2 召喚祭 

「とは言えど、これはありがたい。

 早速召喚をする前にだ、このガチャ券10連を使いたい。」


 えーーと、ガチャ欄はと。お?あった。どれどれ。


 サムライ和の国魂ガチャ、ダークエルフ・エルフピックアップガチャ、ドラゴニュートピックアップガチャ、聖騎士ピックアップガチャ・・・・


 かなり多い。しかも男子か女子までも選べる。

 少しホッとしている。


「うーーん。けど、何かこう、折角の異世界だ。

 もっと俺に合った・・・・・おや?」


 何かドス黒い。

 というか、何かこの欄だけ変だ。


 ステータス画面には『罪◼️◼️◼️◼️讐ピックアップガチャ』と記載されている。

 更には画面がブレている。何か所々がモザイクチックな。


「何か不味そうな気がするが。

 押すなと言われると押したくなる・・・感じ。

 ボ・タ・ンを押してくれー!あ〜。」


 ついアニメの流れで押してしまった。

 チケットが一瞬で目の前で消失した。


 すると、空が暗くなる。

 雲が集まり、雷が鳴り響く。


「やべえかも。こんなに雰囲気変わるの?」


 先にLR召喚の触媒を使うべきだったか?


 大きな稲妻が俺の前へと落ちる。


 あまりの勢いと威力につい尻餅を着いてしまう。

 その凄まじい光景に声すら出ない。


 暫くして雷が止み、煙の中から10人の美女が現れる。


「こ、コイツは・・・・」


 驚いた俺の前に10人の戦士が現れた。


「うひょーーー!ここが。」


「うるさいな。君たちは。」


「うーー、いきなり呼ばれたの。」


「眠い・・・・・呼び起こしてもらった。」


「あら?いいじゃない。

 私たちの出番がきたのよ。」


「誰を殺せば良い?」


「あの人、人間!!」


「ヘぇ〜?お姉さんたちを呼ぶ何んて。」


「へへ!上等だ!」


「皆さん。王の前で無礼です。」


 凄く驚いた。

 俺が頭の中で描いていた美女がこんなにも。


 ところがどっこい、全員が色黒か褐色肌だ。

 どこかの部族衣装のような服装に身を包んでいた。


「王よ。我々をお呼びして下さったこと、誠に感謝しております。」


 1人の銀髪と紫の髪が入り混じったボーイッシュヘアーの女性が騎士らしく跪いた。

 腰には魔剣のような禍々しい物を装備している。


「んじゃ、俺からな!

 俺はアイナ!夜露四苦!えーーと、王様っ!」


 アイナは早速俺の首元へと腕を組んだ。


 大きなお胸が顔面に当たる!

 しかも、身長が174㎝の俺よりデカい。


「あら?じゃあ、アイナに続いて、私はインデグラって言うの。

 以後お見知り置きを王様。」


 髪はショートポニーテールの紫と黒が入り混じった髪色、綺麗な銀の踊り子のような姿をしている。インデグラさん。

 しかし、魔力宝石のような物が腕や至る所に付いている。


 そして、アイナとは逆側に俺へと引っ付く。


 はう!素人童貞の俺にはキツい!


 すると、今度は左右から血の槍が降ってきた。


「ふへぇ!!」


 流石に驚き、また尻餅を着いてしまった。


「いでてて。」


「王よ。申し訳ありません。あまりにもこの2人の行動が目に余るがゆえに。

 どうか許していただきたい。」


「おいテメェ、喧嘩売ってんのか?」


「あら?そうね。随分と調子に乗るのね。」


「貴様らから殺そうか?」


「やめなさいお前たち。

 ヘルメも挑発をしない。」


 どうやらこの暗殺者はヘルメさんと言うらしい。

 左右の腕には包帯が巻いてある。

 そして同じく踊り子のような部族衣装である。

 髪色は黒、ピンク、銀と随分とカラフルだ。

 ショートポニーだ。


「・・・・・王よ。申し訳ありません。

 どうかこの首でお許しを。」


「い、いいよ・・・・気にして無いから。

 いきなり退場も嫌だよ。」


「ありがたき幸せ。

 何卒お使いになさって下さい。」


 ささっと、その豊満な身体を差し出そうとする。

 それを遮るように恐ろしいモノが目に映る。


「うんん!次は妾の番じゃ!妾は黒蛇使いのクロアじゃ!

 毒や蛇などの扱いは長けておる!よろしくの。我王様よ。」


 ぐぉぉぉぉぉぉ!よく見たらそこそこの大きさのアナコンダじゃねえーか!

 しかも毒あんのかよ!


 そのお団子2つショートヘアーで髪色は紫と白色という特徴的な色に、服装は同じく以下略だ。

 しかしだ。特徴的なのが蛇だ。至る所にいる。


「よ、よろしく。」


「大丈夫じゃ。王様には一切の害はない。」


 何の保証があって?


「次は僕だね。僕の名はミリス。以後お見知り置きを。」


 短い挨拶だが、その気品さが目立つミリスさん。

 同じくショートサラサラヘアーのレインボーカラーだ。

 それに女教師風のメガネを掛けたインテリキャラだ。

 服装は以下略で。

 ただ、一冊の巨大な鍵穴付きの本を持っている。


「6人目は私・・・・私ダレネ・・・よろしく・・・・」


 やる気が無さそうというか、眠そうだ。

 ショートウルフヘアーに髪色は青と黒で凄くダラけている。


「うっす!次はアタシだよーだ!

 アタシはこの野山を駆け回れる女戦士!

 ゾラだ!よろしくな!王様!」


 凄くお転婆そうなゾラさん。

 こちらは片目隠しのショートヘアーに赤、ピンク、紫の髪色だ。


「私なの!私は生き物の声を聞いたり、ペットを使役できるの!

 セレナーデなの!よろしくなの!」


 幼い喋り方とは打って変わって、セクシーなお姉さんのセレナーデさん。

 こちらもショートツインテールの紫と黒色をしている。

 後ろのペットは怖い獣さんなので、あまり見ないでほしい。


「9人目はお姉さんね。私はスカーレット。

 よろしくね。旦那様♪」


「だ、旦那!?」


 気前良過ぎて驚いた。

 そのお姉さんもショートヘアーの片目隠しの紫と銀、金と派手目な髪色であった。


「貴女たちはもう・・・・・最後は私かしら?

 私は貴方様に永遠の忠誠を誓うため、馳せ参じました。

 キリレイレと申します。どうぞ、レイレとお呼び下さい。我君よ。」


「これはこれはどうも。初めまして。」


 相手があまりにも丁寧な対応をしてくると、こっちもつい丁寧な感じになってしまう。

 社会人としての性だな。


 最後の騎士さんも踊り子衣装だが、所々に黒い鎧が着いている。

 しかし、髪型は同じくショートヘアーで金銀ヘアーだ。


「こ、コイツは一体・・・・・」


「我君よ。慌てることはありません。

 何分、初めてこの世界を訪れたと見受けられます。」


「そ、そりゃあな。ただまあ。」


 何でだ?何故全員踊り子風というのか、部族衣装なんだ?それにスタイル抜群だ。

 皆んながボンキュッボン!


 強そうなのも伝わる。

 がしかし、皆がカラフルヘアーと色々とド派手だ。

 これではまるで俺の想像の・・・・


「王様。アンタは私たちを選んだのか。」


「そうね。物珍しい人も居るものね。」


「普通は選ばないの。

 不気味だって言われるの・・・・」


 は?何で?


「どこが不気味なんだ?

 こんな最高なガチャを引かないなんて・・・・・何て損な奴らだ!」


 俺の言葉に10人が面喰らっていた。


「我君よ!貴方の本心、しかと承りました!

 このレイレ、貴方様に命を捧げましょうぞ!」


「乗った!アタシも賭けるぜ!」


 急に皆がテンション高くなる。


「と、所で皆さんはどちらからやってきたの?」


「俺たちは主に天界、地界、魔界、幻界の4世界に別れている住民だ。

 正確に言えば、王様から見たら見えない世界の神兵みたいなもんだな。」


 ほうほう。


「それで?」


「続きはこのヘルメが。

 その中でも我らは幻界に位置する者たちです。

 デザイアと種族は呼ばれています。

 我らは皆、神界、地界、魔界のいずれかを追放され、集まった一族です。

 他の幻界の奴らもおりますが、我らが代表的な一族かと。」


 ほうほう。うん?だからか。何かノイズが酷いというか。何か怪しかった。

 つい興味本位で押したが、結果オーライ。

 こんな俺好みで最高の美女が来た。


 が、しかし何でガチャ?

 この世界の神様は何がしたいんだか。


「私たちはね、罪人と呼ばれてるの。」


「・・・・・いつかアイツらに復讐を誓った・・・・・」


 ダレネから途轍もない殺気が放たれる。


「!!ご、ごめん・・・・・」


 ダレネが急に泣きそうになり、俺の側で許しを乞いている。


「い、いや、大丈夫だよ。

 少し怖かったけど、意図的じゃないのは伝わってるよ。」


「大丈夫?・・・・捨てないで。」


「捨てる訳ない。むしろ、ずっと側に居て。」


「!・・・・・ありがとう。ありがとう・・・・ありがとう。」


 いきなりダレネが泣き出した。


 俺の胸で彼女は泣いている。

 意味は分からないが、その涙から逃げずに受け止めた。


 重いというか、予想以上の訳アリときたな。

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