22 孤立

「みんな、ありがとう。ゆっくり休んでくれ。」


 LRとデザイアチームを労った後、元暗殺者と異界人を見渡した。


「良いな。」


「後は我らと同じ容姿を刻まれる事で完了致します。

 似ていくのは癪ですが、全てはアレイスター様のために。」


 ここまで来ると人の心が無いような・・・あ、神様スケールでしたね。


「ゼウス。頼んだ。」


「御意!必ずや遂行してみせましょう。」


 そんな気合い入らなくてもよくね?

 たかたが見た目のテコ入れだし。いや、重要だよ!まあでも程々にね?


「暗殺者は使えそうなのか?」


「はい。吐き出させた情報を元に他国へお仕置きを開始致します。」


 アテネさんは既に作戦を立案していた。

 頭がいい人は即決即断するよね。お仕置きレベルなのかは敢えて聞かないが。


「よろしく。こっちも戦力が増えたから少しはゆとりがある。」


「しかし、同時に他国から大きく警戒されます。

 その上、この付近以外の国々も総力を上げてこの地へと攻め入る事でしょう。」


 必死に目を逸らしていたのに。つか、ガチの世界大戦か。


「向こうは万単位で増えるが、こっちは数十から数百単位ね。泣ける。」


「お涙など・・・・申し訳ありません。私たちが不甲斐ないばかりに。」


 カイネを筆頭に俺の代わりに涙を流していた。


 あまり泣かれると、こっちの無能さ加減に余計に泣きたくなる。

 召喚士も便利なんだか不便利なんだかよく分からん。


「この異界人なかなか良いスキルを持ってるよ。」


 そんな空気を読まない感じのフレイヤさん。


 異界人のナナカは短い髪のポニーテール、髪色は赤、ピンク、紫と3色に変わっている。

 スタイルも抜群で髙身長へと変化している。


「もう別人だな。」


「この度はご寵愛をお恵みいただき、誠に深い感謝を申し上げます。」


 深深くお辞儀をするナナカ。

 

 なんと言うか・・・・改造NTR気分なんだけど?人格とか色々とサムシングだが。


「そう畏るな。その前に酷い事を散々してきたしな。」


「何を仰いますやら。あれはあくまでも必要な儀式です。

 今となっては尊く、素晴らしい思い出となっております。」


 あかん。頭の中まで改変されとる。


「やり過ぎでは?」


「そうかな?」


 疑問を疑問で返さないでくれ。フレイヤに聞いた俺がバカだった。


「よ、よろしくついでに君の能力は?」


「私の能力は七色の弾丸です。」


 レインボーにちなんでね。

 だから片手銃を保持しているのね。


「それと『罪』にも目覚めました。罪は『臆病』です。」


 臆病な事って罪なの?

 人によってはそう捉える人もいるってこと?

 つか、前から気になるんだけど、デザイア一族の『罪』ってなんや?


「そうか・・・・・ありがとう。これからよろしく。」


「勿体なきお言葉です。こちらこそ、何なりとお使い下さいませ。」


 『罪』は気になるが、今は目の前を気にしないとか。

 異界人ってか、もうその面影すらない。改造人間はこんな感じになるんだな。


「虚しくもなり、また清々しくもなる。」


「けど、ワクワクしているアレイスター様であった。」


 流石フレイヤさん。

 この弱肉強食の世界に置いて、俺のしたい事を誰よりも察知するその姿勢は好きです。


 なんだかどこかの悪の組織より、タチ悪い輩にはなってしまったが。


 だが、このチャンスは絶対に物にする。俺の野望を叶える。俺はやり直す。必ずな。


 そのためには・・・・・


「クロア。」


「はい。」


「暗殺者たちは直ぐに使えそうかい?」


「もちろんでございます。」


「じゃあ、後は頼むよ。」


「かしこまりました。

 アレイスター様はゆっくりとお寛ぎなさって下さいませ。」


 クロアとその後も少し話した後、地下室を出る事に。

 あそこはジメジメするので少し嫌いだ。


「本日、身の回りを共にさせていただきます。」


 カグヤ、ダレネ、セレナーデ、ディーテと凸凹コンビが共になる。


「結構偏りがある編成だな?」


「美しさのカケラもありませんわ。」


「美しさって何なの?」


「・・・・・アレイスター様のこと?」


 なんで疑問系なの?それ本心だよね?

 容赦ないダレネ様に心からのツッコミを。


「そうなの!」


 セレナーデは知らんが納得したらしい。


「意味としては違う気がする。」


 護衛というより、一種の芸者みたいな供回りだ。









































 地下室


「さて、他国の間者を殺すかの。」


「賛成だぜ。」


「俺も賛成だ。」


 アイナ、ゾラはクロアに賛同する。


「良いんじゃないかしら。私の魔法で吹き飛ばそうかしら?」


「それだと暗殺じゃないわ。」


「SSRが出ずとも、我が出れば解決だ。」


 ゼウスやスカーレットも何故か加わろうとしていた。


 その後、何処へ送ろうかを談義していた。


 アレイスターが去った後、誰がいの一番に他国へ進軍するかの会議がいつの間にか始まっていた。


「やはり、元の国へ攻め込ませた方が効率が良いのでは?」


「レイレの言う通り、地理を利用すればいい。」


 クロアは赤き同胞へと視線を移す。


「ここの暗殺者には、かつて結婚していた奴もいる。また恋人もいた。」


 カイネ、ミリスはそれぞれの国へ派遣する事に賛成の意思を表す。


「それで可決していいのでは?」


「構わん。」


「好きにしたら。」


 ゼウス、フレイヤは既に興味を失くしていた。


 アレイスターが居なくなれば、何もやる気が起きなくなる。

 ゼウスもまた同じく。


 そして、自分が武功を立てられないときたら、やる気は愚か、話すら聞いてない。


「トップがやる気ねえとは。

 しょうがねえからアタシがなってやんよ。」


「アーレスはガサツだからやめとくといいよ。」


「バカにすんじゃねえ!」


 アーレスはフレイヤへ小馬鹿にされた借りとして威嚇する。


「そんな事よりもヘパイストスはまだ作ってるの?」


「アレは刀を完成させるまで出てこないぞ。」


「ヘパイストス・・・我が家にも鍛治士が。」


 レイレは自身の剣を改めて手入れしてもらおうとワクワクしていた。


 ある日を境に各国から重要人物だけが無惨に惨殺される。


 その動揺は攻め入っている主力隊にも広まる。

 敵とみなした元公国に対して退いていく軍も現れた。


 それどころか、同盟や一時休戦の書状を送るようになった。


「全部破棄で。」


「かしこまりました。」


 俺はこう思う。


 今まで攻めておいて手の平返しは都合が良すぎだ。こうなったらとことん奪うもん奪う。


「赤肌も俺の手中に。」


 褐色肌、黒肌、赤肌も、ピンク肌、灰色肌と最高な形になりつつある。

 後は青、緑、黄色だな。


「最高な空間だ。」


「全ては美しきアレイスター様のものです。」


 ディーテの艶かしい姿に魅入られる。


「だが慢心はダメだ。念入りに対策をせねばな。」


「その通りでございます。

 ですが、周辺国以外は幸い距離があります。

 小国を落とした今、直近の脅威は無いかと。」


 お隣のアテネがそう言うのならそうなんだろ。

 俺個人としては国家レベルのやり取りのため、不安しか感じられない。


「他の人たちは?」


「フレイヤ、ゼウスに周辺の監視に当たらせております。

 ミリス、カイネは作物等の管理をメインでしております。

 キサラたち暗殺隊は各国へ潜入調査を行っております。」


「残りは国内の整備と護衛か。」


「その通りでございます。」


 うーん。意外と充実してきた?

 以前の声明で視線が集まったのは間違いないし。

 フレイヤとゼウスが前に出張ってんだ。


 その上、確実にお偉いさんを殺し回っているときた。


「はあ。世界が相手だと、ここからどうすればいいのやら。

 俺自身、そんな経験無いに等しいのに。」


「ご安心ください。我々が付いております。」


「美しき私もおります。」


 ディーテ、アテネは俺を支える。


 俺の創りし子たちが立派だ。お陰で少しホッとする。


「召喚を急がないと。」


「アレイスター様。ヘパイストスがお見えに。」


 いつのまにかヘパイストス現れた。


 この人もただの鍛冶屋さんでは無いらしい。


「できた。アレイスター様の刀。」


 ヘパイストスの手には青く透き通る刃が握られている。


「青い・・・・刀?」


 水属性的な?


「この刀はオリハルコンで精製した。

 私のエンチャントと魂をフルに込めた1本の刀。アレイスター様のためだけの刀。」


「俺の・・・・専用か。」


 あれ?そういえばオリハルコンとか言っていたような?

 適当に水属性って言ってすいません。


「そんなすごい物を作ってたのね。ありがとう。」


「当然・・・・アレイスター様のため。」


 ヘパイストスさんが嬉しそうにしてらっしゃる。

 大人しいからこそ分かり易い。


「俺自身は強化されたが・・・・」


 いや、刀なんて生涯振った事ありませんよ。


「他の武器も量産していく。

 けど、ここは輸入品が少ないため資材が不足している。」


「凄く正論だ。つか、色々とこれから足りなくなるぞ。」


「問題ないかと。資源はこれから炎帝龍の住処から沢山採掘できるかと。

 食材は生産速度に懸念点が発生します。何処かで調達する必要があります。」


「掘り出せば掘り出すほど問題点が・・・」


 野望を叶えるには問題を解決しないと。

 俺のレインボー公国のために!


 後、コッソリ刀の練習しときます!

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