第4話 - 村開拓 2




一週間後



開拓村の生活にも結構慣れた。

日の出と共に起きて、まずはケヴィン男爵の家を建てるために木こり。

正午になると切った木を職人たちのところへ運び、その後は夜の18時まで職人スキルを持つ人たちの指示で川で水汲みや食事の下準備などの雑用。


簡単そうだけど、一日中ただただ力仕事だ。


(まあ、性に合っているけどなあ)


愚痴みたいに言ってるが、三食はちゃんとあり、お金ももらえる。

ちなみにこの世界のお金はテンプレの銅貨、銀貨、金貨、大金貨、白金貨。


価値はこんな感じ:


銅貨10枚 = 銀貨1枚

銀貨10枚 = 金貨1枚

金貨100枚 = 大金貨1枚

大金貨100枚 = 白金貨1枚


白金貨は銅貨1000000枚という馬鹿げている数字ので、金持ちの商人、貴族や高ランク冒険者以外の人はそうそう使うものじゃない。


食べ物やお金を貰っているが、この村での仕事の一番の報酬は家だ。

ここへ働きにきた全員に自分の家と畑を作るくらいの小さな土地が与えらる。


そう、俺にもだ。


(まさか、異世界でマイホームができるなんて)


全員の土地はもう決まているが、そこに家を作るのは男爵の家が完成してからだ。

というわけで、異世界労働者物語、まだまだつづくぜ。



◇ ◇ ◇ ◇



転移から、一か月。


働いて、食べて、寝る。30日それを繰り返し、ついに男爵の家が完成した。っといっても、俺にとってそれが一番の変化じゃない。


自分の土地に作った小さなテントで、俺は目を閉じて体を廻っていく魔力を感じてみた。


そう、魔力だ!


異世界あるある魔力操作を試しているんだ。


(まあ、全然できていないがなぁ)


数日前から村を守っている冒険者たちに魔物やスキルのことを聞いている。

この世界のことを知らな過ぎて、怪しむじゃないかと思ったが、ヘーベル村から来たと言ったら快く教えてくれた。


どうやらヘーベル村はグリーンシュ王国の北にあるめちゃあ田舎だ。それを地図で見せたら俺を何も知らない田舎者と思ったようだ。


メッセージウィンドウさまさまだ。


っとな感じで、冒険者たちからスキルについて教えてもらった。

スキルの話をするにはまずはこの世界の歴史の話をしないといけない。


それはまさに異世界もののテンプレだった。

この世界に、アトラリアに魔物があり、それらは遥か昔からこの世界の住人を

苦しめていた。そして計り知れない時間を超えて、ついにその戦いで優勢に立つ側が現れた…


魔物たちの方だった。



その長年の敵に立ち向かうために天から授かった力、レベルと

スキルを使って戦ってきた。


そして計り知れない時間を超えて、ついにその戦いで優勢に立つ側が現れた…


魔物たちの方だった。


人々は必死に抗っていたが、魔物たちとの戦争が起こる度に優劣が酷くなり、倒すことが出来ても、犠牲が多くて、国々の力は段々と弱ていた。


だがそこである日、世界中の人たちが女神の声を聞いたそうだ。


その声はレベルとスキルの存在、そしてその取得方法を教えてくれた。


まずはレベル。あの日から魔物を倒す度にレベルが上がり、人々が強くなっていくようになった。そしてスキルの取得方法はひたすらに努力だ。


剣術のスキルを取得したいならひたすらに剣術を磨き、それを手に入れる。

だけど全員にできるものじゃない、この世界でも才能というものがある。

10年でスキルを取得できる人がいても、1、2年で取得する人もいる。


そうして、スキルを手に入れた人々は魔物に反撃を仕掛け、昔から今日まで戦っている。


(女神か………)


スキル取得には努力と才能が必要、だけど特例はある。


それは天恵スキルだ。


この世界の人たちは全員、15歳の誕生日に天からスキルをもらえるそうだ。


普通の天恵スキルをもらう人がいれば、スキルのおかげで人生が変わるものいる。


(あのガチャの正体はこれか)


話しを戻るが、天恵スキルをもらえなかったけど、俺がスキルを取得出来ないとういうわけじゃないみたい。それは冒険者たちと話しをしていたある日、俺の中に魔力は普通に流れているっと魔力察知のスキルで確認してもらったからだ。


この世界の全員に魔力があり、それを使って魔術を覚えるのが可能だ。俺にもあるなる可能性はあるということだ。


だけど転移された日から試しているが、全くできない。何も感じないぜ。

それを冒険者たちに相談したら皆から笑われた。


どうやら一か月程度でできるものじゃない。

魔術を使うためにまずは自分の魔力を感知して、それを自由に動かすようになる必要がある。それだけで数年がかかることもある。


だからこの世界で魔術士は珍しく、この開拓チームには一人もいない。

魔力察知をしてくれた冒険者もそれ以上のスキルがないだそうだ。


(でも可能性がある!)


だから毎日、仕事中でも、食事中でも俺は自分の魔力を感じるように頑張っていた。




つづく

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