第37話 戦況の変化 新たな事実
俺達が四大精霊の力を手に入れ、
今までヒュドラの毒により龍脈の奪取が不可能だった土地をモルドレッドに宿った精霊ファイヤー・ドレイクの炎で浄化し、次々と奪取していった。
龍脈が増えるにつれて俺の使える魔力も増えるのでより多くのモンスターを召喚できるようになった。それに連れて日に日に戦力が増していき、侵略の勢いも増していった。一方の魔王軍はアイアス、オデュッセウスとモンスターを率いることができる将を失った事により追い込まれていった。
そしてついに魔王アガメムノンの根城がある領地への進軍の作戦会議が行われるまでに至った。会議にはトロイ王国の王、王子達、名のある将軍達だけでなく、モルドレッドやソロモン、そして何と俺にまで招集がかけられた。
「「はぁ〜、やっと解放されたー」」
俺とソロモンは会議が終わり、その部屋から無事に退出しすると同じ言葉を思わず漏らしていた。
これ程までに大規模な作戦会議に参加する事になろうとは思いもしなかった。人は多いし、国王までいるしでずっと緊張しっぱなしであった。
「二人共お疲れ様。慣れない雰囲気での作戦会議は大変だっただろう」
「お気遣いありがとうございます。パリス王子。正直、規模も人も凄かったので気疲れしました」
パリス王子の優しい
いや、冷静に考えて見ればこの人もそのお偉いさんだった。しかも王族。お偉いさんの中お偉いさんだった。
あとついでにソロモンも一様は大賢者だったような気がする。
「僕と違って他の王族貴族連中は高圧的な態度をとってしまう人が多いからね。環境のせいなのかな。
まぁ、不機嫌というわけではないから安心して、
「そうですか。それは良かった。少し安心しました。それにしても今回の会議でパリス王子が俺達に寄り添って話してくれているのが改めて分かりましたよ。学のない俺でも分かる言葉で話してくれていたんだなぁって凄く感じました」
「ハハハハ、そんな大げさなものじゃあないさ。前にも話したけど僕が単に堅苦しいのが苦手なだけだよ。
それに僕は育った場所が王宮でなく辺境の山で育てられたからね。作法なんかは他の王族貴族に比べて身についていないんだよ」
「えっ…」
あまりにも衝撃的な言葉に俺は驚きを隠せなかった。
「その驚いた表情。アキレウス君はパリス王子の出生の噂を今まで耳にした事が無かったんだ。
まぁ、一様の情報の
俺の反応を見たソロモンはそう呟いた。
「ソロモンは知っていたのか?パリス王子が山で育ったっていうのを」
「うん、私がこの世界に来た時は王都ではその話で持ち切りだったからね。王都から追放されていた災いを呼ぶパリス王子が戻ってきたてね」
「パリス王子が王都から追放!!」
その信じられない言葉に俺はついに声を出して驚いた。王子を追放するなんて信じられない。一体何があってそんな事になったんだ。
「そうだね。そんな事もあったね。今では凄く懐かしく思えるよ。あの頃は僕も急な環境の変化で大変だったなぁ」
パリス王子はしみじみと言葉を口する。
「えっ…と、その反応は本当なのですか?パリス王子が山で育ったってのも、王都を追放されというのも」
「本当だよ。アキレウス君が混乱しているからその辺りも含めてその話をしようかな。父である国王には口止めされているけど君にならいいだろう」
「えっ…良いのですか。そんな重要な事を俺なんかに話しても」
急展開に脳が追いつかない。良くわからないけど、これパリス王子的にはあまり話したくないことなのでは。そんな話を俺に?今ここで?
「うん、共に戦う君は知るべきだと思う。寧ろ、魔王アガメムノンとの決戦前にトロイ王国での僕の立場とこの軍の成り立ちに関して知っておいて欲しい。
それにさ。そもそもさっきソロモンが言っていた通り王都内では有名な話だしね。今更感があるぐらいだよ」
どうやら俺の心配は見当違いだったらしい。パリス王子は珍しく真剣な顔で俺に対してそう言ってくれた。
「そういう事でしたらよろしくお願いします。俺もパリス王子と戦う身としてその話を聞きたいです」
「ありがとう。さてと、それじゃあ語るとするか。気楽に聞いててくれ。そう意気込まれると話しにくい。それに少しばかり長いしね」
パリス王子はいつもの笑顔の表情を作り、自らの過去を語り始めた。
「前半に関しては僕も後から聞かされた話何だけどね。20年前…」
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