第15話 一人の悪魔

「紅蓮のファイヤーランス!!」


その魔法とともに、戦いの火蓋が切られた。フランの魔法、紅蓮のファイヤーランスはとてつもない速度で悪魔の方へ投擲される。しかし、その攻撃をやつは、何でも無いかのように吹き消す。まるでマッチの日を消すかのようである。


「ふぅ、危ないですね。なぜ攻撃するのでしょうかね」


そうつぶやく後ろに俺は回り込み、首元めがけて足を横薙ぎに回し蹴りをする。


「なるほど、少々厄介ですね」


悪魔はそうつぶやくと稜の足を手でつかみ、ぶん投げる。


「っチ、気配は完全にけしてたと思ったんだけどな」

「ふふ、甘いですね。もっと予想外の攻撃をしないと、こんなふうにね」

「・・・・・・なにを――」


起き上がりながらそう言いかけた瞬間、とほうもない熱を感じる。熱を感じた場所に目を向ける。そうすると目の前には、真っ黒な炎の玉が出現していた。直径で言えば10メートルほどの黒炎の玉がこちらに飛んでくる。


「っち、無駄にデカく作りやがって」


起き上がった瞬間ときに右手に石を掴み、そのバカでかい黒炎の玉に猛スピードで投げる。すると・・・・・・。


「――な!?」


黒炎の玉がその石によって破裂し、更にその石が悪魔の頬をかする。それと同時に英知さんが一言つぶやく。


『解析が完了しました。個体、悪魔の戦闘力は最低でも主様の10倍はあるでしょう』

(うせやろ・・・・・・)

『否、本当です』

(えぇ・・・・・・)


かなりの悲報である。


「なるほど、少々あなたの戦闘能力を侮っておりました。申し訳ありません」

「・・・・・・そのまま油断してくれてれば嬉しいんだが?」

「クフフ、何を仰るのですか。あなたの実力がわかった以上、私は何でもいたしますよ?」

「・・・・・・なんでも? それってどうい――」

「こんなふうにね」


そう俺の言葉を遮った時、俺は目を見開き、焦りだす。なぜならそこに、悪魔に首を絞められたフランが居たのだから。

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