16 新たな力=争い

 今俺の目の前には、とある映像が流されている。

 しかもベッドの上で、フレイヤとゼウスを抱き寄せてその光景を眺めている。

 そんな俺の上にはアテネが乗っている。


 思いっきり悪役です。はい。


「どう?更に興奮するでしょ?」


 ムズッ!この映像で興奮はハイレベルやろ!


「アレイスター様はこういうのが好きなのか?

 しかし・・・・・」


 言わんとする事は理解している。


「大丈夫だ。お前たちは俺のだ。絶対そんな目には合わせやしない。」


 っと言っても、俺が何かできる訳もないけど。

 ただ周りの彼女たちは嬉しそうにしている。

 なんかやらされた気がする。


 今に思えば彼女レベルが早々やられはしないだろう。

 しかし、どんなであれ女性だ。エスコートしてこそ男性なり。


「けど、ああも嬲られているのによく興奮してるもんだな。」


 映像越しではあるが、なんとなく伝わる。

 作り込まれた例のビデオとは訳が違う。


「それは私が調整しているからね。」


 そんな映像越しの彼女たちには腹部辺りにハート型の入れ墨がある。

 そして妖しく光っている。やっぱフレイヤさんかよ。


「私たちにもついているよ。」


「それ弱点じゃないか?」


「いいや。自分でしかコントロールできないようにしてあるよ。

 映像で遊ばれてる彼女たちはそうじゃないけど。」


 なるほど。ますます興奮してきたぞ。

 だんだん性癖が歪んでくのが解る。


「気持ちいいでしょ?ここから姿形を変形までさせられるんだ。」


 想像するとエロい。


「素晴らしい。」


「我らが居れば解決だが、アレイスター様が望まれるのなら世界をその色に染めよう。」


 厨二?


 だが俺の心は痛まなくなりつつあった。

 例え女性が映像で強姦されていたとしても。それよりも王としての享受を優先している。


 ただのクズなのか?

 果てまたは勝利の美酒なのか?

 なんにせよ、人間としての性が俺にもあったということだ?


 不思議と俺の心中は悪くならなかった。

 まだスッキリはしないが。

 でも、歪んでくのだけは認知している。


 元公国城の自室


「メニュー。」


 やる事やった後は状況確認だ。


 ちなみに今更だが、公国を支配してからは服装が英国チックな感じだ。

 正直凄い動きづらいぜ!


「公国貴族ってこんなじゃらじゃらしたの付けてんのかよ。」


 ま、そんな事より。


 メニューを開いた。


「やっぱりレベルが段違いに上がってる。」


 アレイスター (仮) LV.102


『職業』召喚士


『スキル』使役、言霊、魔化


「おや?新しいのが2つほど。これもレベルアップの恩恵かな?」


 どれどれ。


『言霊』 『使役』している者に強化・命令をができる。※自身のレベルによる

『魔化』 召喚された者に魔の力を与える。※自身の魔力量による。


「なるほど。強過ぎる彼女たちに更なる強化を施せると?

 命令?は必要なのか知らないが、把握ぐらいはしておくか。

『魔化』は慎重に使わないとな。」


 フレイヤなら信頼を置けるが、他はどうなのか。


「ま、それよりも今は攻め込んできた奴等に対処しないとか。

 一国は小国だが、もう一国はどこの国だ?」


 この世界の地理はほぼ知らない。

 知ってるのは公国、小国、炎帝龍の住処(ヌシ除去済み)、深林地帯と近隣だな。


「国名は知らないが、せめてご近所さんのお名前ぐらいは知らないと。」


 それに、次々と偵察隊や暗殺兵が他国から送り込まれている。らしい。


「早めに近隣を支配するかしないと・・・・いくら強くても、こっちの身が保たない。

 言っても、俺できる事は強い奴を召喚して使役すること。」


 んぐらいしかできない。

 が、こっちにも戦い方がある。


 キリッと引き締めてみたが、分からないためオネンネした。


 目覚めた後、元公国城内 王の間へ。


「という訳で。小国に攻めようと思う。」


 主要人物たちをかき集めて会議を開いた。

 一応このぶっ飛んだ発言は俺個人です。


 寝て閃いたのがこの案である。


「かしこまりました。」


 いの一番にアテネが文句言わずに了承した。

 よく見ると周りもうんうんと言ってた。主にフレイヤたち。


「お待ち下さい。小国へ攻め入るのは賛成ですが、今ここの戦力を割くのは如何かと。」


 ミリスは賛成ではあるが、疑問があると。

 絶対上司の中でそう意見を述べられるのはありがたい。


「そうですね。流石に力があるとは言え、こちらも人数不足です。

 全員を総動員させてはアレイスター様の身が危ない。」


 レイレもミリスに賛成と。


「ふざけるな!」


 アーレスの怒りで会議室の机にヒビが入る。


「アレイスター様からの命は必ずだ!口答えなど」


「アーレス、落ち着きなさいな。美しくない。」


「美しさは関係ねえだろ!」


 荒れてます。アーレスの姉御。


「しかし、言い分はその通りね。」


 おや?ディーテはこの意見をゴリ押すかと思ったが。


「確かに攻め入れば確実に倒せる可能性は高い。

 しかし、他国から攻め入られないとは限らない。そんな危険をアレイスター様に背負わせるなど・・・・」


「俺もそう思うぜ!」


「アタシもだ!」


 ディーテの意見に感化されたのか、ゾラとアイナが乗っかる。


「あら?意見が割れた?のかしら?」


 インデグラの言う通り。


 俺の召喚した人とガチャで召喚した人で意見が対立した。ディーテ以外?かな。なんか嫌な感じするけど。


 本命のフレイヤとゼウスはどうかな?


「うん?私はアレイスター様の意見しか興味がないから、口答えは死んだらいいよ。」


 フレイヤさんは本当に素直に掻き乱すね。

 嬉しいような背中が痒いような。この半端な気持ち。


「我もアレイスター様の意見に賛成だ。

 しかし、危険の可能性があるのも解る。」


 ゼウスが意外とまともな意見を・・ほろり。


「ま、ゼウスの言う通りでもある。

 だからここは、私、アーレス、ディーテで迎え撃つとしましょう。」


 アテネが意見をサラッとまとめる。


 アテネの様子から今の一連の流れを誘導した感が感じ取られる。

 ディーテも分かっていて発言したのか。


「流石に3人だけって厳しくない?」


 純粋に気になった。


「そうでもないよ。LRは伊達じゃないよ。

 それに安全策で主要人物たちを消すことぐらいしかやらない・・・・かな?

 軍隊を引き連れてまたこっちに来る前に全てを済ませた方がいいんじゃない。」


 フレイヤさん何食わぬ顔で語っている。

 しれっとしているので、こっちとしては何も言い返せない。


「小国ぐらい潰すのは容易い。」


 ゼウス様・・・・・多分その顔は普通規模の国でもイケる顔してますね。


「それならアタシらでも何とかなるか。」


 アーレスも何故かドヤ顔してる。


「ま、大丈夫じゃないかしら?

 確かにSSRの私たちだと、LRに対抗するには力不足だけど。

 他にもLRがここにはいる。であるなら問題なさそうね。」


 インデグラは雰囲気で行けそうと感じたのか、小国へ攻めるのに賛成したのであった。


「ま、そんなにLRが居ても困るがの。」


「へ?そうなの?」


 クロアのふとした一言に、俺は驚きのあまりについ聞き返してしまった。


「その通りでございます。

 LR自体は1人でも入れば、途轍もなく脅威となります。

 だからこそ、アレイスター様の存在は他国にとってかなりの脅威です。」


 ほほーう。ヘルメの説明で簡単に解った。


 召喚士が如何に伝説上の存在なのか、それが世界にとって何を意味するのか。


「LRが6人なのは異常か。

 が、今の言い方だとガチャでも当たる可能性があるのか?」


「左様でございます。」


 今度はオリビエが答えてくれた。


「なるほど、うん?なら、少し抜けても大丈夫じゃないか?」


「確かにそうなのですが・・・・・・」


 え?なんかまずかった!?


「ほら?アレイスター様もそう言ってるし、大丈夫だろ。」


「けど、危険なのは拭えない。美しさが足りない。

 我々の誰かが側にいる必要があります。

 なので、ここは」


「私がいるので大丈夫」


「我が側にいる。夫の側には妻であると相場決まっている。」


「なに寝惚けたことを」


 急に殺伐とするLRさんたち。

 全員愛している分、争わないでほしい。


「でも、1つでも潰さないと・・・・あ。」


 戦力を要は盤石にすればいいんじゃない!


「アレイスター様?」


 全員首を傾げて俺をまじまじと見る。


「いや、強化する方法があった。」


「「「「「「「「!!」」」」」」」」


「『魔化』という強化なんだけど、これなら俺の魔力も足されるから更に強くなるんじゃない?」


「だろうね。なら私が受けよう。」


 フレイヤさんが志願してきた。

 というより周りがざわつく。


「そうだな。フレイヤが最初に俺の元に来たんだ。だから、フレイヤに施そうと思う。」


「ありがとう。」


 フレイヤさんの満面な笑みで応えてくれた。

 何だろうか、周りの羨ましそうな視線は。


 知ってるけど知らないフリ主人公で。


 そして別室にて。


「よし。じゃあ、試すぞ。」


「よろしく。」


 俺はフレイヤに『魔化』を施すため、2人きりになった。


「つか、何で裸なの?」


「ノリかな?」


 ノリでって・・・・・痴女かな?

 個人的には興奮するけど、今違う気が。


「んん!それじゃあ、行くぞ。」


『魔化』発動!


 唱えると同時に俺の体内にある魔力がゴッソリ減っていく。


「ど、どうだ?あ、あれ?何か一気にダルくなった。」


「力が溢れ出てる。元々強いエネルギーは身体に巡ってはいたが、更に力が加わった感じがする。

 それに新たな力が身に付いたようだね。」


 そんな簡単に伝わってるの?い、意識


「新たな・・力、ね。」


 とにかく疲れた。


 いくらLV100を超えたと言えど、LR1人分の魔力が限界だ。つか、よく保った!


「ゆっくり寝ていて。」


 何故か裸のフレイヤに優しく介抱され、そのまま目をゆっくりと閉じる。


 フレイヤはそんな眠ったアレイスターの頬にキスした。

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