第30話 - 探索パーティー 2




「テレザちゃん大丈夫!?」


「大丈夫よ、イレネ」


「テレザ、本当にSクラスに入ったの?」


二人の少女が近づいてテレザさんに抱きついた。


「ええ、あの後は女王様と合って私たちのクラスは変わったの」


っと、テレザさんの言葉で全員がこっちを見てきた。


「この人はギリェルメさん。みんなも見たと思うけど、おの入学式で召喚のスキルを使ったら、その、彼が来ました…」


「テレザ…それは説明になっていないよ?」


途中から恥ずかしくなったテレザさんにそう言ったのは、茶色の三つ編みを前に流している少女。


(最高ですね)


「すまない、他の場所で話さないか?あまりスキルのことは知られたくないのさ」


周りの生徒はもちろん俺たちのことを見ている。



………

……



訓練所から離れて、俺たちは学園の中にある公園で話している。


(どんだけ広いよここ)


三人は木の下にあるベンチに座って、俺は立っている。


「紹介しますね、この二人は幼馴染のイレネと従姉妹のベアトリスです」


イレネは背が小さく、オレンジ色の短髪をした猫耳少女だ。元気な子に見えるが、上目遣いでこっちを見ながら、テレザさんの隣で礼儀正しく座っていて、何だかとても可愛らしい子だ。


ベアトリスは茶色の髪を三つ編みにして、前に流している。顔に可愛いそばかすがあり、町娘の格好が似合いそうだ。こっちも礼儀正しく座っていて、テレザさんの説明を聞いている。


(確かにテレザさんと似ているね)


「それで、あれからどうなったの?」


イレネさんが話の続きを聞いてきた。


「そうね、入学式が終わった後はギリェルメさんと一緒に女王様と他の貴族様たちが居た会議室に行ったの。そこで女王様は私のスキルについて聞いてきたのだけど……」


(この辺りの説明はいつも照れるねえ)


「そして私は知っていることを話したのだけど。その……召喚をする時に私を守る勇者に会いたいっとお願いしたのだけど」


「そして、ギリェルメさんが現れたっと…」


そう言ったのは驚いた顔をしているベアトリス。


「うわああ~ テレザちゃんそんなに乙女だったの?」


「ううぅ~」


「でもギリェルメさんはDクラスの生徒でしょう?どうして二人がいきなりSランクに変わった?」


っと、ベアトリスさんが冷静に聞いてきた。


(うむ、いいとこに気づいたね)


「そこは俺に説明をさせてくれ。名前はもう聞いている、ギリェルメだ。先ずは謝らせてくれ。昨日は色々とあったが、テレザさんのことを心配している人がいるのも考えずに連れてっていたのも俺だ。すまない」


先ずは謝罪だ。この数分でも分かる、この子たちはあまり寝ていない。きっとテレザさんを心配していただろう。


「そして、クラスのことだが。君たちも知っているかもしれないが、人間を召喚した人は存在しないはずだ。少なくとも、おとぎ話意外にはね。それだけですごいことだが、貴族たちはテレザさんの力を疑っていたんだ。そこで女王様が鑑定士に頼んで俺たちのステータスを全員に見せたが………」


俺はそう言って、彼女たちにも自分のステータスを見せた。


「ステータス」


「これは!?」

「すごい!」


「そう、見ての通り俺は勇者だ。だからテレザさんは勇者を召喚したことになり、女王様が俺たちをSクラスに昇格した」


(勇者の称号の理由は不明な点が多いが、今はこれでいいだろう)


「す、すごい、本物の勇者様」


「ギリェルメさんはどうしてDクラスに?こんなに強いなら最初からSクラスで合格してもおかしくないではないでしょうか?」


ベアトリスのその言葉に俺は三人に近づいた。他に聞いている人が居てもおかしくないからだ。


「うむ、こんなにことになってから言うのも何だが、俺はあまり目立ちたくないでね。知っているでしょう?この国の貴族に力があると知ればどうなることやら」


「それは……はい」


ベアトリスは答えて、他の二人も暗い顔をした。貴族たちの横暴を散々見てきたのだろう。


「っと、まあ。こうなっては完全に隠すのも出来ないから、俺たちを守るためにも学園で味方になってくれる貴族を探すつもりさ。高位貴族が守ってくれたら他の奴らも手を出しづらい」


「そう、か。そんな大変なことになっているのですか」


「まあ、でも安心してくれ。君たちがアリシアという冒険者を知っているか?」


(ふ、恨むなよアリシアさん)


「え?Sランクの?」


「知っているよ?」


「ギリェルメさん?」


「実は、あの人は俺の師匠なんだ。で、彼女は外にいる俺のお母さんとテレザさんの家族を守るっと約束している。今も家の周りに女王様の兵士とアリシアさんの友人が守れている」


「ギリェルメさん、それは本当ですか!?」


テレザさんもその話を知らないから、びっくりした。


師匠はともかく、他のことは本当だ。母さんには家を出る前に連絡を取るためのマジックアイテムを渡している。そして昨日のあの会議に遅れたのはトイレに行きたいと噓をつき、母さんにテレザさんの家を探すようにお願いしたからだ。


幸い、心配していた通りに貴族たちから送られた兵士たちよりも早く見つかった母さんはテレザさんの家に籠ったが、家に入ろうとした兵士たちを止まったのは、後から到着した女王様の騎士たちとエルフの集団だそうだ。


で、あのエルフたちはアリシアさんが送っただろうっと想像がつく。


(あの時、母さんに何があったらと思うと………)


「ああ、本当だ。今まで言わなかったには理由があるが、すまない。でも、ほら」


そう言って、俺は収納袋から小さな白い石板を取り出してテレザさんに渡した。


「これに魔力を注いでみて」


彼女は言われた通りにして、そして石版は白く輝いた。


「テレザ!?テレザなの!?」


「お母さん!!?」


石版からテレザさんのお母さんらしい人の声が聞こえた。


「ああ、テレザ!私よ!どこにいるの!?大丈夫!?」


っと、テレザさんは泣きながらお母さんに今までのことを話した。



…………

………


「落ち着いた?」


「うん」


テレザさんの頭を撫でながら言うイレネ。


あれから俺もテレザさんのお母さんと話した。彼女は俺の母さんとニナさんと一緒に居て、この街にあるアリシアさんの家に住むことになっている。凄く迷惑をかけているのに、三人は俺たちの心配ばかりをしていた。学園を辞めて、国を出ようとも思ったが、今の俺では一つの国から逃げるのは危険過ぎる。


だから話が終わり、今はこの4人でこれからのことを決めるところだ。俺は少し離れて、パーティーの件はテレザさんに任せた。そしてそれも終わり、今はクラスの問題を片付くところだ


「私たちのクラスを買う?」


「どういうことでしょうか?」


「ああ、クs。この学園のルールを使うのさ」


(俺が考えたのはクソ貴族の横暴をこっちのために使うことだ)


「知っているだろう?成績と関係なく、家の力で高クラスに入った奴らもいる。その方法で君たちをSクラスに上がる」


自分のクラスに居てもパーティーは組めるけど、それは不便だけじゃなく、危険だ。


「でもそは認められのでしょうか?私たちには特別なスキルがありませんけど」


「ああ、簡単なものじゃないが、少なくとも結果を出せば出来ると思う。でも先ずは他のパーティーメンバーを探しに行こう」


(2人は危険と知ってもテレザさんと一緒にいたいと言われた。なら俺のやるべきことは守るまでだ)


そうして、俺たちは次のメンバーを探しに出た。















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