第18話 ネメアの獅子
「なんとも大胆な。済まないなテウクロス。どうも
テウクロスに刺さた
一級品、いやそれ以上の価値がある
ヘクトールめ。真面目で面白みのない奴かと思っていたが中々の
しかし、このまま負けて死ぬわけにはいかない。テウクロスの死の代償を払わせなければ。
『いでよ。
アイアスの体全身が
「何をする気が分からないが隙だらけだぞアイアス。『
その隙を見逃さずに止めヘクトールは再び
ガキン
「なっ!」
しかし、その一撃はアイアスを貫くこと無く、
光が弱まり、
「
その異様な獅子に対して
「俺様が直々に貫いてやる」
モンスターの軍勢を突破してきたサルペドンの部隊がその獅子と接敵する。
『
鋭い雷撃の
しかし、その様なダメージを負うことも無く、獅子は微動たりもせずにその
「ちっ、ヘクトール王子の
「無駄だ。
「あーそうかい、そうかい。偉そうに説明してくれてありがとうな。ならこいつを
サルペドンは部隊をネメアの獅子を引き寄せ足止めする役割とアイアスを攻撃する役割に分けアイアスを襲撃する。
「クソガキがなめ
武器がぶつかり合う。武の力はほぼ
「
アイアスがそう叫ぶとネメアの獅子が光の粒子に変換されアイアスに吸収されていった。
すると元々、巨体だったアイアスの体がより巨大化し、更に獅子を思わせる黄金の
『
『
ヘクトールとサルペドンはその
「ちっ、マジかよ。アイアスの奴め、あの獅子の装甲を完全に自分のモノにしやがった。モンスターと一体化とかふざけた能力にも程があるぜ」
頑丈なモンスターでさえただでは済まない攻撃を二つも同時に食らったにも関わらずアイアスは傷一つ無くその場に立っていた。
「
そう言ってアイアスは接近していたサルペドンに襲いかかる。
「ちっ、スピードが上がっていやがるし、攻撃も重い。身体能力全般も強化されてあるのか。
しかもあらゆる攻撃を通さないときた。チートにも程がある。やってやれるか。お前ら一時撤退だ!」
サルペドンは撤退の指示を出す。しかし、当然アイアスはそれを許しはしない。猛攻を仕掛ける。守りを気にしなくなったアイアスの攻めをただひたすら
一方的な展開。強大な個の力が軍をも
「ちっ、この俺様が健気に防御に
「無駄口が多いなトロイの将よ。部下を撤退させる為の時間稼ぎのつもりか?しかし、無駄だ。
たとえ城の中まで行こうとも
虚言や
だが
「ちっ、イキリやがってだがなお前如きじゃあ国は取れねぇ、城は落ちねぇ。あまり俺等を
サルペドンの言葉にはアイアスにも負けない凄みがあった。根拠はないだが信頼はある。たとえここで自分が打倒されようとも、この魔人が無敵であろうとも城が落ちる事は決してない。サルペドンの直感がそう告げている。
「ははは、良い将だな貴様は。確かにこれでは簡単には行かなそうだ。だが、それでも
「そんな事させるかよ。それにお前の方こそ無駄口が多いぞ。俺様をあまりなめるなよ」
「はっはは。貴様等の攻撃などもう何も怖くは無い。全て無意味だ」
「ならこれならどうだ!」
そう叫んだサルペドンの手に
しかし、軽く振っただけで岩をも砕くと言われた伝説の聖剣とトロイの猛将サルペドンの力を持ってしもアイアスに僅かな《わず》傷をつける事さえ
そして…
「ぐっふ」
アイアスの
「ちっ…
その必死の命令により兵士達は後ろ髪を引かれる思いでサルペドンを置いて自分達の城へと向かう。
「逃がすか。この場で全滅させてやる。むっ!」
アイアスが逃げ出した敗残兵を追いかけようとした時、背中に強い衝撃を受けた。その正体は凄まじい力で放たれ矢だった。ネメアの獅子と一体化したアイアスに傷を負わせる一撃では無かったが思わず足が止まる。これ程の矢を放てる人物は限られている。
アイアスは後を振り返る。そこには自分が配置したモンスターの軍は無く、代わりに
「
まぁ、良い。
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