第20話 - 旅の終わり
旅が終わった………
いや。
旅は続いた。
魔王が討伐されて、その情報は世界中に伝わり、平和が訪れた。
だが、まだ終わっていない。魔王が死んでも魔物が消えたわけではない。
魔王がもたらす能力上昇はもうない、だが魔物たちはまだ人々の天敵だ。故に、剣を取り、立ち向かう必要がある。
こうして、俺の冒険者としての旅は続いた。
◇◇◇◇
魔王討伐後、勇者パーティーのほとんどは解散した。ある者は国の姫様と結婚し、またある者は巨大な領地を貰い、まだ冒険者として頑張る者もいる。
そして、今年で50歳。俺もまだ冒険者として頑張っている一人。
魔王討伐から13年が経った。
「俺、もう爺さんかなあ?」
「いや、どうだろう。まだオッサンじゃねえ?」
そう答えたのはの真田だ。
俺たちのパーティーも解散したが、今日は王都のギルドで偶然に合って、二人で話をしていた。
真田はAランク冒険者になり、結構な有名人。俺としてもBランクまで上がり、他の奴らほどじゃないが、元勇者パーティーメンバーとして、偶には指名依頼を受けることもある。
そんな俺たちの会話の内容は、引退だ。
「ギリェルメさん、どう思う?」
「いいんじゃないか。戦いが好きとか、冒険者じゃないと達成できない目的があるならともかく、領地を貰い、Aランク引退。めちゃあいい話じゃないか」
実は、真田は侯爵の娘と結婚している。俺も式に呼ばれて、その幸せな瞬間を見た。そこで、その女性の親から領地を継いで欲しいっと申し出があった。そして偶然俺と会ったのは何かの縁っと思い、相談して来た。
「ギリェルメさんもそう思うか。俺もその話を受けたいと思っているが、ここへ来てから戦うことしかやっていないからさ、恥ずかしいことに不安だったよ」
「はははは、そうか。まあ、あれだ。お前で決めるべきことだが、俺はもちろん応援するぞ?存分に幸せになれよ」
「ありがとう、ギリェルメさん。なんか吹っ切れた、俺は今すぐに行くよ。落ち着いた領地を見に来てよ」
真田はそう言って、走っていった。
「頑張れよ!」
その背中に声をかけ、俺も歩き出した。
(引退か………俺も、あの場所で落ち着こうかなあ………)
◇◇◇◇
98歳。
俺は冒険者を引退、していない。
だけどもう限界だ。何せ、力がもうないから。
2つの死に戻りで上がったレベルのお陰か、俺の老化は遅い方だった。だから高齢でも魔物と戦ってきて、レベルは世界中でも百人もいない151にまで上がり、Aランク冒険者にもなった。だけど、70歳を超えた当たりで力が落ち始めた。
80歳まで粘って、格下の魔物たちと戦ったが、経験値はほとんど得られなかった。ギルドで正式な引退発表をしていないが、今ではもう依頼に出ていなく、アクロスの町で買った家に住みながら盾、剣術の練習くらいだけをしていた。
それも、今日で終わり。
98歳。
冒険者として結構な金を貯めた。最初回の時からの縁もあり、その全てを孤児院に渡した。そんな俺は今、静かな家で自分の装備品を眺めながら、ベッドの中で横になっていた。
もう体に力が入らない。
(こんな感じか………)
あれは怪我のせいだが、最初に死んだ時もこんな感じに少しずつ眠くなっていた。
「いい人生だったなあ……」
異世界で死に戻りなんて、無茶苦茶だったが、やっぱり楽しかった。そして、嬉しかった。色んな人を助けることが出来た。笑顔や感謝もやっぱい貰った。
だから今度こそ、最後に笑顔を浮かびながら自分でも言える………
「俺は…………勇者になった」
こうして、俺の魔王討伐の旅が終わった。
……………………………………
…………………………………
………………………………
……………………………
…………………………
………………………
……………………
…………………
………光……
……………
…………
………
……
声
「あれ?皆、誰か来たよ!」
「外国人?」
「そうみたいけど…」
つづく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます