第4話 魔王城復興作戦開始!【2】

 長い一日が終わった。現在は新星歴514年1月5日の朝方のお話。 


「復興するにしてもマンパワーが足らなすぎるな」

「魔王城内にはこの4人以外生き残っていないからのう」


 城内の生き残りは4名とかなり少なくなってしまったようで、この先少し不安なところがあった。


 復興作戦に支障をきたしてしまうのだ。建物の建築的な知識は問題ないのだが、いかんせん人手が足りない。足りなすぎる。俺含めて王城には7名しか人手がおらず、早く見積もっても復興は3ヶ月以上はかかる。


「そういえばこの城の周りはどうなってる?城下町なのか?」

「城の周りには一般魔族が住む街になっている。だが、勇者たちが城下町をそのままにしておくとは考えられぬ」

「ま、だろうな」


 そこでレオナが口を開いた。


「城下町の方は大丈夫だよ。ナイアたちは一直線でこの城まで来たから」


 これは嬉しい誤算だった。城下町がほとんど無傷ならなんの問題もない。人はいるだろうし、ましてや魔族なんだからパワーのあるやつも居るだろう。


「こりゃありがてぇ情報だな。あとで城下町まで行こうか」

「すぐに行くわけじゃないのだな」

「今はまだ朝方だし、それに、死んでいった奴らを弔わないといけないだろう?」

「・・・・・・たしかに、そうであるな」


 おれがそう言ったあと、レオナがいきなりうつむいた。


「どうした?」

「私なんかが、いても良いのかな・・・・・・と」

「何がだめなんだ?」

「私が殺した魔族もいます。肉親を殺された者だっています。なのに、私が此処にいて良いのかな・・・・・・と」


 彼女は彼女なりに考えていたらしい。確かに肉親を殺された人だっていたはずだし、レオナに恨みを持つものだって存在するだろう。


 「レオナよ」


 そこでフランが口を開く。


「魔族の絶対不変のルールを知っているか?」

「不変の、ルールですか?」

「弱肉強食、弱いものは奪われ強いものが奪う。それが魔族、魔物の絶対不変のルールなのだ。魔族が戦いに応じた時点でその覚悟もできて追ったはずである。気に病むことは全く無いのだ」

「そ、それでも・・・・・・」

「いいのだ、本当に、いいのだ」


 フランは遠くを見るような目をしていた。ああは言っても流石に同胞を殺されたことに思うところはあるのだろう。


「レオナ、命は決して軽くない。だからこそ弔わないといけないんだ。人間でも魔族でも、命の価値は決して変わらない。これだけは覚えていてくれ」

「・・・・・・うん・・・・・・」


 これは俺なりの説教だ。命は絶対に軽くない、だから命を取った分叱る。それが道理だろう。


「しっかり反省して、弔うんだ。いいな?」

「・・・・・・うん、分かりました」

「よし、わかれば良い!それじゃ、火葬する準備をするか」


 それから数時間後に城内にいた魔族たちの火葬が行われた。弔われた魔族の総数は318人。かなりの数の魔族が亡くなっていた。


「戦力もとんでもなく落ちただろうな」

「そうであるな。どいつもこいつも、我が魔族たちの精鋭であった。我のために、大儀であった」


 フランを見ると涙を流していた。


「・・・・・・フラン、俺はお前の気持ちは全くわからん」

「そう、であろうな」

「わからない分、お前の心の傷を癒やすことはできる」

「・・・・・・ありがとう」


 俺にフランの心境は全くわからない。でも、時間はかかるだろうがフランの心の傷を癒やすことはできる。


「大丈夫、俺やレオナ、生き残った4人や町の魔族たちがいる。お前はひとりじゃないからな」

「・・・うん・・・うん」


 そう言ってフランのことを抱きしめると、俺の胸に顔を埋めてきた。


 そうして全員分の火葬が終了した。今知ったが、こちらでも火葬や葬式などをするらしい。この考えは俺の世界の考えだと思っていたが、どうやら違ったらしい。


(意外とこっちと向こうで同じようなところがあるのかもな)

『是、言葉などは全く違いますが、物や人名などは似ているところがあります』

(うわびっくりした。英知さん、帰ってるなら帰ってるって言えよ)

『失礼しました』

(まぁいいや。ていうか人名が近いってどっち基準?日本?海外?)

『大体は海外ですが、稀に日本基準の場合もあります』

(あら、これは以外)

『どうやらファミリーネームが前に来る民族がいるようです』

(なるほど、民族ってわけか。だから個体数が少ないわけね)

『そのとおりです』


 日本のように、性が前に来るのは結構珍しい。日本以外だと中国とか韓国とかハンガリーかな?アジアに多かった気がする。俺が死んだ頃の国家数は196カ国だから園10分の1にも満たないくらい珍しい順番だろう。


(そういえばフランとレオナはどっちなんだ?)

『分かりません。本人に聞くことをおすすめします』

(流石に個人情報は知らないか。ま、知ってたら俺ちょっと引いてたかもね)

『流石に個人情報はインプットされたおりません。これからダウンロードすることは可能です』

(へぇ、保存できるのか。結構便利なんだな)

『自分で言うのもなんですが、かなり便利な機能です』

(本人様公認のチート機能だね。容量とかは?)

『解、制限はありません』

(ありゃ、こりゃほんとのチートだわ)


 英知さんはまじのチートを持っていたらしい。


(それじゃ、ちょっと計算をお願いしたいんだけど、いいかな?)

『ふふ、お任せください』

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