43 動乱の時代へ
それから俺たちは3国を返り討ちにした翌日に、新生国『エデン』を建国したのであった。
場所は1番初めに俺が辿り着いたボロ小屋付近である。
元々は少しずつ開拓を行なっていたため、村レベルには発展していた。
そんな『エデン』を建国後、何日間か費やして元公国を『監獄国』へと姿形を変えさせた。
建物などは崩壊しているため、一度綺麗に瓦礫たちを更地にし、囚人を収監する施設を建造させている。
畑もあるが、それは囚人の手によって作られることに。
他にも家畜の管理、魔物体調管理、植物の伐採、作物の調達、物運びも囚人たちによって行われている。
だだっ広い国の中心には『桜花楼獄』という巨大施設がある。
その中は阿鼻叫喚の地獄だとか。外の収容所が何百倍もマシであると耳にする。
そんな監獄の主な管理者はハーデス、イザナミ、ロキ、クロア、セレナーデ、クイナとなっている。
それぞれ何十人かの部下を付けて管理させている。
収容所には炭鉱も作成しており、炭や鉱石の発掘も行わせている。
炭鉱自体はガイアによって作れるが、鉱石自体を直接作る事はできないらしい。
便利のようで不便だが、凄い事に変わりはない。なお、畑も作れるが、こちらも別で刈り取る仕事が必要となる。
そんな所である。
『エデン』では国として外壁の強化、外敵への対策、俺の住まいが建造中である。
そして自己慢心の塊である、俺の銅像も建造中である。なんとも痛い話だ。
そんなこんなで時は半年が経つ。
「蓄え期間はあっという間だな。」
「建国してから内側が忙しかったので。」
「しかし、蓄えつつも他国を牽制しに攻める事はできました。」
今俺の新執務室にはミリス、カイネ、アテネ、テュール、ヴィーザルと共に居る。
「アレイスター様。お茶をどうぞ。」
ヴィーザルが用意してくれた。
「ありがとう。」
「・・・・・・・」
無言で照れられても。
このヴィーザルさんは俺とはよく喋る。
しかし、他の人とは何も話さない。凄く周りに興味が無いようだ。
だが、こんな感じで俺の世話をよく率先してやってくれる。お陰でヴィーザルは俺の護衛と世話係になっていた。
「うんん!良いですか?アレイスター様。」
「あ、はい。」
アテネさんに一喝される。なんか背中から修羅が見えた。
「我が国『エデン』は今現在、大きく飛躍しております。
他国が圧倒するような要塞国、そして自給自足な上、電気系統システム構築、更には自家製の武器や道具の製造にも着手できるようになりました。
ただ残念な事に。お金が生まれ出回る事がありません。」
そりゃ世界の敵だし。誰も融資どころか、買い物すら来ない。物すら輸出、出店とかできない。
嫌われ過ぎるのも問題だな。ここまで極めると、ある意味スキルなんじゃないかと思う。
「それはそれで良いんじゃない?」
「僕もそう思います。他国は知りませんが、それはそれで理想郷らしくて良いかと。」
そうか。好きな時に欲しい物を貰える。
時には多少の対価が必要な事もあるが、基本的には何不自由なく暮らせる。
それも国内における住民数が少ないからであろう。
しかも全員戦闘民族で女という。
その上、電気や衛生施設の管理、医療技術と俺の記憶を頼りに彼女たちなりにこの世界で再現している。
地熱、風力、水力、火熱発電と立派な事に。
しかし、俺自身は知っていただけで理解できてない。
「だが、俺の理想郷か。」
「アレイスター様?」
ミリスが様子を伺ってくる。
「大丈夫だ。次は?」
「はい。続いては監獄に関してですが。
収容人数は役1万人ほど、『桜花楼獄』は500人となっております。
働き手自体は問題ありません。使えなければ消せばいいので。」
何とも非人道というのか。理想郷を求めるのに人間を捨て去る必要があるとはね。
正にラプラスの言う通りだ。
収容所と『桜花楼獄』の違いは強いか弱いか。である。使えるなら堕転させ、弱ければ死ぬまで働かせる。
「収容所の方はよく暴動とか起きないのね。」
「無理かと。」
テュール様の一刀両断です。
「たっぷりと絶望を味わっておりますので、心がもう死んでおります。
しかし、逆に叛逆心も作る必要があるとは思わないか?アテネよ。」
「へ?」
「ハーデスたちが怠けないようにです。」
テュール様がアテネに解っているだろ?的な雰囲気で聞き出し始めた。
優しくそっとカイネが教えてくれた。
「あ、なるほどね。」
意図的に叛逆心を煽るなんて聞いたことないけど。
しかっし!ここはなんとなく頷くが正解だ。
「それと、『桜花楼獄』から新たに50人の同胞が生まれました。LR2人に残りはSSRとなっております。」
堕ちたLR2人か。前回は1人だったが、調子いいな。
まあ、半年経って未だ4人だけど。
「ペースは順調か。」
「まあ・・・そうですね。SSRも増えたとはいえ、LRへ昇格できる者が一体何人になるのやら。」
「候補はカイネ、オリビエ、アーシャ、ヘレナかな。」
「元公国騎士勢でございます。」
LRへ進化できる話を聞いてからか。オリビエたちはより一層やる気が出たようだ。
俄然夜のやる気も出てた。
「快進撃は続くね。(夜の)」
「良いことではあります。(やる気があって)」
「では次が戦況です。
オーディン、ゼウス、アーレス、ベローナ、トールがそれぞれ将となり、各国へ地獄をお届けしております。」
カイネさん。言い方ね。
それに今のアイツらは普通のLR1体じゃ止まらんぞ。
全員『神化』をプレゼントしてある。
俺もレベルが上がったからこそ、召喚士として更なる力に目覚めている。
それに、この半年はなにもジッとしていた訳ではない。
「LRとの遭遇時は他将と連携するか、力の解放を行い、これを撃退します。
鹵獲できれば1番ですが、向こうもそれを警戒しているかと。」
既に『堕転』の件は知れ渡っている節もある。
「ま、結構結構。国を落とせば良いしな。」
「その通りです。半壊した王国は近隣の魔物や他国とのやり取りでこちらへ手出しはできず。
覇王国は半壊から立ち直れず。王は死に、国が乱れております。
共和国は奴隷による反乱が起こり、今はそれに手を焼いております。」
いずれも喧嘩を売った末路だな。評議国は何も無いようだが。
「小さな小国は少しずつ擦り潰しております。
何人か異界人も捕らえ、収容所と楼獄へそれぞれ連行しております。
うっかり殺してしまった者もおりますが。」
最後の報告は聞きたくな。
「はあ、虐めも程々にな。」
「一応進言しておきます。」
アイナたちデザイアの怨みは濃いからな。俺の言うことだけは聞くが。
って、一応かよ。上司はさぞ苦労してんだろうな。
「召喚石は依然として見つかりません。申し訳ございます。」
「ま、そんな都合よく転がってはないか。
殆どの国は諜報部によって回収された訳だし。気にしてない。」
「ありがとうございます。そのお言葉、大変痛み入ります。」
「そして最後の報告ですが。
生産は順調に行われております。ですが、武器の製造にやや難点が。」
ヘパイストス1人ではキツいだろうな。
「ご想像通りかと。ただドワーフもそう簡単には見つかりません。見つかったとして、ヘパイストスほどのレベルは居ないかと。」
神レベルですからね。それにドワーフの女で鍛治士もなかなか見つからないらしい。
個人的には別に男でも良くね?って思う。
「そうだよね。だからこそ召喚しないとな。逆に素材だけ増えてもだし。
武器弾薬がないと、それらを守れない。」
「アレイスター様。」
「カイネ?」
「以前、元マスターが異界人を10人殺した際、ガチャを引き直していた事があり、今回それを実行しては如何でしょうか?」
「10人もか・・・・・いや、召喚士である以上は無闇矢鱈にはいいかな。」
確かにガチャ券で補うのも手な気がする。いきなり10人殺してこいはやばいけど。
「かしこまりました。余計な一言申し訳ありません。」
異界人という言い方からしっくり来ないが、要は俺と同じ奴らを殺すのは難しい。
でもよくよく考えたら、勝手に殺してる気が。
なんにせよ逃げてるのは解ってる。
「アレイスター様。今日は?」
ヴィーザルが今度は予定を聞いてくる。なんか目が輝いている。
「うーーーん、何かやることあったか?」
「うん。いつもの・・・・・」
ヴィーザルが脱ぎ出した。美しい褐色肌でアレイスターを誘惑する。
すると、アテネたちも躊躇いなく脱ぎ始めるのであった。
あ、そういういつものね。・・いただきます。
『桜花楼獄』
ハーデスは最上階の執務室で常に寝泊まりしている。この楼獄の番人のような立ち位置にいた。
「はあ、アレイスター様はローテーションで抱いてくれるが。」
用紙に書かれているリストをペラペラとめくる。
「こうも増えては次はいつになる事やら・・・・・増やしているのは私だが、釈然としないな。」
コンコンと扉を叩く音が鳴る。
「空いてるよ。」
ガチャリと開けると。
1人の聖女風の格好した女性が入室する。
その女性の身長は190cmほど高く、髪は金、黒、白が入り混じり、前髪がパッツンのショートボブヘアーである。
神官の格好だが、ハイヒールに所々美しい褐色の足やらが見える。
正に露出が多い格好のコスチュームであった。
「ジャンヌかい?何用かな?」
「ハーデス様、先ほど愚かな人たちを数人ほど救済致しました。
ああ神よ、アレイスター様よ。どうかこの愚かなメス豚をお許し下さい。」
「口上が長いね。聖女だから仕方ないか。
それで?誰をピックアップしたんだい?」
「はい。諜報部行きでSSR3名です。そして、LRの同胞が1人。」
「ほう、やるね。LRを堕としたか。
君と同じで時間が掛かるからね。大したものだよ。」
「おおー!!!アレイスター様よ!このメス豚がお役に立てました!
なんと最高で素晴らしい日なのでしょう。これもアレイスター様に感謝です。」
ジャンヌは更に見えない何かを崇めている。
「アレイスター様のお手付きだからかな。ちょっと君が羨ましいね。」
「ハーデス様。」
ジャンヌはアレイスターのスキル『調教』によって『堕転』へと導かれた。
そんな彼女の背中には、アレイスターを模した神の姿が刺青として大きく刻まれている。
「はあ。私も調教してもらうかね?アレイスター様を愛しているからこそ、もっと虐めて欲しいが、あの方は優しい・・・ま、それが良い所だけど。」
「アレイスター様に今日も感謝を。
ところでハーデス様。アレイスター様の愛を刺青として顔に刻みたいのですが。」
「君はねえ・・・・」
流石のハーデスですら、やり過ぎだとジャンヌを諭すのであった。
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