第8話 - 冒険者登録、そして……
「ついにこの日が来た」
剣、盾、弓と杖。4つの武器の紋章が刻まれた扉の前に立つ。
ボスを最初に倒してから既に3か月が経っている。
この3か月に開拓村が順調に大きくなり、ケヴィン・ヴィセンス男爵の家名から、正式にヴィセンス村という名前を貰った。
そのおかげでこのヴィセンス村にも冒険者ギルドが出来た。
完成したのは1か月前のことだが、今日まで冒険者登録をしなかったには理由があう。
「こんにちは、冒険者登録をしたいだが」
ギルドに入り、受付のオッサンに話しかけた。
(ギルドが出来ても職員は全員野郎だった………もしかしたらこの世界に女性はいないんじゃないかっと最近心配になってきた)
「おう、ここで当てる。登録はこの鑑定の魔道具に手をかざして、そこにお前のレベルとスキルが表示されて、その結果をお前用の冒険者カードに刻む。最初の確認は無料で、次からは銀貨1枚な」
オッサンはそう言って、受付カウンターにある占いの水晶球みたいな魔道具を指差した。
(今まで登録してなかったのはこれのせいだ)
俺に天恵スキルはない。その結果のせいで悪目立ちするのは火を見るよりも明らかだ。
だがそこでいい情報が入った。それは天恵スキルとしてNormal、鉄色レアのスキルをもらう人もいるそうだ。
鉄色のスキルはこの世界で一番レアリティの低いスキルのことだ。
大体は筋力、視力、スタミナなどを上げるもので、高レアリティのスキルの補佐的な役割を持ている。
(本当に取得しているといいが)
緊張しながら、俺は鑑定の魔道具に手をかざした。
=―――――――――=―――――――――=
【ステータス】
名前: ギリェルメ
年齢: 27 種族: 人族
称号: ――
レベル: 10
【天恵スキル】
【後天スキル】
『筋力増強』
【ダンジョン攻略】
『Fランク』
=―――――――――=―――――――――=
(よっし!)
最近、体の筋力が少し増えていたがダンジョン探索や仕事の成果っと思ったが、
数日前のダンジョン探索でカエルボスの首を一撃で落としたことに流石に違和感を覚えた。それから色々と調べて、スキルの取得をが原因と判断した。
そのおかげで、こうやって冒険者になることができた。
「筋力増強の天恵スキルもちか。鉄色スキルだけど、冒険者にはいいスキルだ、諦めずに頑張れよ!」
「ははは、ああ、頑張るぜ」
オッサンはちょっと同情をしているが、励みの言葉をかけてくれた。
心配していたが、他の人には後天で取得したスキルを天恵スキルに見えているみたいだ。
(天恵スキル無しじゃトラブルになりかねないっと思ったが、杞憂に済んでよかった)
「ほれ、Fランクダンジョンの攻略とレベル10だから、Eランク冒険者からのスタートだ。これは身分証明書にもなるから、なくすんじゃねぇぞ」
職員のオッサンは説明しながら鑑定の魔道具から出たカードを差し出す。
(これが俺の冒険者カードか………)
Eランク、銅色の冒険者。
オッサンにお礼を言って、冒険者ギルドを出た俺は自分の土地へ向かった。
荷物を取るために………
◇◇◇◇
「―――それじゃあ、グレッグさん、今までありがとうございます。余裕が出来たらまた来ますよ」
「ああ、ギイの土地は任せろ。いいアイテムを見つけたら売りに来いよ!」
冒険者になったその日の午後。俺は村を出ることにした。
ダンジョンの発見、そして冒険者ギルドができたことにより、村に出入りする人たちが段々と増えた。それと一緒に大きな町や王都の情報も手に入れるようになった。
そこでとある情報を得た、それはここから遠い場所にあるホールディアス大陸にある大国が魔王討伐のために勇者召喚の術を使ったっという噂だ。その国は遠すぎてここでは地図すらてに入らないから、情報の真偽はわからない。
普通の人にならだがな。
それを聞いた俺は激しく動揺した。
それはここからどうすべきかはわからないからだ。
このまま好き勝手に生きたいが、俺にとって、この世界には問題は3つもある。
・1つ目は学生たちの召喚の理由。
一番考えるのは噂通りに魔王と戦うため。だけどそれが噓で、本当は国同士の戦争に使われる可能性もある。
・2つ目は俺だけ違う方法で転移され、天恵スキルをもらえてない理由。
これが一番気になる。あからさまに誰かにここの世界へ転移されたが、天恵スキルをもらえなかった上に学生たちと違うところに飛ばされた。しかもあのメッセージウィンドウの意味は"自由に生きろ"みたいなメッセージだった。
そんな俺が学生たちに近づいても怪しまれるだけだ。うかつにその国へ行くわけにはいかない。
・3つ目、それは学生たちそのものだ。
そこで最後の問題はその学生たちはもらった力をどう使っているかどうかだ。
漫画やアニメでは、こういう集団転移された奴らの中で力に溺れる人は何回も見た。残念だが、現実でそれが起きても不思議じゃない。
その3つの問題をどうかしないと、この世界がどうなるか分からない。
ただただ異世界スローライフを堪能するわけにはいかない。
(そもそも、俺にはそんなつもりはない。俺は強くならなくてはならない)
三つの問題っと言ったが、やっぱり一番やばいのは俺が弱いことだ。
そう、天恵スキル云々の話じゃなくても、俺は弱い。
別に他の人より弱いということじゃなく、強いでもない。この数か月で分かったのは俺の身体能力、魔術の才能、そしてスキル取得の速度はこの世界の人たちの平均と同じということだ。
これじゃ魔王討伐どころか、学生たちがいる国に行っても、一緒に戦えるすら怪しい。
だけどそれでも何もしないわけにはいかない。
村での生活は平和だったが、俺はやっぱり夢を叶えるための冒険に出たい。
それが出来なかったらこの憧れの異世界転移にも意味がない。
………
……
…
今まで世話になった村の人たちに挨拶とお礼をして、俺は旅立った。冒険へ………
ここから、俺の人生はその意味を無くした――
つづく
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