出会い
第17話 - 始まるのは……
数か月後。
確認しなければならないことがある。そのために俺は一人で町の中を歩いていた。
(………居た)
とある建物の前に立ち、その庭で遊んでいる子供たちの姿を見たら、心に抱えた不安が一気に消えた。
ミリアン、アメリアさん、そして孤児院を出たエリクとサンドロまでいる。
(本当に良かった………)
シスターさんっとアメリアさんを呼んで、初対面の対応で心に少しの痛みを感じながらも持っている金で寄付をした。
こっちを見ている子供たちとミリアンの反応を伺い、誰も俺のことを覚えていないのが分かった。それを確認した俺は直ぐに歩き去った。
…………
………
……
町を出て、慣れ親しんだ森の中を歩く。
もう一度転移されたあの日から、俺は開拓村に働きながら旅のための金を貯めた。そして村にギルドが出来た瞬間に身分証を作り、すぐに村を出た。それからあっちこっちで魔物を狩りながらこの町を目指した。
(みんなの無事だけは確認したかった……)
「ふう……」
次の目的地に辿り着き、安堵のため息を漏らす。
=――【Dランクダンジョン - 洞窟型】――=
ソロ推奨レベル: 25
パーティー推奨レベル: 15
=―――――――――――――――――――=
(ここも変わってないみたいだな)
この死に戻りの原因を聞くためにアクロスの町に着く前に教会で女神たちと話してみたが、あの最初のメッセージは何も来なかった。
女神から何も教えられないなら、自分で答えを見つけるしかない。
そう考え、先ずはいつも通りに今まで読んできた小説や漫画、そして見てきたアニメからこの状況に似たものを参考にすることにした。
その中、一番可能性が高いのは俺が死んだ後、勇者たちは魔王を倒せなかったことだった。だからもう一度魔王に挑むために女神たちが時間を戻った。
それが合っているなら、疑問はどうして転移者の中で俺だけあの数年の記憶がある?
自意識過剰に聞こえるかもしれないが、あの頑張りなさいっというメッセージもある。もしかしたらこの死に戻り、俺が魔王を倒すためか?っと思っている。
(分からない…分からないが、立ち止まることは出来ない)
だから今度こそ、この二度目の人生で勇者たちと一緒に戦う。
そのためには力だ。
今の俺には8年間も努力して手に入れたスキルとレベルがある。この状態からのスタートは大きいはずだ。
そう思い、勇者たちのパーティーに入るために俺は今まで以上に自分を鍛える決心をした。
◇◇◇◇
2度目の人生が始まり、5年。
………
……
…
「あれ?皆、誰か来たよ!」
「外国人?」
「そうみたいけど…」
「……………………………………」
俺は、あっけなく死んだ。
つづく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます