(二)

 営団地下鉄丸ノ内線に乗った相月あいづき美佳子みよこは新宿三丁目駅で降りた。改札を抜けて地上へ出ると、明治通りの一本裏手の路地に位置する雑居ビルに入った。そして入口から伸びている階段を上がり、二階の居酒屋『上州鳥酒場 国定忠太郎』新宿三丁目店に入った。

 ダークブラウンを基調とした店内のテーブル席はほとんどが既に埋まっており、多くの客が歓談し盛り上がっていた。

 店員に案内されて美佳子は店の奥にある座敷席に向かった。案内された場所は三つ並びの真ん中であった。可動式の木製パーティションを動かすと大人数でも入れるような席で、掘りごたつ式だ。


(続く)

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