21 赤へと堕ちる

「戦況は?」


 俺はゼウスに『思念』を飛ばした。


『はっ!只今、撤退していくようです。

 撤退が完了され次第、城へと帰還させていただきます!』


 ゼウスは問題ないと。

 フレイヤ側はなんか全部燃えてるからいいや。


 遠目で分かるというか、緑が赤になったら誰でもそう思う。


 後はレイレ、アイナ、ゾラ、スカーレット、インデグラとオリビエ、アイシャ、ヘレナ、カグヤだな。


 こちら側は『思念』ができない。

 どうやらガチャによると召喚士によるでは違うようだ。


「俺はどうするかな。」


 玉座から一歩も動いてない。

 ミリス、アテネ、カイネは周辺を魔法か何かのスキルで確認し、随時打ち合わせと戦術を練っている。


「王国兵に元王国側の仲間をぶち当てるのも少々酷い話だよね。

 まあ、お陰で狼狽えているからこそ、足止めができた訳だ。」


 結果よければ。だな。


「何にせよ。最初の山場は超えたか。」


 全員また無事に集まるのを心待ちにしよう。


 この公国外での戦争は無事に終結し、こちら側は何の損害はない。

 どちらかというと、捕虜の確保人数が少ないことが少々痛手であった。


 しかし、この戦いは全世界へと広まり、各国による同盟と討伐体が編成される事になってしまった。


 LRが5体筆頭として動く国に死角は無い。

 残りのメンバーもSSR級と侮れないメンバーで構成されている。


 食料も自己生産できるため苦労しない。

 しかし、残念な事に輸入品や輸出品は限りなく0である。

 また移住者も0である。


 戦後処理もやらなくてはいけないが、処理も何も死体を燃やすぐらい。

 この国は一体どこへ進んでいくのだろうか。


 不安しか募らん。





































 地下室


 血みどろに濡れた地下室では戦後のデザイアたちによる、残酷な拷問が繰り広げられていた。


 どんな暗殺者でもたちまち悲鳴を上げる。


 痛覚を切るのなら痛覚を再生させる。

 口を破りにくいなら脳を開いて聞き出す。または心を打ち砕く。


「楽しいぜ。」


 アイナはその光景をいたく気に入っていた。


 自身たちを非難してきた人たちの苦しみが彼女たちの大きなスパイスとなる。


「我らはそこまで興味はない。」


「ゼウスたちは別だ。同じ姿形をしようとも実際は幻界の存在では無い。」


 ミリスもそこに居た。


「そうですね。貴女方の思想は理解できます。

 好きに行動されるといいでしょう。しかし目的は。」


 アフロディーテが釘を刺そうとするも。


「解ってるよ。アタイらはアレイスター様の願いのために存在する。

 アレイスター様が呼んでくれたからこそ、今のアタイらが居んだ。」


「あら?野生児のゾラにしては解ってるじゃない。」


「バカにすんな!インデグラ!」


 全く和むべき場面では無いが、何故か和みつつある雰囲気であった。


「ところで最大の功労者フレイヤは?」


「奥で異界人と遊んでんぞ。」


 アーレス、ディーテもあまり興味がなさそうに横目で見ていた。

 特にアーレスは何人か関節をバラバラにしては、骨を曲げて拷問していたが、飽きてしまっていた。


「美しくなるために必要なのでしょうが、何度見返しても不潔ですわ。」


「我としてもそう思うが、まあこれも必要な事だ。

 アレイスター様が喜ばれる状況でもある。

 その時の姿を思い返すと我も喜べる。」


「当たり前だわ。アレイスター様がお喜びなる美しさに勝るものなどありませんわ。

 であるなら、このような事でも私は行いますわ。」


 アレイスターが絡むと急にやる気になるディーテとゼウス。


 奥から更なる叫び声が鳴り響く。


 地下で響きやすい。

 しかし、さまざまな悲鳴で誰がどう叫んでいるのかは全くもって解らない。


「犯した方が早い奴もいれば、そうじゃ無い奴もいる。」


「ま、今回はアタシ提案の異界人「堕転」だからな。」


 アーレスは大きな胸を張って今回の目的を語り始めた。


「フレイヤがやってんだけどな・・・・」


 ゾラはそんなアーレスに聞こえないように呟いたのであった。


 フレイヤ


「はあ。異界人は痛め付けるとすぐ根を上げるね。

 まあ、趣向を変えて豚共に犯させて見たが、こっちは割と保つね。」


 ナナカの酷く荒らされている姿が視界へと写る。


「私のテイムしているペットもかなり役立つ。

 アレイスター様もこの光景が好きだからね。

 でもやっぱり、アレイスター様以外は脆い。」


 フレイヤは興味が失せ始めていた。

 後は実験が上手くいくか。だけであった。


「他も他で楽しんでいるようだ。」


 周りを見渡すと阿鼻叫喚の地獄絵図が広がる。

 女性暗殺者たちの泣き叫ぶ声、犯される声が耳元にまで響く。


「何人堕ちるかな?一応、今回のご要望もあるからね。

 肌色や刺青の形も拘らないと。」


 弄ばれているナナカを他所に、フレイヤは頭の中で改造構想を練る。


 そんな暫くしてから、俺は地下へと。


「さてさて、呼ばれたはいいが。」


 俺、アテネ、カイネ、ミリスは地下室へと階段を降りていく。

 来る前に、実は3人をいただいていた。戦後は興奮するから。


「3人は大丈夫?」


「だ、大丈夫です・・・」


「問題ありません。まだイケます。」


「わ、私もです。」


 ミリスとカイネは怪しいが、アテネはケロッとしている。返答が可笑しい。流石はLRだ。


「おっ・・・・ふ。」


 いや、おっす。で軽い気持ちの挨拶で入ろうとしたが。

 この酷い光景は・・・・・


「おっふ?」


「気にするな・・・・ちょいと驚いた。」


 アイナさんは首傾げておる。


「これからか?」


「そうだよ。」


 ましてもどこでもフレイヤさん。


 フレイヤの捕らえたという報告にあった女性は髪を掴まれて引きずられていた。


 その姿はもう見てられない。


「これからだよ。」


「どんな感じになるのやら。」


「アレイスター様のご想像を叶えるのが我らの使命です。」


 アテネは何故かやや興奮している。したばかりだからかな?


 けど、彼女たち6人は俺が召喚した訳だし。他の人たちはたまたまというか。

 まあでも、好みなので最高っす。


「そうか。んじゃ、任せようかな。」


「ありがとう。」


 何故かフレイヤは俺の頬をさする。


「さーてと、やんぞー。」


「アーレス。アレイスター様の前よ。」


「やるぞ!」


 君のそういう所、嫌いじゃないよ。


「アタシらで賄えんだろ。」


 アーレス、アテネ、ディーテ、ゼウス、フレイヤは例の魔法陣を形成する。


「うん?ヘパイストスの姿が・・そういえばさっきから見えない気がする。」


 今気づきました。かなり前から見ていない気がする。


「ヘパイストスは工房に籠りっきりです。」


 ミリスが教えてくれた。


「なるほど。何かを作り始めているのか。

 鍛治士である以上期待しておくか。」


 おっと、そんな事よりも。


 魔法陣が起動した。


 起動した途端、気絶していた者、痛みに呻く者、苦しく涙を流す者、快楽に明け暮れる者を含めて皆が苦しそうに悶絶する。


 紫電がバチバチと放電する。

 今回、この魔法陣含めて何かが変であった。


「魔法陣の形と在り方を変えてみたの。」


 後ろからスカーレット姉さんが抱き付く。


 背中越しにお胸の感触が。

 しかもノーブラだぞ。


「趣向を凝らす予定なのと、今後の実験も兼ねてね。

 特に今回は異界人を堕ろすのがメイン。

 後はSSR以下がどう反応するのかを見定めたいのよ。」


「ほほう。割と考えているのな。」


「もちろんです。この国はアレイスター様の物です。であるなら、主君の思想に沿わねばなりません。」


 悪い気はしないが、どうやって意図を汲んでいるんだが。

 不安は抱きつつも堕転が実行される。


「予想以上に苦しそうだな。」


「ま、初めての試みだからね。」


「フレイヤ的にも厳しいか?」


「まさか。アレイスター様の前では成功以外あり得ない。」


 何処から出てくんのよ。その自信は。


 そうこうしている内に変化が現れた。


 女性たちの肌色が赤色やピンクなど、赤色系統へと変化が起きる。

 ある者は牙が生え、鬼となる。

 ある者は人の姿をしつつ赤肌となる。


 変化した者は苦しみから解放されたように叫び出す。


 そして魔法陣が解けていく。


 煙の奥からは赤肌を中心とした、新たな仲間が集まる。


「お、おお。いいな。」


「ありがとう。」


 流石は俺の召喚したLRちゃんたちだ。

 ちゃんと成功させた。


「同じ異界人でもこんなに変化すんのな。

 肌色と種族の違い以外は殆どがデザイアチームと変わらない。素晴らしい!」


 嬉しすぎて感極まるわ!


 自身のアレが歪んでいるのは理解している。

 だが後悔など、もうどうでもよくなった。

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