1体目 ゴブリン①

 再び彼と出会うことになったのはゴブリンがいたと村人に出動要請を貰った時だ。


「あ、この前の。ウヴさんだったっけ、こんにちは」

「……サオトメさんか。最近は見なかったが何処にいたんだ?」

「仕事をしたから成果を納めにね」


 どうやら本を書いているらしい彼。……そういうことを仕事にしている方もいるとは確かに思ったが……どうしても自分は顔が赤くなってしまう。


「今回はゴブリンを見に来ました」

「はぁ」

「すいません本当に、苦手な方もいるとは思いますが取材で……」


 そういうことを仕事にしているという訳だから、ある程度は分かるが……いや、墓穴を掘りそうだ。やめよう。考えないようにする。


 とりあえず数人で行動していたので彼のことは軽く仲間で共有


「サオトメ先生ですか!?いつもお世話になっています!」

「あらあら読者に会えるなんて」

「こう、なんというか……えー……素晴らしいですよね!」

「まあモンスター系を担当しているとはいえ、皆さん含めてちゃんとモンスターは危険だということは理解していますか?注意喚起及び実際の事件詳細はどうでしょう?」

「現状、先生の作品に興味を示すお年頃の子供たちは大抵そういうことを知らないですし、知ろうともしていなかったりします。なので、貸し出す際はきちんと最後まで読めと言いつけております」

「ナニぃ?最後まで嫁ぇ?それは素晴らしいですねぇ^~」

「純愛系も好きですし逆もまた好きではあります!......ただ、ジャンル的にも『自分と』同性にしか共有出来ないのもあって、もう一方はどうするべきかと考えている所存です」

「うーん、やっぱそこが課題ですよね............」

「勝手に盛り上がってる......!」


 何を言っているのかは理解出来ないが、それでも恐らくは初対面で仲良くしていて少し羨ましくはある。騎士らしく、をモットーとしてきたから相手には少し威圧的な感覚を持たれてしまう、そんな自分には到底出来ない技だ。


「っと、それで......皆さんでゴブリンを?」

「ええ、向かっている最中です。取材と仰っていたところを見るに、同行......されますか?」

「宜しければ!」

「......リーダーに何も言わずに決められてしまっているな?」

「ウウウ↓ウッ↑ウウウウ↓ッ、ウヴ先輩!すいません!」

「別に構わんのだが......」


 そのままの勢いで同行されることを決められてしまう所だった。一応リーダーとしての威厳を取り戻したいところだ。


「ウヴさんと一緒に行けるんですか?お強そうですし、これは心強い!」


 彼はそう言って笑みを浮かべた。

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