第11話 - アクロスの町
翌日。
今日は街に行く。
毎日ダンジョン探索をしているだけあって、とんでもない魔石の数を持っている。流石に毎回、大量の魔石をギルドに売ったら目立つので、数割だけにしている。ちなみにお金が貯まり、小さな収納袋を買った。
収納袋というのはその袋以上のサイズの物を収納出来るマジックアイテムだ。俺のは大きな冷蔵庫くらいの収納量がある。
(なんか騒がしいな)
街に着いて、冒険者ギルドでの買取が終わった俺は買い物しながらとある場所へ向かった。
その途中で町の様子がいつも以上に賑わっているのを感じる。
ここは村って程じゃないが、大きな町ではない。
トレジャー王国の南にあるアクロスという町だ。
たまには冒険者や騎士団が大きな魔物を倒し、小さな祭りを開くくらいには賑わいのある町だ。今日は特にギルド近くの酒場が騒がしかったので、今夜は祭りの日かもしれない。
そんなことを考えつつ、とある場所で足を止まった。
孤児院。
この世界に勇者たちが召喚された時から、魔王との戦いで人側は優位に立つことができているが、被害が出ないわけではない。
ここは魔物の襲撃に会い、家族を失った子供たちの世話をするために作られた孤児院だ。
コンコン
扉をノックして、出てきたシスターと久しぶりに話をして、お金を渡した。
(勇者みたいに人を救えないが、これで少しはここの子供たちの力になるかもな。なんてね)
子供たちに挨拶をして、また町の外へ向かった。
俺はこんな感じに異世界ライフを送っている。
(今日は特に勇者たちの情報は無かったなあ。まあ、活躍の話題は聞いたが)
そんなことを考えながら町中を歩いてた。
俺のキャンプがある森は町の南を数時間歩いたところにある。
出口の南門を目指し、ギルドがある広場に着いた時に例の祭り騒ぎはまだ続いてた。
(見に行こうか)
気分転換も兼ねて、ギルドに近づいた。
「なあ、誰かやばい魔物でも倒したのか?」
近くのヤツに聞いてみた。
「いや、これは違うよ。なんだて、Sランク冒険者がこの町へ引越してきたそうよ」
「Sランク?」
流石に驚いた。
Sランク冒険者なんて、大国であるトレジャー王国にすら、あるのたたの3人だけと聞いている。
そのうちの1人がこの小さな町に引越すなんて、そりゃ祭りも開く。
(どういう理由だろう)
Sランク冒険者っと言ったら、王都で大きな屋敷に住むか、王から領地を貰い、大貴族になるのが普通と聞いている。
(学生から俺の話を聞いて、探しに来たとか?…いや、それなら引越しはおかしいか。とにかく、関わらない方がいいかもしれない)
そう思った時、ギルドから誰かが出てきた。
周りの人は静まり、その人はコツコツとギルドを出て、誰にも声をかけずにどこかへ去っていた。
特に何も起こらなかった。
(緊張したぁ〜)
まだ分からんが、ここへの引越しは俺と関係ないようだ。
ともあれ、なにもないなら自分の家?に戻るまでだ。そうと決まり、俺は再び森へ向かった。
(それにしても、あんな美人も存在するんだな、この世界で)
つづく
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