第79話 ライバル対決

 初めに、お詫びと訂正。


 また名前ミスをしてしまいました。


 雪屋雫→雪屋愛実めぐみ


 と、変更いたします。

 今回のお話で舞木りんのライバルとなるのが香坂雫で、同じ名前のためです。

 うっかりというか、何故気づかなかったのか。ダメダメですよね。

 話を膨らませようと、予定にない選手を入れようとしてしまったのが、ミスの原因です。

 

 申し訳ありませんでした。






 ここから、本編です。

――――――――――――――――――――――――



 瑠利、カエデ、佳奈美とそれぞれがベストを尽くした前半戦。

 ここまで三人のスコアーをトータルすると2オーバーで、例年なら優勝を狙えるレベルだ。

 続く舞木りんと吉瀬咲緒里の二人が、どのようなスコアーで上がってくるか。

 それ次第で優勝も現実のものとなるが、そう簡単にはいかせてくれないのが、伝統校の意地である。


 今年はどの高校もレベルが高く、好スコアーが続出。

 富士アザミ女子の藤居奈緒が1オーバーで上がってきたこともあって、上位は肉薄しており、一打のミスが命取りになるような、そんな戦いが繰り広げられていた。


 そして、この組もライバル同士の熾烈な争いが、繰り広げられている。

 

 春乃坂学園ゴルフ部四番手登場となったのは、舞木りん。

 彼女と同組には竜峰学園の香坂雫がおり、二人はジュニア時代からのライバルだ。

 実力的にもあまり変わらず、どちらが勝つかはその時の状態次第。

 ただ、どちらかというと香坂雫は舞木りんを苦手としており、会場で出会った時も、そのような態度であった。


「やあ、シズク。おひさ」


「うげっ、舞木りん」


「むむ、うげっとは酷い。わたしたち、親友だよね」


「うっ……」


 こんなやり取りから始まり、プレー中も。


「シズク、ナイス」


「ありがとう」


「でも、わたしはもっと上手い」


「うるさいわね。スコアーは一緒じゃない」


「うん、でもこれで」


「うげっ、ナイスバーディー」


「心がこもってない」


「ああ、もう、うるさい」


 とまあ、マイペースな舞木りんに振り回されるのは、いつものこと。

 それでも五番ホールを終えてイーブンパーの舞木りんと、1オーバーの香坂雫。

 残る二人の同伴競技者は崩れ、それぞれ4オーバーで置いて行かれた状況だ。

 決して悪い内容ではなかったものの、舞木りんと香坂雫が抜けていた。



 続く六番ホールは354ヤードのパー4。

 左ドックレッグで、やや打ち下ろしのミドル。

 

 このホールで舞木りんは、思い切ったショットを放つ。

 というのも、球筋がフェード(右へ曲がる)気味の彼女は、林越えのショートカットを狙ったのだ。

 春乃坂学園では瑠利に続く飛距離を持つ舞木りん。

 その狙いは正確で、曲がり幅まで計算されたスーパーショットである。

 キレイに林の上を通り抜け、グリーンまで50ヤードの位置に落下。

 ランはほとんどなかったものの、グリーンにいた前の組は度肝を抜かれたことだろう。


 その結果は本人に見えてないのだが手ごたえは十分だったらしく、ドヤ顔で、振り返る。


「ふふふ、完璧。まいったか」


「はいはい、おめでとう。それより、私の番だから、早くどいてちょうだい」


「うん、頑張れ」


「ありがとう」


 と、それでいて、二人は仲が良い。


 香坂雫は反対にドローヒッターであるためコースなりに攻め、こちらは残り100ヤードのフェアウェイと完璧だった。


「さすが」


「まあ、あんたのショットには負けるけどね」


 そうして二人が競い合うものだから、残った同伴競技者は堪らない。

 必死で食らいつこうとするも、差は開くばかりだ。


 結局、このホールはどちらもパーで終わったが、同伴競技者の二人はボギーと、また一つスコアーを落とす。


 続くショートでも争う二人はピンに絡むショットを放ち、巻き込まれた形の同伴競技者たちは、もうボロボロ。


「もう、嫌。この二人」


 そうボヤくほどに、舞木りんと香坂雫のショットは冴えわたる。


 ゴルフは自分との闘い。なんて言われることもあるが、同学年であんなハイレベルな戦いを繰り広げられれば、同伴競技者の心が折れても不思議はないはずだ。


 前半を終わってみれば、舞木りんはイーブンパーの36スコアー。

 香坂雫は1オーバーの37スコアーと、ここまでの上位。


 ただ、同伴競技者の二人は44スコアーと45スコアーで、苦しい戦いとなっていた。

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