30 進軍開始

「14人のキャラが濃い件に関して。」


 フレイヤさんを連れて別室にて打ち合わせナウ。


「そうだね。特にオーディン様が現界するなんてね。なんの風の吹き回しなんだい?」


「お?何じゃフレイヤ。気に食わんかの?」


「ああ。気に食わないよ。」


「ホッホッホッホ。素直じゃな。

 じゃが、ワシもアレイスター様のために来たんじゃ。そこは譲れんよ。」


 金色の肌なので、お怒りになると少し輝かしい。

 アレな。昔の因縁持ち込まないで。いきなり人類滅亡しても困る。


 他の新人さんも少々聞きた事がいくつかあったため、付いて来てもらった。


「オーディン様って・・・狡くない?」


「ロキ、よさないか。消されるぞ。」


 トールとロキは馴染みがあるからね。


「我と同等か。」


 ゼウスさんまで来ちゃった。


「あら?私たちも忘れないでほしいわ。」


 ガイア、ハーデスがなんか乗り気だ。


「地獄色に染めて差し上げましょうか?」


「ならば金色で塗り潰そうぞ。」


 一気に殺伐とし始める。ギリシャはギリシャで仲悪い。


「おーーい!待ってくれ!ここで争われると折角の国がおじゃんだ!」


 こんな所で神話大戦を繰り広げられたら、たまったもんじゃない。改めて周囲を見渡すが。


「はあ・・余計に目を付けられるかも。」


「しかし、これはこれで最強の布陣が整いました。」


 アテネさんはポジティブシンキングだ。


「ウトガルザ、テュール、ロキ、ラプラス、私アテネが国内から内政と軍事を動かせます。

 戦場には陸はヴィーザル、ベローナ、海はポセイドラ、空はオーディン、ゼウス、フレイヤとまだまだおります。

 SSRのデザイアもここにはおります。これならどこと戦っても勝利を得やすいかと。」


「しかし、内政は?後、最初の村はどうしようとか、割とあそこは気に入ってたし。」


 いきなり話を振り過ぎるのもアレだが。


「内政に関しては、今の今まで公国を借り物としてやってきたに過ぎません。

 なので、最初にいたという村をアレイスター様の国『エデン』を建国する事を進言致します。」


 理想か。確かに俺にはピッタリだ。理想というか、ただの性癖魔境だが。


「全てアテネたちに任せる。

 俺は召喚者で無力だし。得意不得意ぐらいはしっかりと把握してるつもりだしな。迷惑はかけられない。

 ただ、放置する気はない。やる以上、俺は俺なりに見定めていくつもりだ。

 だから皆んなも協力してくれ。」


「アレイスター様。」


 フレイヤさん。ヨシヨシしてくれる。


「アレイスター様は決して無力ではありません。

 我々がこうして会合できているのは、貴方様のお力があってこそ。

 それに我々は皆、アレイスター様を愛するためだけにやって参りました。

 だからこそ、お側に居てくださるだけで、その感激に勝る者などありません。」


 フレイヤさんがいつものフレイヤさんじゃない。じゃなくてだ!


「ありがとう。俺は俺の国民を愛している。

 だからこそ、敢えて傷付けるようだが言わせてくれ。

 世界を変えよう。俺の・・・俺たちの理想へと変えよう。」


 ここに集まったLRたちは皆跪く。


 俺に向けられる眼差しは羨望、愛、尊敬、感動と本気の感情が向けられる。


 無言の返事とは正にこのこと。

 なお、この環境が初めてのため、俺は背中が痒くなったのであった。


 会議後


「ふう。何とか終わった。」


「お疲れ様でございます。どうぞ。」


 レイレから温かいお茶をいただく。


 もうこれ無しでは落ち着けない。


「これで全てが建て直せれば良いが。」


「召喚石を全て消化したので、再び他の国やダンジョンを探して集めませんと。」


「まあ、市場価値が低い以上は割と見つかりやすいしな。まだSSRも余っている事だ。

 レイレたちの姉妹も呼んでやらんとな。」


「ありがたき幸せでございます。」


 コンコンとノック音が鳴る。


「どうぞー。」


「失礼致します。」


 そこには紫肌の大和撫子イザナミが現れた。


「お忙しい所申し訳ありません。」


「大丈夫大丈夫。どうしたの?」


 ただお茶を飲むだけが忙しく見えたのか・・


「はい、アレイスター様。

 私はアレイスター様と共に護衛と周囲の監視役を言い渡されたので、こちらへと参った次第です。」


 アテネさんの手腕が光ったようで。


「解った。レイレと共に頼む。」


「かしこまりました。

 レイレさん。よろしくお願いします。」


「よ、よろしくお願いします。」


 レイレにしてはやけに動揺していた。

 何か強者間でのやり取りがあったのだろうか。


「アレイスター様には、ここから戦時の中継を見ていただきたいのですが・・・・」


「ああ。モニターできるなら頼む。

 何も知らないのもいけないことだ。」


 今まで虐殺行為に目を背けていた訳だ。

 今度こそはしっかりと見届けなければ。


 うん?何で?あれ?何かが・・・うん?


「慢心せず、慎重に取り組む。それこそが王道の道なり。」


 よく分からない内に戦闘が起こっていたが、取り繕うのも王者の風格だ。


「流石はアレイスター様でございます。」


「素晴らしいです!アレイスター様!」


 何かそこまで褒められると、余計に疑ってほしい。


「アレイスター様、既にレッドテイルへオーディン様、ロキ様、トール様が進軍致しました。」


「え?早くね?」


 素が出た。


「フフフ。それがオーディン様がとても張り切っておられまして、同僚のお仲間を連れて飛び出してしまわれました。」


「何と行動的な人なんだ。あ、神か。」


「オーディン様が武功を上げ、アレイスター様と共に長い時を過ごしたいと。」


 それってどれくらいの時を?1ヶ月とかだと枯れるよ?いくら再生とか強化されても。


「他も先を越されたと、悔しがっておいででした。

 ですが、今は攻め入るよりは蓄えとお聞きしたので。」


「その通りよ。攻めるのは今回限りにしたいもんだ。これ以上、壊して奪ってもこっちが保たない。」


 主に俺だけな。しかも、戦争しに行くなら責めて報告してよ。


「ご安心を。このイザナミがおります。」


 凄くエロい。透き通るような紫の美貌を見せつけてくる。あかん。誘われている。


 神の魅力に人は逆らえない。


「良いのですよ?戦いまで暫しお時間がありますので。」


 吸い込まれる。2つの山に。












































 オーディンたち一向


「むむむ!」


 オーディンのアホ毛がビビッと剃り立った。


「どうしたのよ?」


「アレイスター様がイザナミに・・・・何と狡い!」


「わわわわわ!怒るな!怒るな!」


 オーディンの怒りに周りの大地が揺らぐ。トールが慌ててそれを止める。


「はあ、何でこんな脳筋組に僕が・・・・アレイスター様と一緒に居たかったのに。」


「お前は余計に何かすんだろ。」


「当たり前でしょ。アレイスター様とは時を止めて永遠に楽しむつもりだったから。」


「お前はアレイスター様を殺したいのか愛したいのかどっちだよ。」


「なぁんと!!ロキ!お主までもか!」


「あーー!もう!

 落ち着いてオーディン様。ただの例えだよ。例え。」


「むう?何じゃ例えか。ワハハハハ!」


 感情の起伏の激しい上司に頭を悩ませるロキとトールである。


 単純がゆえに操りやすさはあるが、下手な真似をすると操った側が消されるハメに。


「全く、ワシらが遊びにきたというのに呑気な国じゃ。目の前の帝国に釘付けで裏がガラ空きじゃぞ。」


 そうこうしている間に目的の国へ辿り着いた。


「正確には向こうからは見えてませんよ。この距離では無理です。」


「ならアタシの一撃をお見舞いして。」


「よさんか。お主の一撃は強過ぎじゃ。

 それでは大事なアレイスター様への供物も失ってしまう。」


「ええ〜・・・アレイスター様悲しんじゃうのか・・・・・なら止める。

 でも、プチプチ潰して回るのか?」


「それなら僕に良い考えがあるよ。」


 ロキから怪しげな雰囲気が漂う。


























































 アレイスター


「おいおい、いくら何でも目の前見過ぎだろ。あーいや、後ろには何もないからこその戦法だろうけど。」


 レッドテイル王国の戦い方はただ前進あるのみ。って感じだ。

 ただまあ、確かに国の後方はガラ空き。何もない荒野だ。


「あそこへ進軍するメリットはない。か。

 それに見るからに帝国と王国の2国があるのみ。後は何もない。他国との物資のやり取りはあるようだが。」


「立地の問題もあります。

 ですが、あそこまで密接にありながらも何故争うのでしょう?」


 争ってる僕らがそれ言います?


「さあな。ソヨさんの話がありのままなら、向こうのマスターさんは支配したいんだろ。

 少なからず、力に自信がなければこんな大胆な戦法は取らないよ。

 SSRが多いのか、LRがいるのか?」


 しかし、LRがいる場合は確実に戦いは激化する。つまり、2通りに絞れた。


 1つはLRを両方が保持している。均一に。

 もう1つはソヨさん側がLRを守り手として使っているから。


 ソヨさんからしたら自国で十分賄えている以上、他の奴らと同じ行動は取らない筈だ。

 自身の身を如何にして守るかを考えられる人だ。

 更に今回は帝国が攻めている訳ではない。


 何がきっかけかは知らないが、レッドテイル側から仕掛けている。


「LRが両方いない説もある。が、それはあくまで軽率な考えに当たるな。」


「左様かと。アレイスター様のお考えなさる通り、いると仮定した方が良いかと。」


 確率は低いらしいが、世の中は広い。

 小国に居たように割とその辺に居るかもしれない。


「スカウトとかの機能もあるのかな?」


「はい。あります。」


「マスターが不在となれば、契約を交わすことで自軍へ従えることができます。」


「けど、それなりの材料と説得が必要です。

 忠誠を誓う事、マスターの守り手としての見返りがなければ交渉は成立しません。」


 割と世知辛いのね。

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