第8話 数年の月日が流れたら、裏切りが出てくる
こうして、数年の月日が流れて、私と青葉ちゃん、誠君、緑ちゃんは中学三年生となり、四人は幼馴染となった。
誠君は大切な存在を守れるように、と最強の騎士となった。
青葉ちゃんは児童養護施設にいたけれど、養子に入ることになり、今となっては名家のお嬢様。
緑ちゃんは兵士となり、剣術は誠君よりも上だけど、物理となると男の子である誠君の方が強いとなってくる。
私はというと、剣術の才能もなければ、魔法の才能もない。
ただの守られの最弱女ということになる。
だけど、私は何かの役に立ちたいので、メイドとなった。
メイドの仕事は簡単ではなかったけれど、おかげで料理や洗濯物、掃除も含めて、身の回りのことは一人でもできるようになってきた。
誠君は、唄さんに紫帆ちゃんを奪われて、最初は恨んでいたり、生き返らせることに挑戦したり、かたき討ちをするとも怒りに燃え上がっていたけれど、それが全て意味のないことだとわかった今は、こうして私たち幼馴染を守ることだけに専念してくれている。
二度と、同じ悲劇を繰り返さないために・・・・。
私たち、四人は幼馴染であるがために、深い絆で結ばれていると思っていた。
ずっと、思っていたのに・・・。
お城に、唄さんがやってきて、一人で次々とやっつけていく。
唄さんの物理攻撃は、なぜか強くて、私と青葉ちゃんは見ていることしかできなかった。
緑ちゃんと、誠君の二人で、唄さんと戦っていた。
「なかなか、やるわね・・・・」
「ああ、こっちもだ」
「だけど、油断大敵よ。
緑、今すぐやりなさい」
緑ちゃんは、誠君を後ろから剣で刺した。
誠君は、うつ伏せの状態で、血だらけになって倒れた。
「緑、どうして・・・・?」
「実は、うち、騙していたの。
この数年間、この時を狙って、あんたたちの信頼を勝ち抜いた上で」
「裏切ったのか・・・?」
「裏切ったんじゃなくて、最初から騙すことを目当てに近づいていたことに気づかないなんて、あんたはどんなに頑張っても脳筋ってことが、今ここで証明されたね」
「そうよ。
誠、そもそも、あたしに味方がいないって思いこんでなかったかしら?
残念。
あたしには、緑という味方がすでにいたということよ。
あんたを絶望させ、情報収集もすべてこの子がやっていた。
だけど、誠も含めて、みーんな違和感に気づかなかった」
「そうだね、誠。
あんたは、考えなしだよ。
少し考えれば、何で唄さんに情報がばれているのか、違和感を持てたはずだけど」
こうして、緑ちゃんが誠君を剣で、唄さんは蹴りで攻撃しつづけた。
「やめて!」
青葉ちゃんは、叫んだ。
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