第10話 そういえば・・・・・・
「そういえば、前城下町ん降りたとき全く活気がないように見えたんだが。街のみんなはなんであんなに元気がないんだ?」
俺は早朝の会議にて、ある疑問を投げる。
以前俺が街に降りたとき、どこか、町の人々の目に元気がないように見えたのだ。少なくとも気の所為ではないと思うのだが、どうやらその疑問は的中したらしい。
「リョウ、そのことについてなのだが・・・・・・実は勇者達に我々の領地にある水源を潰されてしまったのじゃ。今まで複数の湖から水を引っ張って来ていたのだが、半分以上の水源をやられてしまったのだ」
「なるほど、水不足ってことなんだな?」
「そういうことです。こちらの魔族領ではほとんど雨も降らず、町の人々の飲水や生活用水などはすべて湖の湧き水から補っていました。すべての湖が機能していたときはこうはならなかったのですが・・・・・・」
「ま、要するに水が足りないわけだ」
「ま、まぁ、簡単に言えばそういうことになる」
(もし毒とかに侵されていた場合、長い時間が掛かるが・・・・・・)
「行ってみないとわからない。すぐにその湖全部周るぞ」
正直今の時代の科学力でどうにかなる気はしないが、その場合英知先生に頑張っていただこう。
そして、歩くこと数十分、普段生活用水で使われている湖までやってきた。
「・・・・・・正直、ここまで見た目が変わってると思わかなったな」
「・・・・・・」
「? どうしたフラン?」
「昔、私達が7や8歳になる頃か、この場所にお父様たちの目を盗んで遊びに来ていた。懐かしい」
「・・・・・・そうか、それじゃあもとにもとに戻さねえといけねぇな」
「ここまで変わってしまったら・・・・・・私達魔族のちからではどうすることもできないさ」
「確かに、今の魔族の技術力じゃ無理だ。確実にこの湖をもとに戻すことなんてできやしない。でも、今ここにいるのはこの俺だぜ?速攻直し切ってみせるさ」
「リョウ・・・・・・」
「そうと決まれば早速実験のお時間だ。さっさと汚染された湖たちをもとに戻して、領地のみんなにうめえ水を飲ましてやろうぜ!」
「・・・・・・あぁ!」
正直なところ、どれだけ時間がかかるかわからない。数ヶ月の時間が立つ可能性もあるし、下手をしたら数十年掛かる可能性もある。だが、確実に言えることがあるとするのならば。
「俺が居れば、絶対に元に戻せる」
ただそれだけだった。
「よっしゃ!それじゃ早速始めちまうか!」
まず気になるのがこの湖がどうやって汚染されたかだ。まぁ魔法でやったのは確実だと思うが、ありとあらゆる方法を試す価値はある。
「いやぁ、ガラスを作っておいてよかった良かった。こいつがなかったら完全に詰んでたからな」
こちらの世界で密かに俺はガラス器具を大量生産していた。こういう事が起きているとは夢にも思わなかったが、もしかしたら生前の知識が役立つかと思って作っておいてよかった。
(まぁ、言っても地道な作業になるがな)
化学物質の汚染であっても直ぐに元に戻しきれるというわけでもない。重金属なら重金属で定性分析というものをやらないといけないし、まぁ長い話はあとにして、色々やらないといけないのだ。
もしかすると、よくある?神聖魔法のようなもので一気に浄化できる可能性はない訳では無いが、魔族が使えるかは微妙なところだ。
(まぁ俺は魔族ってわけではないのだけれども!あ、そうじゃん、英知さんに使えるかどうか聞けばいいじゃん)
『解、神聖魔法は人間独自の魔法です。魔族、及びヴァンパイアなどの種族では習得不可能です』
(oh...不可能宣言をされてしまった)
『しかし、魔法を作ることなら不可能ではありません』
(お? もしかしてかなり早い方法でも見つかったのではないか?)
『解、実際かなり有効な手段です。しかし、魔法を作るのにかかる平均的な年月は10年から15年と言われております』
(英知さんならどのくらいで終わる?)
『解、ざっと2ヶ月ほどでしょうか』
(なら問題ないな。普通の水属性魔法なら習得にどのくらいかかる?)
『解、
(それなら2ヶ月位は問題なさそうだな)
俺がいまから数時間もしくは数日で水属性魔法を覚えれば2ヶ月分位の水を生成し、保存さえちゃんとすれば問題なく今までの生活味戻れるはずだ。
(魔族の人口が14万人ほどだからざっと・・・・・・2352万Lくらいか。一気にじゃなく、一日に必要なだけ出したほうが良さそうだな)
今でも生きている湖の分は計算に入れていないので実際に必要な水の量は、いま計算して割り出した半分ほどでいい。
ただ、農作物等にも水は必要だし、風呂などにも水は大量に使われる。正直なところ、俺の体力が持つかどうかが全くわからない上、もしかすると死に絶える可能性すらあるのでそこが少し怖いところなのだ。
(英知さんや、魔力の使い過ぎで息絶える・・・・・・なんてこと、あるんですかね?)
『解、あります』
本当に死ぬ可能性が出てきたかもしれない今日このごろであった。
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