう思われたでしょうか?
僕は、でんぢゃらすじーさん(ギャグマンガ)のワンシーンみたいだなって思いました。
なんか全体的に軽いというか、安っぽい感じがしませんか?
もちろん、このやり方がだめだと僕は言いません。
こういった表現ってめちゃくちゃわかりやすいんですよ。言い方悪くすると馬鹿でも状況を想像しやすいってことです。
言い方は悪いかもしれませんが、馬鹿にもわかるっていうことはそれだけみんなにも伝わりやすいということなのです。
自分はとにかくわかりやすい小説を書きたい! っていうのであればガンガン擬音を使っていくのはアリだと思います。
ですが、泣ける作品が書きたいとか、重厚なストーリー物を書きたいという場合であれば、悪手だと僕は思います。
いろいろ書きましたが、うまく使えばキャラクター性を持たせるためのテクニックにもなります。
例えばですが、普段はめちゃくちゃ強いうえに礼儀正しく言葉遣いも丁寧な女性騎士主人公の一人称視点の話があったとします。
一人称なので、心情描写などはそれに合った書き方(ちょっと小難しい感じ)になっていると仮定してください。
しかし彼女は恋愛をしたことがなく、色恋沙汰になると途端にポンコツになる(におわせ程度に伏線として書いておく)。という設定があったとします。
そして今初めてそのポンコツっぷりが分かるシーンが来ている。そんな状態です。
以上を踏まえたうえで、例文を出します。
すると突然、アルクが言ったのだ。
「騎士さんって普段は鬼のように強くてカッコイイのに、私生活だとかわいいんですね」
トゥンク……
いやいやいや、うれしい、うれしいが、好きな相手にかわいいって言ってもらえるのはうれしいが、いくら何でも不意打ちすぎやしないか?
「おおおおおお前は何を言ってるんだ! 私が、かっ――かかかかかわいいとかそんなわけないだろお前、ばーかばーか!」
「え? かわいいですけど?」
キュン
みたいな感じでしょうか。
これだけだと安っぽさ全開ですが、ここに来るまでの展開でちゃんと小奇麗な文章(前フリ)で書いていると、あえて擬音を使うことによって彼女のポンコツっぷり(オチ)が際立ってくるはずです。
そして、セリフをどもらせたり、ばーかばーかとか安っぽい言葉を使うことで、よりポンコツ感出ています。
この展開だけではわかりづらいかもしれませんが、前フリがちゃんとしていればしているほど効果がアップするのです。
そして、その効果によって発生する感情を、ギャップ萌えといいます。
ここに来るまでに擬音を使っていないきちんとした文章だったからこそ、擬音を使ったことでポンコツ感が増したようになるわけです。
上記の展開、擬音を抜いても特に問題はないですが、それだとポンコツアピールという意味では個人的にちょっと物足りません。アホ可愛さが足りないんですよ多分。
個人的に擬音というのはスパイスだと思っています。
あくまでちょっとしたアクセントであり、メインで使うものではない。そういう風に考えています。
もちろんそれが正解だとは言いません。ですが、擬音でメインを演出すると安く見られるというのも事実です。
使うのであれば、使っている理由をはっきりと答えられるような、そんな書き方ができるようになるのが一番理想だと思います。
長くなりましたが以上で終わります。
次は漫才に学ぶ、物語の作り方を書こうと思います。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
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