第10話 井藤誠の欠点

 私は、青葉ちゃんのためにパラレルループをしないと安堵してしまった。

 確かに紫帆ちゃんも殺されて、緑ちゃんは私たちを騙すためだけに近づいて、青葉ちゃんは二度も唄さんに狙われる。

 それに、私はまだ誠君が好きだけど、誠君は青葉ちゃんが好き。

 親友だけど、ライバル心が捨てきれない自分がいた。


 私は誠君が退院するまで、何回も誠君のいる病院に向かった。

 

「誠君、今日も来たよ」


「ありがとう。


あれから、数か月たつけど、青葉は大丈夫なのかな?」


「悔しいことだけど、今は助けに行けないよね」


「俺も怪我が少しずつだけど、治ってきているから、退院が認められたら、青葉を助けに行くよ」


「そうだね。


青葉ちゃん、無事だといいんだけど」


「唄のことだから、こればっかりは保証できないな。


もしかしたら、生きてないんじゃないかって不安が押し寄せてくるんだ」


「大丈夫。


きっと、大丈夫。


そう思うことにしようよ」


「だよね。


わからないことに、不安を感じてもしょうがない。


早く怪我を治すことだけ、今は考えなくちゃ」


 誠君はしばらくしたら、怪我が治り、退院することになった。


 こうして、私と誠君で青葉ちゃんを助けに行くことにしたけれど、居場所がわからなかった。


 そんなところで、緑ちゃんが現れた。


「緑ちゃん?」


「やっと、退院したのか。


退屈しちゃったよ。


でも、まあ、青葉のおかげでいい暇つぶしになったよ」


「緑?


どうして、そんなことを?


青葉に何をした?」


「そう焦るなって。


今から、唄さんの居場所を教えるから、これで落ち着くんだ」


「質問に答えてない。


どうして俺たちを騙すことをしたのかということと、青葉に何をしたか答えて」


「やんなるなあ。


誠の障害は、一度気になることがあると、頭から離れなくなるかあ。


数年も耐えられた自分に尊敬するわあ。


どうして、うちが誠たちを騙すことになったとか、青葉がどうなったのか自分の目で確かめに行けばいいじゃん。


敵であるうちが、どうして詳細とやらを教えなきゃいけない?


うちはあんたが嫌いなんだし、関わりたくないんだよ。


それくらい、わかってほしい。


って、あんたに行っても無駄か。


とにかく、居場所だけ教えておくから、そこ向かえ。


うちは、後のことは知らん」


「緑・・・・」


 緑ちゃんは私に居場所だけつたえたら「じゃあな」と一言で去っていった。


「居場所を簡単に教えるとか、明らかに罠だよ」


「そんなことは関係ない。


青葉のことを一刻も早く助けなきゃ」


「無謀すぎるって」

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