穴があったら入りたい…
全裸の女性と全裸の俺。
そして彼女の居る、俺。
自分のパンツを探したが見つからない。
慌てて目の前の女性に土下座をした。
尻は丸出しだ。情けない。
「あ、あの!俺たちって何かありましたか?!」
半泣きで混乱しながら声はひっくり返るし、悲惨な状態。
頭の中に浮かぶのは彼女の桜ちゃんの姿。
目の前の女性がせめて何もなかったと言ってくれたら、嘘でも全裸で跳び跳ねてしまいそうだったが
「あったら、どうなのよ」
右にも左にも行けない答えが返ってきて、そうですよねーー!!!と土下座を深めた。もう情けなくて泣くしかない。
「貴方、彼女のことで悩んでる?」
顔を上げると女性はニヤリとこちらを見ていた。
というか、いつの間にか浴衣を着ていたんだ?ここに全裸なのは俺だけ?!
慌ててベッドのシーツをクルクルと体に巻いた。
「ねえ、答えなさいよ」
女性はツリ目だが目鼻立ちが整っており、ロングのストレート。
ひと昔前に流行った「アジアンビューティー」のという言葉がピッタリだ。
「か、彼女ですか?」
確かに同僚にネタにされるくらいにには悩んでいる。
それがなければ、ここにもきっと居ないだろう。
だが、なぜこの女性がそのことを知っているのだ。
「簡単よ。昨日話していたからじゃない」
「あー・・・そういう、って!どうして俺の思考が読めるんですか?!」
「どうしてって?」
ニヤリとまた笑みを浮かべながら一歩一歩近づいてきた女性を見る。
雰囲気がおかしい。
なんだろう、この感じは。
人間の姿をしているが目に生きている感じがまるでしない。
「アタリ。私は妖怪。目撃した人間は女郎蜘蛛と呼んだりしたわね」
妖怪?!
このテクノロジーが揃っている時代に一体何を言っているのかと思っていたら
女性の手から糸が出てきて俺の首に巻き付く。
少し粘着力のある白い糸。
間違いない。蜘蛛の糸だ。
「これでも信じない?信じなかったら首をこの糸でへし折るけれど」
「いえ・・・」
笑顔で首を折るなんて人間は言わない。
両手を挙げて降参のポーズを取る。
彼女が人間でないことだけはよくわかった。
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