第40話 最強の守護者
俺達は予定通りペンテシレイアの部隊と合流し、東の龍脈に向かった。
そこには報告で聞いていた通り、ちょっとした要塞の様な建物にモンスターの軍勢が配置されていた。
「ここがこの戦いの1つの正念場だな。いくぞ、お前ら『
「GAaaaaー」
ペンテシレイアの部隊が敵軍のモンスターに突撃していく。ペンテシレイアの兵士達は皆、屈強で体格差のあるモンスターにも怯む事なく、敵を蹴散らして突き進んでいく。
中でも隊長のペンテシレイアは凄まじく、巨人でさえも一人で倒している。
「巨人の足に強烈な打撃を与えて転倒したところですかさず首を切るとかもう人間やめてるレベルじゃあないですかね。あの人…。というよりも益々お強くなっていません?」
「………」
ソロモンの言い方は大変失礼だが正直、分かる。ペンテシレイアは元から凄まじい怪力の持ち主ではあったがこれ程までだっただろうか?もう本当に化け物じみていやがる。
「成長しているのはソロモン殿だけではないっと言う事です。皆様、ここ近年は特に鍛練などに身が入ったご様子でした。
恐らく、長い苦しい戦いに希望が見えた事により皆様張りきっていたのでしょう。これもアキレウス殿のお陰というものです」
「なんだか照れます。それにとても不思議な気持ちです。俺に勇気や夢を与えてくれた英雄達に俺が希望を与えていたなんて…」
俺の活躍は召喚術があってのもの。本来なら魔族の力であり忌み嫌われるものだ。それでも羨まれる事なく、妬まれる事もなく、気味悪がられる事もなく、仲間として受け入れてくれたこの軍に俺は感謝している。
その仲間達に単純な戦力以外のものも与えていた事実に凄く嬉しくなった。
モンスター達が後退していく。このまま龍脈の中心部に辿り着けるかと思われた時。
ゴゴゴゴゴゴ…
大きな地響きと共に巨人さえも凌駕する体躯の恐ろしいモンスターが姿を現した。
それは背中には無数の蛇が生えており、龍の様な尻尾をもつ、3つの犬の頭があるモンスターであった。
ケルベロス。多くの恐ろしい伝説をもつ冥界最悪最強の門番。その伝説の登場によりこちらの勢いが止まる。
存在感が凄い。アラクネいや、ネメアの獅子やヒュドラにも劣らない威圧感だ。間違いなく
「うおおおぉ!」
ペンテシレイアは
しかし…
「くっ…やはり他のモンスターとはレベルが違うか」
そんな必死の猛攻であってもケルベロスには敵わない。3つの顔がその牙が一切の隙なく襲いかかる。ペンテシレイアもその攻撃を避けるので手一杯だ。また何とか後ろに回った兵士達も巨大な尻尾により軽々と薙ぎ払われた。
冥界最悪最強の門番の名に偽りない強さ。単純な力業だけではこいつは倒せない。なら俺の出番だ。召喚術で突破口を作るんだ。
伝説だと英雄ヘラクレスによって退治された話があるが、普通に自慢の桁違いの怪力で倒していて全く参考にならない。まぁ、物理攻撃が効くって情報だけてもありがたいか…。
「何としてもペンテシレイア殿の攻撃の隙を作りたいのですが。私の魔術の幻覚にも全くつられる様子がない。
視覚だけでなく、嗅覚、温覚などにも優れているのでしょう。厄介な相手ですね」
アイネイアスの考えている通り、ペンテシレイアの
あれでいくか。俺は体な鳥だが顔が女性のモンスターであるセイレーンを召喚した。それをケルベロスの耳付近まで飛ばして歌わせた。
ペンテシレイア達はセイレーンに気づくと両手で耳を塞ぎ出す。四足歩行であるケルベロスはそれができない。もろにセイレーンの歌を聞き、やがて放心状態になる。
「悪いが観念しやがれ『
大英雄ヘラクレスをも
それによりケルベロスは致命傷をおって倒れそのまま動かなくなる。
「うおー!」
兵士達から雄叫び声が上がる。ペンテシレイアの勝利によりこちらの士気が最高潮になる。この場を守る最大の脅威は失くなり、最早モンスター達にこの勢いを止める術はなく。
俺達はその勢いのまま無事に東の龍脈の中心部の制圧に成功した。
「儀式完了。これでここの龍脈もトロイ軍のものだ」
「ご苦労様。ソロモン。こうして見ると本当に賢者様みたいだな」
「これでも本当に賢者だよー。何回めだよこのやり取り。もう!そんな事よりも西の方の戦況が気になる。のペンテシレイア部隊を龍脈の守護としてここに残し、直ぐにでも私達は西の龍脈に向かったモルドレッドとグラウコスの部隊の援軍に行こう」
「そうだな!向こうにも強力な
アイネイアスの了承を得て西の龍脈に援軍に向かおうとした時。急激な魔力量の上昇を感じたそして
「伝令!伝令!モルドレッド様のとグラウコス様が
「モルドレッドやったのか。凄いなー。流石すぎるな。心配する必要なんてなかったか」
それにしても
「あー間に合わなかったか…。せっかくケルベロスだけでなく、オルトロスも見れるチャンスだったのにー!!」
お前の心配はそっちだったんかい!!こいつは性根の部分は本当に変わらないな。まぁ、だからこその安心感あるけどな。
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