竿とお迎え
警察の人に言わせるととてもじゃないが先輩の死体は見せられないくらい悲惨だったらしい。
死因は出血多量のショック死。
事情聴取の時に小太りの男性刑事がボヤくように
「女性の刑事や警察官には見せたくなかったよ」
と言うものだから、全裸とかそういうものだったのだろうかと問うと少し青白い顔をして
「男のキミも注意した方がいい。キミだって被害者になることもあるのだから」
とコッソリ
「陰部が牙のようなもので喰い千切られたような感じで残っていたんだ」
と言うものだから思わず俺は自分の股間を抑えた。
「ちなみに・・・竿のは半分以上なかった」
「どういう趣味、てかなんの話してんですか!?」
「だろう?だから人間の所業じゃないと思っている位だ。個人的に熊かサメの餌にでも被害者はされたんじゃないかと疑っているよ」
聞いているだけで、そういった趣味というよりもはや怨恨レベルだ。
男性刑事も初めから同じモノを持っている男性には不可能だろうと判断し俺や片瀬には話を聞いているようだった。
大丈夫か、この刑事さん。
すごい平和な刑事だな。
だが、俺はひとつ困ったことがある。
謎の場所に行って、夢か現かわからない状態の出来事を話そうにも、これを証してくれるのが妖怪を自称する女性。
アリバイがない。
「刑事さん、あのですね信じて貰えるかはわからないんですが」
信じてもらえなくても犯人と疑われる可能性が少ないと思った俺は昨日の話をしようとした時だった。
男性刑事が拳銃を構えている。
「え!?刑事さん?ちょ!俺まだなにも」
「お、お前、どこから現れた!?」
え?と言い後ろを向くとそこには朝に見たメイド服の気の弱そうな女性が立っていた。
「あ、あんたは・・・」
メイドはこちらにチラッと目線をやる。
「申し訳ございません。それ以上の発言はご主人様が許可できないとのことで、お迎えにあがりました」
そう言うとメイドは俺の目の前に居た男性刑事にごめんなさいと呟き何やら妙な粉のようなものを撒いた。
男性刑事は力が抜け、その場で眠るように倒れてしまう。
「さあ、小泉様。参りましょう」
俺は静かに両手をあげた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます