第2話

白き床 閉じ込められし 幼子の 黒き眼が 揺れて嬉しき


片腕と 片目の身体 仏様 与えし物と 父は言うなり


腹減りし 子のためぎょうざ 片腕で 作るを見ると また驚くや


病から 立ち直りし 我が弟子と 歩く佐保川 片袖と行く


片腕を 置いて歩くは スケッチの 楽しき旅と 君笑うなり


朝起きて 空蝉の床 走り出す 半ズボン履く あの子はいずこ


佐保川で 桜並木の 薫る中 うずくまり泣く ぽつねんと在る


血の紅で 染まりし頬の 幼子に 絵を描けと言う 忘れぬように


子は悟る 今は亡き母 あちら側 母はもう去ぬ 帰らぬことを


血の花や 画用紙に描く 佐保川を これは祈りと 言うと教える


蒼き眼の 子供は育ち 画家となる 人は祈りの 画家と言いしや


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

桃問答re-mix 神逢坂鞠帆(かみをさか・まりほ) @kamiwosakamariho

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ