44 動乱の時代へ 2
「ふう。」
一先ずは俺はスッキリしたため、国を見回ることに。
フレイヤにお願いして、とりあえず監獄国へテレポートしていただいた。
そんなフレイヤはなにやら忙しかったのか、すぐさま立ち去って行ってしまった。
「ちゃんと施設ぐらいは把握しとかんとな。」
「あら?アレイスター様っーー!」
収容所・・・・国へ入ると、ガイアがこちらを見つけたのか手招きしてくる。
「どうしたの?」
「いえ、良いオスの匂いがしたからね。」
「おい。」
「あら?本当の事だけど、少しお話相手になってほしいのもあるわ。」
ガイアの作った畑が広く大きい。そんな一部、拠点なのか和風作りな建築物がいくつか建っていた。
そんな和風座敷に上がらせてもらうことに。
「どうぞ座って下さいな。テレサ、お茶を。」
「かしこまりました。ガイア様。」
案内された椅子へかける。
そんなガイアの傍らには、褐色肌の銀髪と赤のツートンヘアー女性がガイアの下女を務めていた。
「どうぞ。」
「ありがとう。」
お茶を準備した後、ささっと後ろへと下がって行く。
「順調かな?」
「ええ。とても順調よ。」
そんな畑はジャイアントプラントだらけであった。
元気過ぎない?一種のダンジョンみたいなんだが。無限食材生産機なのは嬉しいけど。
「フルーツを出しましょう。私特製の手作りなの。だから新鮮味があって美味しいわよ。」
いつの間にかカットされていたリンゴがテレサによって運ばれてきた。
他にも梨、モモとさまざまなある。
「いただきます。」
リンゴから口にすると、甘酸っぱい酸味が口の中で広がる。無駄な渋さもなく、すんなりと食べれる甘さ。
「美味い。流石だ。」
「ウフフ、ありがとう。アレイスター様のためにじゃんじゃん育ててるわよ。」
あまりやり過ぎてもジャングル帝国ができあがるだけ。
「モグモグ。美味い。」
しかし、つい夢中になってしまう。なんと中毒性の高い危険な食べ物なんだ。
「我が家も広くなりましたな。」
「そうね・・・・・・ところで、ここにも大きなメロンがあるけど?」
なんて変な誘い方するの?誘われるけど。
大量の養分を大地の母に吸われた俺は次なる目的地へ。
「何故だ・・・・絡まれる度に寝ている気がする。この国では男1人、つまりは孤高か。悪くない。」
「何がだい?」
「うおおお!」
ヘルメスが急に背後から囁やいたため驚いた。
今の俺はガイアに吸われた後、フラフラと周囲を見回っていた。
どいつもコイツも俺を心臓発作で殺したいのか?
「は、背後からとは・・・お主何奴よ。」
「アハハハ。何だい?その話し方?まあいいや。
今度は私のレッドウォルフの元へ来てみない?」
「そういえば正式な施設を見た事ない。」
「なら丁度良いね。行こうか。」
ヘルメスに腕を組まれ連れられる。
もちろん、ボインが当たってます。
「ど、どちらへ?」
「アハハ、また変な話し方だね。ま、付いて来てよ。」
いや、腕を捕らわれております。
それから暫く歩いて数分経つ。
「ここは・・・・・・アジト?」
「アジトというより監獄出張部署かな?」
まあ、オフィスビルと言われた方が納得だ。
ビル内ではバリバリのキャリアウーマンたちが、テキパキと情報処理を行っていた。
「ここまで統率が取れているとは。素晴らしいな。」
「ここに関して・・・・というよりは皆んなアレイスター様のために頑張ってるからね。私もそうだけど。」
「ほほう、諜報部だからな。頑張りも必要だが、適切な息抜きも必要だ。
張り詰め過ぎれば大きな失敗へと繋がる。」
「かしこまりました。以後、気を付けて参ります。」
ヘルメスはイタズラっ子だからな。正直なのか、揶揄っているのやら。
「頼むよ。」
「アレイスター様。」
おや?別方向からお声が。
右を振り向くとキサラさんがいた。何やら物欲しそうな。
「まさか。」
「あ、あの。はい・・・・・」
眼帯女性は美しいな。
そんな隣の女神様もさりげなくおねだりしてきた。
またしてもやってしまった。
今度は情報聴取された俺は更にヨボヨボになりながらも目的地へと向かう。
「今日が命日かな?」
召喚士として・・・・・いや最早ただの歩く・・・・止めておこう。
「国が徐々に繁栄してるが、依然として欠けているものがある。」
そう。民主制である。
各々の望み、政治、制作の提案が全く無い。無い訳ではない。ただ独裁的な考えが強い。
「俺のせいでもある。」
召喚士としての悩み。召喚士としてのデメリット。世界の敵、国内唯一の王、唯一の召喚士、異界人、神の使役と・・・・・
「頭が痛くなる・・・・・・腹も痛くなる・・・・・・」
「けど、そのプレッシャーは全部私が受け止めるよ。」
「お。」
俺の初めてのLRにして、相棒フレイヤ。
俺の全てを理解する女であり、俺も彼女を理解している。
そして誰よりも俺をビックリさせる事に長けている。
「信頼ではない。私は貴方の全てだよ。だから解る。私も貴方がいないと無力だし。」
「それは俺も同じだ。だからこそ。」
お互い野望と欲望を叶えよう。
「そうだね。つまらない人生は私も嫌だから。
それに、生きながらにして死ぬのはもう嫌だからね。」
「・・・・・そうだな。
だが、野望と欲望を求める者が多い。そのためにどうすればいい?」
「まずは軍備強化と国統治だね。
けど、アレイスター様を愛せない人は要らない。」
愛せない人ね・・・・
「愛さなくても良いけど。」
愛が中心なのは神フレイヤの特徴だと思う。
「軍備強化ね。これからどこまで増えるのやら。」
「LRの確保を急がないといけないね。
ジャンヌ、妲己、ミネルヴァ、アナシンは堕ちたけど。まだ足りない。肝心の人数が少な過ぎる。」
「最近はミネルヴァが陥落した筈だが?」
「そうだね。ただここからは動乱の時代だよ。すぐに。いや、どんどん増えていく。」
「増えてもらわないと対応しきれずにシステムがパンクするか。」
どれだけ効率やシステムを作ろうとも適切に必要な人、物資、時間がなければ無意味となる。
「その件は早急に手を打たないとな。
だからこそ、その4人とも改めて配属先の話をしないとか。」
「必要かな?」
何故疑問系だ?
「必要だ。フレイヤなら解るだろ。」
「そう。それはそれで良いよ。そんな事も君が背負うと決めた罪だからね。」
そうだ。
世界征服は誰よりも罪を多く背負わなければ成し得ない。手ぶらで取れるほど、世界は甘くない。
「そのジャンヌからだよ。会いたいってさ。」
渋々嫌そうに報告してくるんだけど。
「俺のお手付きだからか、タイミングをフレイヤの次には理解しているようだね。」
「私としてはムカつくし、殺したいけどね。」
貴女が1番怖いね。
「なら同伴してくれ。」
フレイヤはやれやれと言いつつも、素直に俺の背後へ付き従う。
そんな俺はジャンヌたちへ会いに『監獄』へと向かった。
そしてここ元公国領『監獄』の執務室にて。
「アレイスター様っ!!お待ちしておりました!」
「アレイスター様っっっっ!」
「何と神々しい・・・・・」
「美しい・・・・・・・・」
ジャンヌ、妲己、アナンシは俺のスキルで染め上げている。
そのため他のLRより過激的に頭がぶっ飛んでいるのである。
ミネルヴァさんも調教した相手が相手だから多分ダメかも。
「アレイスター様!この雌豚新たなに刻みました!アレイスター様への忠義を!」
ジャンヌの目元には更に文字のような刺青が描かれている。
「何て書いたのそれ?」
「アレイスター様専用便器と、入れていただきました。」
豪快かよ。消せねえぞそれ。俺の黒歴史も刻み込まれたぞ。これで俺自身の敵も増える一方やで。
「流石の私でも引くね。」
フレイヤさん?さっきの勢いは?
「俺のせいみたいだから。」
「アレイスター様!私は」
紫肌に赤き刺青を全身に刻み、赤、紫、白の髪色にお団子ヘアーの妲己だ。
そんな彼女はいきなり上半身を脱いだ。
そこには俺への愛を刺青として表したようだ。俺に似たような人が描かれていた。
どんどん黒歴史が製造されていく。
「この妲己!全ての悪意をアレイスター様のために!アレイスター以外は悪!」
そんな彼女は背中をグイグイと見せ付けてくる。よく見ると、2人の間に月模様があった。
「私はこの月に誓い、アレイスター様を永遠の主人として崇めます。アレイスター様が居なくなるというのであれば、私も死にます。」
「は、はあ。」
「あれは月の契約だよ。」
「そこから先は予想が付く。」
ただ妲己の悪意とはこれ如何に?
「次は私だ!!」
またしても勢いそのままに。
アナンシは黒肌に白い刺青を全身に刻んでいる。
髪はシルバーと黒のベリーショート、唇が分厚く、凄く妖艶な雰囲気がある。
そんないやらしさとは別で、彼女はアサシンとしてトップクラスの実力を誇る。
蜘蛛のように糸を絡め、地獄へ引き摺り込む。
美しきバラには棘ある。だったか?
「アレイスター様、お許しを。目立つのは承知です。
ですが、これを身体に刻まねば生きてはいけません。」
そんなアナンシの背中や腕には謎の文字や模様がズラッと並んでいる。
全部読めない・・・・・
「これは?」
「はい。アレイスター様への愛を言葉として刻みました。私の忠義は本物であると。
誰もが見ても明らかになるよう書き記しました。」
詳しい内容は知らない。
だが、この世界の人なら理解できる文字だ。つまり、暗殺に向かない。
「これはドン引きの内容が書かれてるね。
アレイスター様、これなら敵に見られても狼狽えてくれるかと。」
どんな内容なの!?
「ま、まあ、最後にだ。」
仕切り直すも、見たくない女神様を視界に写す。
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