第3話 - 村開拓 1
「どうやらここだな」
馬車が止まり、グレッグさんはそう言った。
草原を西へ抜けて、今は大きな川が流れているところにいる。
北には大きな山々があり、川はその方向から流れている。そしてその西側、川の向こうで大きな森が見えてくる。
他の馬車も止まり、次々と人が降りてくる。目的地に着いたようだ。
「さて、これからがお前のほしいがった仕事だ!」
笑いながら肩を叩いてきたグレッグさんが馬車から降りった。
俺も降りて、他の人がを見てみた。
(本当に学生たちがいないんだな)
周りはオッサンばっかりだった。
(まあ、27歳の俺ももうちょっとでオッサンだけどなあ)
ちなみに服は起きた時からこの世界の服になっていた。
茶色のズボン、皮の靴と白い長袖のシャツ。その上に黒い茶色のマントだ。
(正に村人って感じだな)
「全員、集まってくれ!」
考え事をしていると、先頭の馬車の近くから誰かが声を上げた。
全員そこへ集まると馬車の上に上がった騎士みたいな人が話し始めた。
(こいつがケヴィンかな?)
「ついにたどり着いた!ここがフロート様の為に村を作る場所だ!このリックス辺境伯領に領地を持っている貴族は数少ない、ここの開拓を任された俺たちの責任も大きいということだ。だが、その報酬も一生懸命に働くに値する!早速始めよう、兵士と冒険者たちは周りに魔物がいないのを確認、他の人は食べ物と俺たちの寝る場所だ!馬車にテントと道具がある。他に質問がある人は俺のところに来てくれ」
こうして、村つくりが始まった。
◇ ◇ ◇ ◇
数時間後
「疲れたあぁっ!」
一日中、荷物運びとテント作りの仕事をして、もうへとへとだ。
(でも、うまくいったな)
夕食を食べながら今日のことを思い出した。
あの後、グレッグさんと一緒にケヴィンさんに軽く話しをして、ここで働く許可を得た。どうやら俺みたいなやつは他にも結構いるようだ。
とりあえずお金を稼ぐ方法と寝る場所が出来た。
誰が俺をここへ転移させたのはわからないが、まるで俺の頭の中を覗いた感じだ。そう思う理由は俺が好きな異世界漫画は主人公が地道に成長していくものだ。
こうやって少しずつこの世界を知りながら、強くなっていく。それが俺の目標だ。
(それに、思った通り魔物がいる世界だったなあ)
今食べているのはなんと、冒険者たちが捕まえた荒うさぎっという魔物だ。
(俺はともかく、魔物があるってことはやっぱり、学生たちは勇者になったのかな?)
転移関連のことは流石に誰にも聞いていないから、わかる方法がない。
(今は足元を固めることだ)
そのために明日の仕事だ。
夕食を食べ終わった俺はテントの灯りであるロウソクを消して、眠りについた。
つづく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます