第23話 幕間
パリス王子、ソロモンから次の目的を聞いた日の夜。俺は中々眠れずにいた。朝、二人の前で言った事に嘘は無い。間違いなく本心である。しかし、不安でいっぱいなのも事実であった。召喚術の力が激減した俺は皆の役に立てるのだろうか?それどころか、足を引っ張たりしないだろうか?本当にこの選択は正しいのだろうか?
答えのない自問自答を繰り返し、
コン、コン
そんな時、部屋の
「まだ起きているかアキレウス?」
「その声はモルドレッドか。どうしたんだこんな夜中に。起きているから入ってきていいぞ」
「それじゃあ、失礼する。悪いなこんな時間に。どうしても一回お前と二人で話したくなってな」
「そうか、俺も眠れなかったところだったからちょうど良かった。それにお前となら
「不安か?」
「
ここまで召喚術という特質的な異能に恵まれて憧れであった騎士達と同じ戦場に立って
「フレイム神殿の遠征を断る気は無かったのか?」
「あぁ、残って王都の
子供の頃はトロイで一番の騎士を夢見ていたが、今は
「はぁ〜相変わらずお前は真面目で優しいし、人を
アキレウス、お前はもっと自分自身を大切にするべきだ。このままだと、いずれ使い潰されるぞ」
「使い潰されるって心配し過ぎだよ。モルドレッド、俺はそんなにヤワじゃあないぜ。頭も悪く、
それに
「お前はかなりパリス王子を信頼しているんだな」
「当たり前だろ。召喚術っていう
しかも、身分とか関係なく誰にでも親しく話す人格者だぞ」
「確かにお前がパリス王子に熱を入れるのも理解できる。実際、召喚術という本来なら魔人しか使えない術を気味悪がらず、排除せずに利用しようとする
「そうだろ。モルドレッドだって分かっているじゃないか。パリス王子に
「待て、現状はそれが正解かもしれないが、熱に浮かされ盲信になってはいけないな。パリス王子だって
「モルドレッドはパリス王子の事をあまり良く思ってないのか?」
「そういうわけでもないんだかな。何と言うかな。うん…お前の言った通りで単に俺が心配し過ぎでいるのかもしれない。だけど、もう少し自分を大切にしてくれ。お前の夢や気持ちは分かるが、俺にとってはお前は家族の様な存在なんだ」
「お前、面と向かって恥ずかしい
しかし、まさか天才のお前にそこまで言われるんだ。俺も捨てたもんじゃないな。
それとなお前も気をつけろよ。何だって俺にとってはお前はできの良い自慢の家族なんだからな!」
「俺なんてお前らがいなければ子供の頃に野垂れ死んでたさ」
「あの時はヒョロヒョロのお前がこんな立派な騎士になるとは誰も思っていなかったなー」
「あぁ、そうだな。俺もあの時はお前らに追いつこうと
「
「お前だって凄い。だからもう少し自信を持って自分を大切にしろよ」
「はいはい、分かりましたよ。本当に心配性だなモルドレッドは。まぁ、でもありがとうな。少し頭が冷えたよ。お陰で眠れそうだ」
「そうか、それは良かった。夜も遅いし、言いたい事は言ったし。俺はそろそろ出ていくよ。また明日な」
「モルドレッド」
「何だ?」
「また今度、二人で話そうぜ」
「あぁ、またな」
お互いに戦場でいつ命を散らしてもおかしくない。血の繋がりは無いが、生き残ったたった一人の゙家族。願わくばもう失いたくない。
そう思いながらベッドの゙中で目を閉じた。
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