ソシャゲで煽っただけなのに
ともやん
第1話
「うわっ!またやられた。くそー。ごめん、また俺が足引っ張っちゃった!」
「さとるはサシの撃ち合い、絶対負けるよな」
優汰は俺のせいで負けたのに、特にイラつくこともなく、笑いながら言った。
「撃ち合いのゲーム向いてないのかな?俺。銃口向けられるとテンパる。」
毎回そこそこいいところまで敵を減らすのに、ここぞという時に自分のせいで負けてばかりで俺は少し凹み気味に言った。
「じゃ、FPSは辞めて鬼ごっこでもするか?俺最近始めた鬼ごっこのゲームがあるんだけど、結構面白いよ、これ」
優汰はそう言って、自分のスマホの画面をこっちに向けた。
「ESCAPE FROM TAGGER?どういう意味?」
「鬼から逃げる」優汰が笑う。
「まんまじゃん」俺も笑う。
「マップのどこかに壊れた機械が全部で10個ある。このうち7個が逃げる魔法陣を発動するための機械。3個ははずれなんだ。当たりの7個のうち5個を修理するとマップの中央に出口が現れるから、生存者5人は機械を修理して出口から逃げる。キラーはスタートから生存者を探して、捕まえる。」
「え!?それだけ簡単そうじゃん?面白いの?それ」俺は普通に疑問に思って聞いた。
「生存者にもキラーにも種類が沢山あって、生存者はキャラごとに逃げるためのスキルや機械を修理するのに有利なスキルを2つ付けれる。キラーはキャラによって全然違う能力があって、例えば透明化すると移動速度が上がる幽霊、マップ上の特定のオブジェクト間をワープできるエスパー、生存者に噛み付くとその生存者を一定時間操って、他の生存者の邪魔ができるドラキュラなんかがいる。やってみると結構奥が深くて時間が溶けるよ」
「結構複雑?無料でできるの?」
「アプリは千円だけど、俺からの招待で半額になるよ。で、新しい人を招待すると5百円分のゲーム通貨が貰えるから誰か招待すればすぐに取り戻せるよ。」
「来週また小遣い日来るし、500円ならやってみるか。じゃ、招待してくれ、優汰!」
これが俺が鬼ごっこを始めたきっかけだった。
ソシャゲで煽っただけなのに ともやん @tomo_dolphy
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