第13話 無神経であるがために、幼馴染みの本当の気持ちに気づけない
偽物って、私でも見抜けなかったものを、見抜けてしまう誠君は、それだけ青葉ちゃんのことを見ているということになる。
そのことに、私は嫉妬が強くなるけれど、何でもできないでいる。
私は、こんなに近くにいて、誠君のことを支えていても、恋愛対象にならない。
あの時、告白しなかったことを強く後悔した。
ラブレターも書いてばかりいて、全然1通も渡せていない。
私は誠君と青葉ちゃんの幸せを見届けたいのか、自分が誠君の一番に昇格したいのか、どれが自分の本当の気持ちかわからなかった。
このふたつの気持ちがいったりきたりしていた。
「お遊びはここまでにして、そろそろ囚われのお姫様を登場させるか」
「それを言うなら、お嬢様じゃないかしら?」
「自分で言い始めたことだけど、どっちだっていいさ。
青葉、そろそろ出てきてもいいぞ」
勇気さんがそう言うと、どこからか青葉ちゃんが現れた。
「はい、勇気さんにお姉様」
「青葉!!」
誠君が、青葉ちゃんに駆け寄った。
「大丈夫か?
怪我はないか?
あいつらに、何かされてないか?」
「大嫌い・・・・」
「え?」
「大嫌いって言っているの。
本当に、わからない?」
青葉ちゃん、いつもと様子がおかしい。
瞳はいつもの明るい感じじゃなくて、人を見下すような雰囲気になっていた。
「いつも、いつも、鬱陶しいの。
どんなに、どんなに、言っても、全然わかってくれない。
あたしは、理解してもらうためにどうすればよかたの?」
「急に、何を言っているんだ?」
「あたしは、好きな人がいるの。
だけど、君は邪魔をした。
あたしの気持ちなんて、どうでもいいの?」
「それは君が本気で好きだったから、俺だけのものにしたくて、止めただけだ。
何が悪い?
自分の気持ちに、俺はいつでも正直なんだ!」
何の話をさているのか私にはわからなかったけれど、なんとなく想像がついた。
青葉ちゃんは好きな人ができたことを誠君が何かしらの方法で知ってしまって、一途で一直線な誠君は邪魔してしまった。
だけど、誠君のことだ。
共感能力に欠けているために、やらなくてもいいことまでやってしまって、人を追い込むこともある。
「それが嫌だって言うのが、わからないの?
告白したところに、乱入して恥ずかしくないの?
大嫌い。
あたしの恋心はわからないのに、自分のことだけ理解してほしいとか都合がよすぎる。
君って、嫌われる男だよね」
「そんな言い方ないじゃないか!
俺だって、さすがに傷つくよ!
幼馴染みだからって、何を言ってもいいとかじゃない!」
「ここまで言わないと、わかんないじゃない!
無神経だってことを自覚してよ!」
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