第11話 水を作り出そう!

「魔法はイメージが大切なのだ、水であれば流れる川であったり、火であれば燃え盛る炎であったり。そのイメージが強いと魔法の威力が上がるのだ」

「なるほど、イメージなんだな」

「一度イメージしてみるとよい。リョウなら直ぐにできると思うぞ」

「あぁ、ありがとうなフラン」


俺は今、フランに魔法の使い方を聞いている。魔力量に差は出るものの、イメージが強く出来ていれば魔法は使えるし、威力も上がるらしい。

魔力量が多いがイメージが乏しい者と、魔力量が少ないがイメージの豊かな者、その二人が勝負をしたら意外とイメージが豊かな者が勝ってしまうらしい。


「イメージ、なるほどイメージか」


そんな事を呟きながら目を瞑り、イメージをする。


(最初は水の生成から)


そう考えていると、手のひらの真上に軽い破裂音とともに水の球体が出来る。


「うわっ!びっくりした。いきなり破裂音・・・・・・一体何をイメージしたのだ・・・・・・」

「水の生成の仕方。酸素原子と水素原子を結びつけるイメージをしただけだよ」

「サン・・・・・・え?なんて?」

「酸素と水素。この世界には元素っつうもんがあってな、そいつらが存在してることでこの世界が成り立っているんだ」

「そ、そうなのか?」

「そうだぞ?俺たちはなんのために呼吸をしてる?」

「呼吸をしないと・・・・・・生きれないから?」

「なんで呼吸をしないと生きれないんだ?」

「・・・・・・わ、分からない・・・・・・」

「生き物ってのは呼吸をすることで大気を吸うわけだ。その大気中から生き物に必要な成分を呼吸をすることによって取り入れる。そのための肺だ。生物の細胞には酸素が必要なんだ。そのために血液が酸素を運んでくれる」

「血とは・・・・・・そんな役割をしていたのだな」


この会話で何個かわかったことがある。この異世界の知能のある生物たちはあまり科学に詳しくない、つまり知識的に俺はかなりのアドバンテージがあるわけである。


(これは思わぬ収穫だな)


この知識を使うだけでもこの異世界でかなり無双できる。と、そんな事を考えているとフランからの質問が飛んできた。


「さっき破裂音がしたが・・・・・・あれはなんなのだ?」


どうやらフランはさっきの破裂音に興味を持ったらしい。


「酸素と水素が結びついて水ができるって言ったよな?」

「ああ、言われたのう」

「実は酸素と水素を混ぜれば結びつくわけじゃなくて、一回過程を挟まないと結びつかない」

「それがあの破裂音と関係があるというわけなのだな?」

「まさにその通り!あの破裂音は火をつけて、気体が一瞬で燃えた音だ。一つの過程として2つの原子の混合気体に火をつけないと水は生成されないんだ。因みにあの音は水素が爆発的に燃えた音だ」

「な、なるほど・・・・・・よく分からない・・・・・・」

「まあそこは追々勉強だな。基礎からしっかりやれば分かってくるさ」

「頑張ってみる」

「おう、頑張れ」


応援しながら頭を撫でてやると、フランの表情がくにゃっとまがった。嬉しいようで何よりである。


「よし、フランちゃんや、本気で水を出すから少し離れてて」

「う、うむ......分かった」


(あくまでさっきの魔法のイメージ、それを数十倍に大きくする)

『主様、室内で水生成魔法は使用するべきではありません。この場が吹き飛びます』

(あ、たしかに。吹き飛んだらまじで洒落にならないな)


流石に部屋が吹き飛んだらまずいと思い、俺はその魔法を中断する。そうするとフランがよってきた。


「どうしたのだ? さっきの魔法を使わぬのか?」

「うーん、英知酸によるとこの部屋が吹き飛ぶレベルの爆発が起こるらしいからやめておいた。やるときは外でやろう」

「なるほど、流石にそれはまずいのう。城のみんなをびっくりさせてしまう」

「うん、だからやめておくよ。後で外に行ってやってみようか」

「うむ!」


うん、カワイイ。そう思いながらフランの頭を撫でてやる。そうするとやはりフランは嬉しそうに表情をフニャッとさせた。うん、とにかくカワイイな。


『・・・・・・』


なぜか英知さんが呆れていたような気がするがいいだろう。だって俺だってバカップルだなーと思っているのだから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る