29 召喚祭 3

「ふう・・・・・早速始めようか。時間も差し迫っている事だし。」


「かしこまりました。」


 アテネから袋詰めにされた召喚石が一気に手渡された。


 って、多い!一気に消費するにしても重過ぎだろ!

 か、顔が踏ん張ってる!ふぬぬぬぬ!


「が、頑張って!」


 そこ応援すること?ひ、非力ですからね!


「え、ええい!『召喚』!」


 14個のLR召喚石が反応する。

 凄まじい輝きと共に俺の手から少しずつ離れていく。


 軽くなった所で創造力を働かせる。


「来い!」


 召喚陣が構築されていく。そして、大きな砂煙と激しい紫電が飛び散る。

 14人分のため煙もめちゃ多い。


 ゴホッ!多いってか、害!


 すると、輝きが収まると同時に14人の戦士が目の前に現れた。


「お・・・・なんか毎度毎度凄まじいな。」


 自分の想像上の問題なので、言いたい事は無いが。実際それを生で目にすると、何とも形容し難いことになる。


 1人目


「では、私からご紹介させていただきます。

 名をポセイドラ。水を司る青き者です。

 アレイスター様にお呼びしていただけた事を心より感謝申し上げます。」


 最初のポセイドラさん。名前からして海の神のようです。


 ただーーし!肌色は青なり。そう青です。

 素晴らしい!髪色も水色、青色と何と良い!

 尚、格好もエロいので最高です。


 つか、1発目からどキツいな。


「アテネ。我々の分もを用意しておきなさい。」


「解りました。

 ですが、皆の紹介が終えてからです。」


 まるで知り合いであったかのような会話だ。

 何の用意かは知らんが・・・・・おっと、次々と。


 2人目


「初めまして、私はアポロン。回復系に特化しております。

 全てを癒し、全てに温もりを。アレイスター様には愛を。私の全てを捧げます。」


 ウナギ丼の次に牛丼来た。みたいな感じ。

 そんなチグハグです。


 アポロンは赤肌で赤とオレンジの髪色に、輝く綺麗でテカリのある肌色だ。

 衣装は以下略で。セクシー以外の何者でもない。


 3人目


「さて、次は私だ。私は地獄からの支配者、ハーデス。

 貴方がアレイスター様か?・・・ほう。可愛らしい。

 よろしく。私の夫となる者よ。」


「ハーデスとは・・・・なかなかの大物だ。」


 つか、何故ギリシャ神話縛り?俺が想像していたから?


 肌は灰色で髪はショートポニーテールの銀色と黒のツートンヘアー。地獄嫁ですか?悪くはないけど。


 4人目


「おっ!・・・・アタシだ!

 この大きな雷のシンボルを見るがいい!!」


 巨大なハンマーを持った女性は金を中心に銀、ブロンズと輝かしいショートヘアーのバチバチする女性だ。(性格的にも)


 いや本当にゼウスばりにバチバチしてる。

 肌色は綺麗なプラチナである。


 何を張り切ってか、巨大なハンマーをグイグイと見せつけてくる。

 この感じからなんとなく想像がつくが。


「アハハハハハハハハ!!そうだ!アタシの名はトールだ!恐れ慄け!

 ・・・・そ、その。アレイスター様。」


 いきなり豹変するので、メンヘラでも拗らせているのか?


「はいはい。何でしょうか?」


「そ、その・・・結婚して下さい。てへ。」


 恐れてほしいのか照れてほしいのかどっちなんだ?


「お早い求婚だな。」


「トール。後にしてもらえないでしょうか?」


 アテネさんから凍てつくような冷たい風当たりが。


「あ?喧嘩売ってんのか?アレイスター様とアタシのラブラブムードをぶち壊すなよ。

 ぶっ殺すぞ?」


 そんなムード形成されていたのか・・・・


「待って待って、トール。落ち着いて。」


 後ろから5人目のクールお姉さんが止めに入ってくれた。


「む・・・・なら、しょうがない。」


 何故か退いてくれる。もしや・・・・・


 5人目


「ありがとう。

 おっと、ごめんなさい。僕はロキ。こう見えて色々とできるよ。

 特に嘘や駆け引きは好きだけど、アレイスター様だけには常に正直だから。よろしく。私の旦那様。」


 クールさんのデレは一撃必殺技である。


 クールなロキさんもショートヘアーに方目隠しで水色、白、紫の3色だ。

 肌色は褐色肌である。綺麗な濃い色だちである。


 計算系女子だが、悪くない。


「よろしくお願いします。」


 つい本能的に敬語で挨拶を。


 6人目


「お、ようやく小生の番がきたか。」


 小生って。


「小生はテュール。こう見えて指揮するのが得意でな。なに、片目しか見えないが、戦場では全ての状況が視える。

 ここは一つよろしく頼む。」


 スゲェ豪快そうな人です。


 黒眼帯を片目に付け、身体に多くの傷跡が入っている。

 肌は褐色、髪がボサボサショートヘアーに緑、黄緑、ほぼ緑色構成の女性だ。


「よ、よろしく。イエー。」


「フハハハハ!ノリがいいぞ!」


 喜んでくれて何よりだよ。こういうタイプはこんな感じで丁度良い。


 背中バシバシまではお決まりだが。


 7人目


「次は私の紹介ですか。初めまして。

 私はイザナミと申します。何卒よろしくお願い致します。」


 綺麗なお辞儀だ。日本式の作法をここまで正しく実行できるとは。


 大和撫子お嬢様の肌は紫、髪は黒と紫色が入り混じっている。

 大人しめというより衣装もそうだが、際どく攻めている気が・・・隙間チラ見


「こちらこそよろしくお願いします。」


 礼節に対してこちらの腰も低くなる。


 8人目


「・・・・ヴィーザル。よろしく。」


 短い。いや短過ぎ。


 そして、その髪もボーイシュヘアーと短い。

 髪色はピンクと青だ。肌は褐色である。


 クールというよりは無駄口が嫌い感が伝わる。


 9人目


「お初にお目にかかります。

 私の名はウトガルザ。ロキほどではありませんが、悪知恵を少々働かせられます。

 特技は相手を惑わすことにあります。何卒よろしくお願い致します。」


 凄く詐欺師セールスマンっぽい感じがする。

 惑わすと言うより、誑かすだな。相手を陥れてくれそう。


 ピンク、青、紫色のショートボブに肌色は青である。

 セクシーなので男はコロリと騙せそう。


「よろしく・・・程々にね。」


「かしこまりました。善処いたします。」


 する気ねえ。特に俺が引っかかる。


 10人目


「長い・・・・私は戦いの神であるベローナ。

 アレイスター様に勝利のみをお届けに参られました。どうか何卒私を重宝していただけると幸いです。」


 忠誠心の高そうな騎士姉さん。

 金を中心に紫、赤、青とカラフルな髪色、セミショートヘアー。肌色は黒肌である。


 格好は珍しくエロくない。騎士の鎧を身に付けている。いつでも戦闘モード。


 11人目


「私はヘルメス。ヘルメが居るだろ?

 その姉だよ。よろしくね、アレイスター様。」


「へ?今度はお姉さんが来たの?」


「まあ、私たちは全員姉妹のようなものだけど、1番身近な姉妹はヘルメってことかな。」


 そうか、うんうん。よく分かんねえ。


 詰まる所、暗殺のプロフェッサーということですね。心の臓を抉られそうだ。


 見た身はほぼヘルメに似ている。

 唯一、髪色だけ違う。色は赤と黒の2色だ。


「よろしく。ヘルメス。」


「ああ、是非姉妹揃っていただいて欲しいね。」


 うん。いつかね。こっちがいただかれそうだけど。


 12人目


 ここから何かオーラが違う気がする。


「じゃあ、先に私が。」


 肌は褐色、髪は茶髪と白の2色でショートドリルヘアーだ。

 特徴的なのが、胸が強烈にデカい。1番を誇る大きさなり。


「あら?ウフフフ。アレイスター様の物よ。

 だから後でゆっくりとね。」


 凄く感の良い人だ。あ、勘の良い人だ。


「私はガイア。同じLRの中でも当たりも当たりよ。主に自然をコントロールできるのよ。」


 ・・・・・・はい?


「すまない。どうやらついて行けそうにないな。」


「まあ、色々と規模が大きいようね。

 じゃあ、後でベッドでゆっくりと語ってあげましょう。」


 是非お願いします!と言いたいが、他方から不穏な視線を感じられる!

 つか、自然をコントロールって。世界獲ったぞ。


 大胆さは今んとこ1番です。


「機会があればよろしく・・・・」


 他にも何かしらありそうだが、次行こう!次!


 13人目


「私だな?うむ・・・・私はラプラスと言うらしい?よろしく。

 計算上では私を第一妃に選べば必ずや幸せが訪れる。だからこそ、私を愛するといい。

 私は計算せずとも、アレイスター様を愛している。さあ、怯えずに抱きしめてくれ。」


 とり前の挨拶ですらない。最早オオトリ。

 それにラプラス・・・・・・計算?

 もしかして・・・ラプラスの悪魔のことか!


 いや、今までは神々の名前や法則に従った召喚だったから、驚きはしたが納得はした。

 だが空想上というより、姿形が定まらないモノを人として召喚した?


 どんな法則で呼び出したんだ!?

 というより、自分でも定義づけできてない。


 つか、揃いも揃って自己紹介以外言ってる事同じな気がガガガが!


「さあ。さあさあ。」


 グイグイくるね。こっちは情報が渋滞してるよ。


 緑肌で銀、紫、ピンク、青髪のショートポニーテールだ。

 好みでもあるため引き寄せられる。サングラス越しから綺麗な瞳が俺を貫く。


「少し待ってくれんかの?」


 そして遂に、最後の人物がラプラスを呼び止める。


 その声には重量がある。プレッシャーと言えばいいのだろうか。一瞬で正気にさせられる。


「最後にワシの紹介をしてもええかの?」


 ワシ?まさか男!?


 咄嗟に振り返ると、そこには2mを超えた身長の女がいた。


 凄く美しい脚線に抜群のスタイル。

 肌色は金色であり、髪の毛もショートウルフヘアーで色は七色に輝くレインボーである。

 その手には身長に見合った大きな杖が握られている。


 服装も他の踊り子さん風ではなく、所々肌が見え隠れするローブを着ている。

 腹部には何かの紋章が刻まれている。


 派手に派手を掛け算したみたいだ。


「他の者が長いからの・・・全く、首を長くして待っておったわい。

 アレイスター様にいつ紹介できるのかと、今か今かと待っておっての。ようやくその出番が回ってきたから良かったわい。」


 喋り方のクセ強い。


「それは申し訳ない。14人もいたもんで俺もつい夢中になってね。」


「いやいや、良い良いのだ。

 さて名前じゃが、ワシはオーディンという。

 そこのロキ、トールを下に従えておるものでな。一つよろしく頼む。」


「やっぱりい・・・・・・」


「うむ?どうしたのじゃ?・・そうかそうか。ワシの姿に魅了されたのか。

 まあ、アレイスター様好みで現界できたからの。

 ヌハハハハ!よかったよかった!ワシも愛する人に合わせられたのなら最高じゃ。

 安心するが良い。ここの誰よりもワシの方が頼りになる。

 だから全てワシに身を委ねるといい。」


 なんか色々と情報量が多過ぎて追いつけない。


 えーと、今から俺は神々による戦争という名の虐殺を開始させようとしているのでは?


 ラグナロクの始まりかな?

 やはり、召喚は程々にすべきだった。

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