群青の呼ぶ

官能的な文章というものが不得手なので、NLでもBLでもGLでも恋愛が絡んだ物語を書く機会はあまり無いのですが、お題(BLまたはブロマンス)を戴いて数週間悩んだ末、初めに思いついたお話が「“デヴシルメ”の選考過程で知り合った二人の少年が、一人はその美貌と才覚で宰相に登りつめ、もう一人は宮廷学校の教師となって再会し、“デヴシルメ”の廃止を巡って議論する」という、とてもニッチなものでした。最近時代ものに取り組んでいなかったので、書きたかった……のですが、読んで下さる人はおりますまい……


そもそも“デヴシルメ”とは何なのか。これはオスマン帝国が採用していた官吏登用制度であり、属国の異教徒(主にキリスト教)家庭から子弟を徴用選考し、高級軍人・官僚に育てるものでした。よく圧政の象徴のように説明されますが、実際にはとても機能的な制度でして、徴用される子弟は長子を除く・チュルク(トルコ語)の基礎があること、個人の特性・技能によって軍人・文官・職人などの専門教育を施され、特にイェニチェリ(皇帝の親衛隊)になった者には結婚して家庭を持つことはことになっていたそうです(特定の一族に権力・富を集中しないため)。多民族から構成される超エリート集団。世界史好き腐女子の萌え要素が盛りだくさんです。


皇帝の美少年ハーレムみたいに想像されることもありますが、“美少年“たちであったことは確かであるようです。というのも、オスマン帝国では『内面は外面に現れる』という考え方が主流で、つまり『賢い人間は美しい』『美しい人間は賢い』のです。偏狭さもゴリ押しに前面に出されると、正しいような気がしてくる。帝国は属国から徴収した財を惜しみなく芸術・工芸、建築・服飾に注ぎ込みました。なぜなら、『文化の絢爛さは国の強さ』であるから。他国を圧倒し、帝国を輝かすものは、武力ではなく文化であるのです。こういうところがオスマン帝国の凄まじいところだと、私は思っています。


書きたい! でもその前に駆け足で書いてしまった『泡と』を手直ししないといけません!!

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