第7話 二回目の惨劇で幼馴染はある決意をする

 でも、やっぱり唄さんは私たちのところにやってきた。

 小学生の段階で、妬みとか強いのは異常かもしれない。


「誠、ハーレムでも送っているのかしら?」


「送ってないよ。


みんな、ただの友達だよ」


「ふうん、まあいいわ。


恋愛という意識はない?」


 青葉ちゃんと、私は「ない」と二人同時に答えた。


 緑ちゃんは、唄さんに質問をした。


「恋愛としての意識って、なあに?」


「異性としての感情よ。


まあ、小学1年生のお子様には、そういった話はまだ早かったかしら?」


「よくわかんないけど、君は何歳なの?


というか、誰なの?」


「あたしは、唄よ。


誠のお姉さん。


学年は、小学3年生ってとこかしら?」


「唄ちゃんって、綺麗だね」


「まあ、ありがとう。


実は無名だけど、キッズモデルもやっているのよ」


 ここで、空気を読まない紫帆ちゃんが答える。


「紫帆は、誠君、大好きだよ。


誠君と付き合っているの」


「最近の小学校低学年は、ませているのかしら?


付き合うって、どんなふうに?」


「キスもしたし、手もつないで歩いたりもしたんだ。


将来は、誠君と結婚するって婚約もしたの。


指輪は、まだもらってないけど、大人になってから買ってもらうんだあ」


 やばい。

 唄さんの地雷を踏んじゃったよ。


「紫帆ちゃん、もうこれくらいにしようか・・・・」


 誠君は止めたけれど、紫帆ちゃんは止まらなかった。


「誠君にお嫁さんになりたい人を、ランク付けしてもらってね、1番は紫帆だったの」


「これ以上、言うとどうなるのかわかっているかしら?


幸せ発言はやめてもらえない?


少しでも助かりたい意思があればね」


 唄さんは、一瞬で隼のように動いたかと思えば、紫帆ちゃんは地面に倒れた。

 しかも、血だらけになっていた。


「小学低学年の分際で、偉そうな発言や態度をするんじゃないわよ。


いつ、どこで、誰が被害にあるのかわからない世の中で、軽々しいことをすると、どうなるか身に染みておくのよ。


って、死人にいってもしょうがないか。


話を聞いていないというか、聞くことすらもできないものね。


じゃあね、誠、またいつか会いましょう。


次、会う時はいつになるのかしらね」


 こうして、唄さんは去っていった。


 紫帆ちゃんはこの世界で、誠君の初恋で、初カノだったけれど、こうして亡くなってしまった。

 紫帆ちゃんに家族はいないので、児童養護施設の職員や、子供たちがお墓参りに行くことになった。


「絶対、強くなってやる・・・!」


 誠君が泣きながら、私と青葉ちゃんと緑ちゃんの前で呟いていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る