銀河模型とナタを振るって
長月瓦礫
銀河模型とナタを振るって
薪を追加すると、火の粉が勢いよく飛び散った。
真空管の中には銀河の模型があり、ゆっくり回っている。
銀河のどこかに出かけたマスターと通信が繋がっている。
「やっぱりロボットとは付き合えないとか言ってさ、意味分かんなくない?
君がいないと死ぬとか言ってたのはなんだったのよ、マジで!」
『……お前、俺がいない間に何してんの?
彼氏ができるかもって聞いた来週には振られてんのかよ』
模型に取り付けられたラッパからマスターの声が響く。
彼の言うことはまちがっていない。
異種族であることを理由に振るような人間だ。
新しい考え方についていけない証拠だ。
しかし、私は本気だった。毎日が輝き、色づいていた。
血も涙も感情もないと思っていた私が一人の人間に思いを寄せるとは思わなかった。
これはまさに恋だ。
「なんで! 私と! 付き合ったんだって! 話だろがあああ!」
私はナタを振り下ろし、ぱかんと薪を割る。
向こうから近づいてきたくせに、最終的に彼女を作って去って行った。
浮気なんてものじゃない。種族を超えた愛を信じた自分がバカみたいだ。
『ま、応援してるよ……』
あきれた声がラッパから漏れ出た。
銀河模型とナタを振るって 長月瓦礫 @debrisbottle00
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