14 召喚祭 2

 あまり急いではいないが、宝物庫へと辿り着いた。

 なんとなく現状を把握したいと思い


「ヘレナ。ここから状況が見える?」


「はい。フレイヤ様は只今虐殺中です。」


 虐殺中継してどうすんのよ。正直聞きたかったのはうちのメンバーとか宝物庫の事とかやねん。

 俺も聞き方が悪かったけど。


 ま、何で戦ってんの?とか色々とツッコミたいが、今は後だな。

 つか、ウチ唯一のLRさんは好き勝手だな。


「うん?ランクの話しで気付かなかったが・・・・・・あっちで戦っているレイレたちは何ランクだ?」


 って、キサラたちに聞いてもしょうがない気がする。


「アレイスター様。」


 クイナからだ。


「アレイスター様のお引きなったガチャが、『背負いし大罪人』であります。

 この世で罪を背負い、世界の迫害者と言われております。」


 想いが重いのは分かった。


「ですが、SSRしか居ません。」


 ほう。かなりレアだったらしい。

 名前からして不吉ですが・・・でも何で俺の前に現れた?


「アレイスター様は類い稀なる才能の持ち主でございます。」


 オリビエまでわっしょいしてくる。

 ただ説明には至らない。それに類稀なる才能が全世界の敵になるとか、誰得やねん。


「アレイスター様は世界に祝福されたのでしょう。」


 祝福で大罪シリーズって何よ?

 むしろ嫌われてるやん。


「けど、意外な展開にちょっと面白がっている自分がいる。」


 割とチートチートって訳でもないし。

 だからこそ心強いってもんよ。

 使い方を誤るな。という意味もありそうだ。


「しかし、こうも自分の趣味に準じているとはね。

 これからも俺の欲望で全てを変えて行け。ということか?」


「もちろんです。

 我ら一同、アレイスター様のために尽力させていただきます。」


 この人たちは支配された人たち。

 支配したという事は俺のモノか・・・うむ。

 ジワジワと性なる欲が湧き出るわい。


「期待している。」


 カッコ付けてみたが、何か嬉しそうにキサラたちが興奮してた。

 こちらとしては恥ずかしい限りだよ。


「では、こちらでございます。」


「ありがとう。オリビエ。」


 案内された先には。


 金の扉・・・・・こんなド派手だったのに気付かないとは。金に疎い生まれですいません。


「城の探索も推し進めとくか。隠し通路とかありそうだし。」


「もちろんでございます。」


 カイネはこの国をかなり理解している。

 元宰相だしな。てか、先に言え。


「前の奴がどう国を作ったのかを知るには、カイネが唯一の手掛かりか。」


 ま、そんなことより。


「宝物庫って開くの?」


「解除します。」


 キサラがそっと前へと出た。


 そうだった。彼女はSSRの盗賊だ。

 前のゲスマスターさんから寝取って、全てを作り直したんだった。

 つまりは俺もゲスか。


「頼む。」


 キサラが鍵穴に魔法を唱える。


「『アンロック』」


 簡単にガチャリと開く。


「かなり高質な魔道具で固められていましたが、今の私なら問題ありませんでした。」


「おお〜!流石は盗賊だ!よくやった。」


 ヨシヨシとキサラを撫でる。


「ご、ご褒美だぁ。」


 キサラが涎を垂らし、小声で嬉しそうに呟いていた。

 構ってると俺が疲れる。


「・・・さてと、金銀財は沢山あるが。」


 俺の目的は放棄されている召喚石だ。

 一応、100回は召喚はできる。

 100回分も召喚石があるとは思えないが。


「ま、そん時はダンジョンやらを探索して発掘するか。」


 召喚士自体、俺だけらしいし。オークションとか周ればあるかも。


「そのためにも明日を生き残らないといけない。」


「アレイスター様〜・・はいっ!」


 ヘレナが元気よく召喚石を見つけてくれた。


「お、サンクス。どれどれ?」


 召喚石を確認すると・・・間違いなくLR。


「素晴らしい。」


 何の趣味なのかは知らんが、ちゃんと整理整頓されている。5個もある。

 SSRは10個、SRは30個と。


「他の奴らからすればハズレアイテムだが、俺からしたら超が付くほどのお宝だ。」


「アレイスター様のためにあったも当然です。」


 それは無理があるんじゃないか?

 しかし、今は気分が良い。細かい事を気にしなくていい。


「うーーーーん、やるか。」


 少しストレッチ紛いな行動をしてと。


「はっ!」


 何故か全員が拝みポーズになる。いや、儀式かよ。


「えーと、スキル欄から・・・・『召喚』。」


 召喚陣が展開される。


 創造は・・・・・・・・・これでよし。


 それに応えたのか、召喚が起動する。

 強烈な光や電流が宝物庫を周囲に張り巡る。

 更には光に反射する宝たち。


 大きな光はやがて少しずつ収まっていく。

 煙の中から5人のLR戦士が現れた。


「我ら一同をお呼びしていただき誠に感謝しております。

 我らはアレイスター様の手となり足となり、アレイスター様のためだけに死ぬ事を誓います。」


 召喚した分、他より忠誠心はめちゃ高い。

 身長も高く、色々と大きいので威圧感凄い。


 ちょっと怖くなりそう。


 そんな恐怖と美しさを兼ね備えた5人の女神様だが。


「先に美しくご紹介させていただきます。

 私はアフロディーテと申します。以後、お見知りおきを。」


 1人目のホンワカ姉さんこと、アフロディーテさん。

 スタイルは言わずもがな抜群だ。

 出るとこ出て、引っ込む所は引っ込む。


 そして肌色はもちろん褐色どす!

 何といってもそこ外せない!

 ちょい黒目なのが良い!


 髪色も赤を主体とした、ピンクと紫だ。

 髪型はセミロングです!


「次はアタイだ!アタイはアーレス!よろしくな!」


 次は太陽のように元気な破天荒姉さんはアーレス。

 見た目は以下略で。何といっても変わらず、素晴らしいお姿なので。

 短髪の髪色は茶髪に白が入り混じっている。


 一言で言えば、ヤンキーですね。控えめに言って最高です。


「では、私ですね。アテネと申します。

 こう見えて叡智を武器に戦います。遠距離攻撃がメインとなっております。

 何卒よろしくお願い致します。」


 アテネさんはインテリ系だ。

 眼鏡こそ掛けてないが、素行の良さから頭が良さそう。

 髪型はショートロールヘアー、髪色は銀色と青が入り混じっている。


「4人目、我はヘパイストス。よろしく。」


 このガテン系寡黙お姉さんはヘパイストスさん。

 鍛治士が必要なため頭で創造してみた。

 髪型はツンツンヘアーの黒、紫、赤色をしている。


 だが、安心して下さい。エロさは外しません。


 そして最後は、この電流を周りに放ちまくるお姉さんだが、先ほどからピリピリしていらっしゃる。

 怒ってる訳でもなさそうだが。


「最後は我だな。我はゼウスと言う。

 召喚主に問いたい。」


 何だこの妙な感じ・・・・一体!?


「第一妃は私なんだろうな?」


 ・・・・・・・・・・・・アホか。


「何でそんな神妙そうに聞く・・・てっきり、かなりキツい事を聞いてくるかと。」


「何!我が主人にそんなことする訳無いだろ!」


 ヤベ怒った。ちょっ!ピリピリするから近寄らないで!


「主人は側にいてもらうだけで幸福だ!

 むしろ働くなど・・危な過ぎて許せない!」


 何というニート泣かせな人だ。ピリピリするけど。


「主人は一生我が面倒見よう。だから我の側にいるが良い。」


 凄い敵を作りそうな人だ。ま、名前が名前だしな。


 ゼウスさん。この人は一際凄い存在感と威圧感を放っていた。


 スタイルも他の4人と同じくらい凄いが、お胸は更にデカい。

 褐色肌に刺青のような紋様が幾つか身体に刻まれている。


 髪型はショートのアシメントリーヘアーで、髪色はレインボーカラーである。

 特別なのが伺える。


 定義した名前に沿った能力が反映されているようだ。多分。


「神様の名前を設定してみたが、期待以上だ。」


 オリビエたちは頭を下げていた。


 いつのまに。


「皆様。この度は誕生のほどおめでとうございます。」


「ほう。お前は・・・・そうか。」


「なかなか厄介な状況ですね。」


 アテネは何かしらの状況を察知したのか。


「アテネは頭が良いな!」


「私は美しければ何でも良いけど。」


「・・・・・・・」


 ま、俺らの状況は極めて深刻だ。


 幾ら力だけを付けても、この世界を相手にするなら兵力、経済力が全然足りない。


 アテネさんレベルの知将に期待している。

 勿論、他の方々への期待もしている。


「けど、少しは見返せそうだ。」


 このクソみたいな状況にね。


「早速向かいましょう。フレイヤが1人暴れていることですし。」


 アテネが即行動の意思を表す。


「我の主人。見ていてくれ。主人のために全て滅ぼしてくるぞ。」


 手がピリピリするよ。ゼウスさん。

 手を握っているが、電流が凄まじい。


「よ、よろしく。」


「では、散りましょう。」


 アテネの合図と共に、フッと光速で全員消えていった。


「嵐が一気に過ぎ去った感じだな。」


「アレイスター様・・・・・」


 うん?キサラたちが何か言いづらいような雰囲気に・・・・・あ。


「大丈夫。お前たちを見捨てないから。」


 ヨシヨシと撫でると、全員また泣き始めた。


 肉体の次は精神がピリピリしますね。

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