第4話 認めたくない真実

「すべて・・・・事実なんだ・・・・」


「事実って?


青葉ちゃんは、どうだったの?」


「青葉は、まわりからどんなに言われようと、俺が発達障害があることは否定していた。


だけど、両親が離婚になったのは、父が俺の障害を認めたくないって、ぜーんぶ、母のせいにして・・・・。


ごめん、今までそんなこと黙っていて。


俺は青葉に嫌われたくなくて、必死に頑張っていたんだ。


変わり者かもしれないけど、普通でいようって決めていたんだ。


だけど、青葉がこの世界にいない今は、その決心が緩んだ。


西園寺さん、俺は発達障害なんだ。


小学6年生の頃に発覚した、正真正銘の出来損ないだ。


だから、青葉にバカにされたり、その事実を知ってもらうのは、男としてのプライドが傷つくけど、西園寺さんなら知られてもいいかもしれない。


バカにされてもいい。


バカにしたいなら、西園寺さんも好きなだけ俺をバカにすればいいさ」


「そんなの嘘だよ。


青葉ちゃんは事実を知らない上で、井藤君を肯定してくれたかもしれないけど、私はそんなことしない。


井藤君にどんな障害があろうと、病気があろうと、私は真実をわかった上で肯定するよ。


何も知らない状態で否定も、肯定もできないから。


私は、井藤君のことをもっとよく知りたい。


不自由することがあるなら、私が支えればいい」


「西園寺さん、ありがとう。


君は最高の友達だよ。


だけど、俺は青葉が好きだから、嘘をついてでも守りたいんだ。


青葉は幽霊の状態になったけれど、この姿になっても、俺はまだ青葉を騙したいと思っているんだ。


ずっと、騙したままでいるつもりだった。


だから、本当のことを隠さずに打ち明けらるのは、西園寺さんだけだ」


 そっか・・・。

 井藤君は、まだ青葉ちゃんが好きなんだ・・・。


「つまんねーの。


お前たち、もうここを去ろうぜ」


「そうだな」


 井藤君をからかっていた男子グループは、こうしてその場を去った。


「井藤君、私はずっと君の友達だよ」


「うん、そして大事な幼馴染になろうね」


「幼馴染って言うのかわからないけど、よろしくね」


 こうして、井藤君と私は親友になった。

 幼馴染かどうかはわからないけど、井藤君がそれでいいならいっか。


 青葉ちゃんがいなくなってからは、私と井藤君の二人でいることが多くなったけれど、私は彼に告白できないでいる。

 


 唄さんは、放課後になってから、学校の外で私の前に現れた。


「誠は、不幸になっていったかしら?


彼女がいなくなって」


「唄さん、どうして、そこまでして井藤君を不幸にしたいって思うんですか?」


 私は唄さんの質問に答えずに、唄さんに質問を投げかけた。

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