3体目 ゴブリン③

「それにしてもゴブリンの鼻は妙に長くて股間みたいですね」

「ぶふっ!?!?!?!?!?!?!?!?」


 サオトメ氏が突然変なことを言い始めた。一体何を言い出したんだこの方は?


「なっなななななななな」

「おっと、すみませんね……仕事柄すぐにそういう方向性に思考が向いてしまいまして。独り言だと思って聞き流して頂ければ」

「わわっわわわわわ」


 ……もう!はれんち!


 もう!!!!!


「ゴブリンは兎と同じような性周期らしく、多産のこともあって数が多いらしいんですよ」

「ほう」

「年中発情期ってことは使えそうですね」

「つかうってなににつかうの!!!!!!!」

「いやナニですよナニ」

「なんなの!!!!!!!!!!!」


 騎士に憧れていたからその分子供時代から汚れた面には慣れている。しかしこういうものは同時に触れないようになっていたので耐性がない。


「そう考えるとオスメス関係なく外に狩りに向かうことのあるゴブリンはかなりの子供思いですよ」

「成る程」

「その代わりに夜はいっぱい癒される訳ですね」

「?」

「だから子沢山なのかぁ」

「……?」

「要するに毎晩エッチなことしてるわけですよ」

「くちをふさげ!!!!!!!!!」


 サオトメ氏が思案をする。


「口を塞ぐと言えばあの鼻でキスとかはしにくいと考えます」

「ばか!!!!!!!!!!!」

「てかあの鼻にも何かしらの役割がある筈」

「む」

「性の象徴とか?」

「むぁーーーーー!!!!!!!!!!!」


 真面目な話をしていると思って真剣に聞こうとしてるのに!!!!んもう!!!!!!!!


「デカければデカい程にオスとして優秀なのかしらねぇ……獲物の臭いを嗅ぎ分けるとかはありそうです」

「確かに、完全に実った作物のみを狙うという話も聞いたことがある」

「敵の臭いも分かるかもしれない……いや、だとしたらどうなんだ?先程の戦いでもかなり有利になる筈ですよね」


 確かに、囲んでいた訳だから風上も風下も我々の、つまり獲物となり得る生物の臭いがある。とするとこれは一体どういう理由で鼻が大き


「メスの臭いか?」

「るぷぁ!?!?!?!?!?!?」

「発情期のメスをいち早く嗅ぎ付けて繁殖を行う為……あり得そうだ」

「えっち!!!!!!!!!!!!!」

「ありそう、これはまた学会の方に意見を聞かねばならないな」

「……」


 えらいのかえろいのかわかんない。


「しっかしあまりにも怖い隣人だ、拠点観察の記録が無ければ掃討は覆らなかっただろうね」

「拠点観察の記録?」

「ああ、自分が纏めたゴブリンの生態ですね」


 そんなものが。


「具体的にはどのようなもので?」

「集団内ではトップが存在しません。親と子、それだけの集団です」

「トップというと……王のような?」

「ええ。時折強力な個体が出現しますがその個体達……言ってみればゴブリンの上位存在らしきものも全て歴戦個体です。指示を行ったりと戦闘では上に立ちますが自身の集団に戻れば一般的なゴブリンと同じ扱いで生きています」

「……完全な上位のものは存在し得ないのですか?」

「普通に考えればそうですね。ただ、極稀に誕生しますよ。比較的大きく知性も一般的なゴブリンのそれではない……まあそれでも所詮ゴブリンですし、それに知的存在特有の行動もしますから見かけません」

「……その行動とは?」

「引きこもること、並びに予め逃げることです。正しく脅威を把握しているので、斥候を自ら行って仲間の安全面を考えるんですよ」

「……」


 知識量が多くて本当に驚く。……これでああいうのが無ければなぁ……。


「しかしそれにしてもよくポコポコと産みますよね、TNTN痛くならないんですかね?」

「かえる!!!!!!!!!!!!!!!」


 なければなーーーー!!!!!!!!!

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