変態と行くモンスター観察

濁烈叫悦のアスラトシカ・ジンジャー

プロローグ 変態と騎士

 それは変質者だった。


「……ふーむ」

「……」

「……あれが……」

「……」

「……」


 壁に隠れてモンスターをじっと見つめる変質者。形とは言え騎士なので声をかけなければならない。


「……そこの」

「へ?あそこ?」

「自分は騎士なのだが……君は何をやっているんだ?」

「ナニはやってないですけれども」

「?」


 振り返る……中年か?若そうではあるが死んだ目をしているな。身なりも汚れている、本当に何をやっているんだ?


「えっと……モンスターの観察をしていました」

「観察?」

「あっ、いえ。本当にしょうもない趣味なので気にしないで下さい」

「……」


 少し気になり足を進める……後退りされる。


「どっどどどどどうされましたか?何かしました自分?」

「いや、少し胡散臭いというか……直球で言うのなら怪しくてな」

「……そりゃそうかぁ」


 溜め息を吐いて両手を上げられた。


「降参、降参しますよ。取り調べでもなんでもお願いします」

「……そうか。同行願いたい」

「へーい」


 これがあの官能小説家、サオトメとの出会いであり……私、ウヴの下らない生活の始まりだった。

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