ヤケ酒の報いがやってきた
確かに昨夜はよく飲んだ。
半分以上がヤケ酒だ。
奢りと言われて調子に乗ったのも大きい
ウイスキーをロックで4杯飲んだ後からの記憶が一切ない。
そもそもウイスキーのロックはゆっくり味わうものであり、ショットのようにガバガバ飲むものではない。それをショットのように飲んだ時点で目を回すのは目に見えていた。
しかもあそこの酒は本物だ。
老舗のバーはいい加減な仕事を許さない。
だが、だがだ。
全くわからない場所で寝るか?
片瀬も先輩も居ただろうに、どうしてこんなキングサイズのベッドで寝ているのだ。
全く訳がわからず起き上がり頭の痛さで顔をしかめる。
よく見ると、俺は全裸だった。
パンツ一丁はたまにあるが、
全裸で寝る癖はさすがにない。
「う・・・ん・・・」
ベッドから自分以外の声がする。
しかも聞いたことのない女性の声。
隣を見ると黒髪ロングの女性が横を向いて眠っている・・・
一気に血の気が引いた。
ちょっと待て!!
俺は一体何をしてしまった?
いや、してしまったのかはまだわからない、わからないが明らかにこれは駄目だろうというシチュエーションになっている。
自分を信じたいけれど、信じられない光景に頭を抱えるしかできず
だんだんと脳裏には桜ちゃんの姿が浮かぶ。
どう誤魔化そう。いや、誤魔化すなんてしていいのか?これはさすがに俺に非がある。いや120%俺が悪い。
こんな時に限って桜ちゃんと牧場でデートしたことを思い出した。
彼女は動物が大好きだ。
それを知った俺は会社の福利厚生で牧場のペアチケットが手に入ったことを告げ
二人で行った。
子牛にミルクをあげる体験や
乗馬体験もして
お昼はジンギスカンを一緒に食べた。
「小泉さん、羊のお肉って以外と美味しいんですね!」
なんて笑顔で言っていた彼女の笑顔が忘れられない。
帰りのお土産に彼女は仕事場にクッキーを買っていたのでその隙に、フワフワの羊のぬいぐるみのキーホルダを買って
別れ際に渡した。
彼女は目に涙を浮かべ
「小泉さん、ありがとうございます、一生大事にします!」
と言ってくれた。
そんな、そんな彼女を俺は裏切ってしまった。もう、終わりだ、破滅だ・・・。
「なにをさっきからクルクル回ってんのよ」
「そりゃあ、回りもしますよ!だって、だって!!!」
横に眠っていた女性が体を起こしこちらを見ていた。
もちろんその女性も全裸であった・・・
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